11 / 21
兎にも角にも逃げるのがお約束
しおりを挟む
午後の日差しの中、サンルームの日陰に用意されたソファはふんわりとしていて心地が良い。
ほわほわと眠ってしまいそうなところを窓から吹き込んだ風が窘めてくれる、そんなのんびりとした時間に私は手元のハンカチに一刺しずつ針を通していた。ちくりちくりと少しづつ進んでいく。
「エルシー様の刺繍は本当に素晴らしいですね」
ユイが私の手元を覗き込みながら褒めてくれる。私はそれに素直にありがとう、と返した。
刺繍には少しだけ自信があるの。今までは正確に、だけど素早く、が基本だったけれど、今は一刺し一刺し心を込めてゆっくりと進める時間があるから途中の状態でも今までで一番の出来だと断然できる。かなりの自信作よ。
「エルシー、こんどはちゃんとねこさんだね」
隣に座るアスルが無邪気に笑うその声に、思わず針を落としそうになった。
まだ途中だけど、アスル用のハンカチには花と動物たちの図案が出来上がる予定で、今は猫が完成して犬に取り掛かっているところ。
手元の木枠に収まったハンカチには小さいけれど、確かに猫が描かれている。我ながら本物そっくりにできていると思う。
絵そのものは随分と昔から描いていなかったけど、売り物にできるから刺繍やお菓子はよく作っていたの。それなりに人気もあって細かい形を作るのも得意だった。
それが筆で絵を描いた途端あんなに思い通りにならないなんて、普通は思わないでしょう。
少し前なんて、ユイとコルカは私の描いた絵と私が刺した刺繍を並べて、取り繕うことも忘れて不思議そうにしていた。私だってどうしてそうなるのか教えて欲しい。
はぁ、と重たいため息を吐き出したいのを堪えてアスルに視線を向けた。
調理場の隅を借りて作らせてもらったクッキーを幸せそうに頬に詰めている顔がまん丸で、リスのような姿にため息の代わりに笑い声が零れ出る。
「アスル、見ているだけじゃ退屈じゃない?」
「ううん、たのしいよ。エルシーの手はまほうみたいだね。あっ、これドラゴンだ!」
手に取ったクッキーを見つめて声をあげたアスルを見ると私も嬉しくなる。楽しんでくれるように、と色んな形にしたクッキーを一枚ずつ食べる前に眺めてくれるから頑張った甲斐がある。
「すごい、模様まで綺麗に作ってありますね……」
アスルと一緒にクッキーをじっくりと見つめているコルカがポツリと呟く。二人揃って真剣な様子で観察している姿がどこか微笑ましい。
「よかったら一緒に食べてくださいね。たくさん作ったので」
「ありがとうございます」
ほんの暇つぶしのつもりだったのに、私の様子を見守ってくれていた料理人達が途中からはりきってしまって、色んな粉末で少しづつ色を変えたクッキー生地を沢山用意してくれた。
領地で作業していた時は基本一色で形だけで表現していたし、たまに作ってもココアを混ぜた二種類だけだったのに。
随分とカラフルになった材料に私も楽しくなって、山盛りのクッキーを焼いてしまったからしばらくおやつには困らなそう。
使用人揃って子供のお土産にすると言ってくれたから、公爵家の高級なお菓子には足元にも及ばないけれど、楽しんでくれたら嬉しいなと思う。
今刺している物はアスルに。この後はいつもお世話になっているユイとコルカに花のワンポイントとイニシャルの刺繍を入れたハンカチを渡そうと思っている。
有名なお針子さんたちの作品には負けてしまうけど、公爵家で用意してくれる糸も布も最高級品だから、失礼にはならないはず。
「公爵様にもプレゼントされてはいかがですか?」
「公爵様に?」
次に使う色の糸を渡してくれながら提案されたユイの言葉に思わず首を傾げてしまう。
「夫人の刺繍のハンカチを持ち歩くのが、最近貴族男性の中で流行っているようですよ」
「そうなんですか?」
にこり、と綺麗に微笑むユイは、社交界での流行りなどをたくさん教えてくれる。あまり出かけている様子はないのに、情報通で毎回感心してしまう。
夫人たちの話だけでなく男性達だけが知っているような話まで詳しいから本当にすごいのよね。
「エルシー、おとうさまにもあげるの? きっとよろこぶね」
うんうん、と頷くアスルには満面の笑みの公爵様が見えているのかもしれない。満面の笑みの公爵様、が私の中では想像もつかないけれど。
「そうね、アスルにも手伝ってもらおうかな」
「ぼくも? うん、がんばるね!」
私からの刺繍のハンカチを渡すのはどうかなと一瞬迷ったけど、アスルも手伝ってくれた作品ならきっと喜んでもらえるはずね。
公爵様は子煩悩だもの。
そうしよう、と顔を上げて窓の外に視線を向けてみれば、庭の遠くを歩く公爵様を見つけた。まだかなり遠いけれど、公爵様は遠くからでもよく目立つ。
屋敷で仕事をしていたり、王宮に仕事をしに行ったり、とその日によって違うようだけれど、どちらでも公爵様はいつも忙しそうにしている。
きっと今は休憩中ね。公爵様は忙しい中で時間を見つけては時折アスルとの時間を作っているようで、きっと今もここに向かってきているところ。
今こちらを向いた公爵様と目が合ったかもしれない。ここから私がすることは決まっている。
「ユイ、お茶とお菓子をアスルの部屋へ用意してくれますか。コルカ、アスルをよろしくお願いします」
「かしこまりました」
「お任せ下さい」
何度か同じような行動をしているから、ユイもコルカも慣れた様子で消えていく。
「アスル、お父様が遊びに来てくれるみたい」
「エルシーはまたいなくなっちゃうの?」
「ええ、二人の邪魔はできないから。いつも私がアスルと一緒にいるからお父様もアスルと二人じゃないと寂しくて拗ねちゃうでしょう?」
「そっか~。そうだね」
「私とはまたあとで遊びましょう。あ、お父様へあげる刺繍のことは内緒よ。ビックリさせないと」
「うん! まかせて!」
公爵様とアスルの時間を邪魔してはいけない。
素直に頷いたアスルの頬にキスをして、キャハハと擽ったそうに笑うアスルに手を振って立ち上がる。
公爵様はあっという間にやって来てしまうから、その前に立ち去らないと。可愛いアスルのお母様でいるために、契約はしっかり守らないといけないのだから。
拗ねちゃう、なんて言ったら怒られるかもしれないけど、アスルのことが大好きな公爵様だから、間違いでは無いと思う。
とにもかくにも逃げるが勝ち、と足を早める私の隣には、いつの間にか戻ってきたユイが並んでいた。
「あ、私が作ったクッキー置いてきてしまったけど、あんなに食べさせて怒られないでしょうか?」
「毎日ではないですし、問題ないと思いますよ。旦那様もきっと気に入ってくれるかと思います」
「公爵様が私なんかの作ったクッキーを食べてくれるでしょうか?いえ、食べてくれたら嬉しいですけど」
売り物にしていたくらいだし、最低限人に食べさせられる物ではあるけれど、公爵様の口に入るとなるとやっぱり緊張してしまう。
不安と歓喜を感じるのでいっぱいな私は、隣でユイが微笑ましそうにこちらを見て笑っていたことには気づけなかった。
ほわほわと眠ってしまいそうなところを窓から吹き込んだ風が窘めてくれる、そんなのんびりとした時間に私は手元のハンカチに一刺しずつ針を通していた。ちくりちくりと少しづつ進んでいく。
「エルシー様の刺繍は本当に素晴らしいですね」
ユイが私の手元を覗き込みながら褒めてくれる。私はそれに素直にありがとう、と返した。
刺繍には少しだけ自信があるの。今までは正確に、だけど素早く、が基本だったけれど、今は一刺し一刺し心を込めてゆっくりと進める時間があるから途中の状態でも今までで一番の出来だと断然できる。かなりの自信作よ。
「エルシー、こんどはちゃんとねこさんだね」
隣に座るアスルが無邪気に笑うその声に、思わず針を落としそうになった。
まだ途中だけど、アスル用のハンカチには花と動物たちの図案が出来上がる予定で、今は猫が完成して犬に取り掛かっているところ。
手元の木枠に収まったハンカチには小さいけれど、確かに猫が描かれている。我ながら本物そっくりにできていると思う。
絵そのものは随分と昔から描いていなかったけど、売り物にできるから刺繍やお菓子はよく作っていたの。それなりに人気もあって細かい形を作るのも得意だった。
それが筆で絵を描いた途端あんなに思い通りにならないなんて、普通は思わないでしょう。
少し前なんて、ユイとコルカは私の描いた絵と私が刺した刺繍を並べて、取り繕うことも忘れて不思議そうにしていた。私だってどうしてそうなるのか教えて欲しい。
はぁ、と重たいため息を吐き出したいのを堪えてアスルに視線を向けた。
調理場の隅を借りて作らせてもらったクッキーを幸せそうに頬に詰めている顔がまん丸で、リスのような姿にため息の代わりに笑い声が零れ出る。
「アスル、見ているだけじゃ退屈じゃない?」
「ううん、たのしいよ。エルシーの手はまほうみたいだね。あっ、これドラゴンだ!」
手に取ったクッキーを見つめて声をあげたアスルを見ると私も嬉しくなる。楽しんでくれるように、と色んな形にしたクッキーを一枚ずつ食べる前に眺めてくれるから頑張った甲斐がある。
「すごい、模様まで綺麗に作ってありますね……」
アスルと一緒にクッキーをじっくりと見つめているコルカがポツリと呟く。二人揃って真剣な様子で観察している姿がどこか微笑ましい。
「よかったら一緒に食べてくださいね。たくさん作ったので」
「ありがとうございます」
ほんの暇つぶしのつもりだったのに、私の様子を見守ってくれていた料理人達が途中からはりきってしまって、色んな粉末で少しづつ色を変えたクッキー生地を沢山用意してくれた。
領地で作業していた時は基本一色で形だけで表現していたし、たまに作ってもココアを混ぜた二種類だけだったのに。
随分とカラフルになった材料に私も楽しくなって、山盛りのクッキーを焼いてしまったからしばらくおやつには困らなそう。
使用人揃って子供のお土産にすると言ってくれたから、公爵家の高級なお菓子には足元にも及ばないけれど、楽しんでくれたら嬉しいなと思う。
今刺している物はアスルに。この後はいつもお世話になっているユイとコルカに花のワンポイントとイニシャルの刺繍を入れたハンカチを渡そうと思っている。
有名なお針子さんたちの作品には負けてしまうけど、公爵家で用意してくれる糸も布も最高級品だから、失礼にはならないはず。
「公爵様にもプレゼントされてはいかがですか?」
「公爵様に?」
次に使う色の糸を渡してくれながら提案されたユイの言葉に思わず首を傾げてしまう。
「夫人の刺繍のハンカチを持ち歩くのが、最近貴族男性の中で流行っているようですよ」
「そうなんですか?」
にこり、と綺麗に微笑むユイは、社交界での流行りなどをたくさん教えてくれる。あまり出かけている様子はないのに、情報通で毎回感心してしまう。
夫人たちの話だけでなく男性達だけが知っているような話まで詳しいから本当にすごいのよね。
「エルシー、おとうさまにもあげるの? きっとよろこぶね」
うんうん、と頷くアスルには満面の笑みの公爵様が見えているのかもしれない。満面の笑みの公爵様、が私の中では想像もつかないけれど。
「そうね、アスルにも手伝ってもらおうかな」
「ぼくも? うん、がんばるね!」
私からの刺繍のハンカチを渡すのはどうかなと一瞬迷ったけど、アスルも手伝ってくれた作品ならきっと喜んでもらえるはずね。
公爵様は子煩悩だもの。
そうしよう、と顔を上げて窓の外に視線を向けてみれば、庭の遠くを歩く公爵様を見つけた。まだかなり遠いけれど、公爵様は遠くからでもよく目立つ。
屋敷で仕事をしていたり、王宮に仕事をしに行ったり、とその日によって違うようだけれど、どちらでも公爵様はいつも忙しそうにしている。
きっと今は休憩中ね。公爵様は忙しい中で時間を見つけては時折アスルとの時間を作っているようで、きっと今もここに向かってきているところ。
今こちらを向いた公爵様と目が合ったかもしれない。ここから私がすることは決まっている。
「ユイ、お茶とお菓子をアスルの部屋へ用意してくれますか。コルカ、アスルをよろしくお願いします」
「かしこまりました」
「お任せ下さい」
何度か同じような行動をしているから、ユイもコルカも慣れた様子で消えていく。
「アスル、お父様が遊びに来てくれるみたい」
「エルシーはまたいなくなっちゃうの?」
「ええ、二人の邪魔はできないから。いつも私がアスルと一緒にいるからお父様もアスルと二人じゃないと寂しくて拗ねちゃうでしょう?」
「そっか~。そうだね」
「私とはまたあとで遊びましょう。あ、お父様へあげる刺繍のことは内緒よ。ビックリさせないと」
「うん! まかせて!」
公爵様とアスルの時間を邪魔してはいけない。
素直に頷いたアスルの頬にキスをして、キャハハと擽ったそうに笑うアスルに手を振って立ち上がる。
公爵様はあっという間にやって来てしまうから、その前に立ち去らないと。可愛いアスルのお母様でいるために、契約はしっかり守らないといけないのだから。
拗ねちゃう、なんて言ったら怒られるかもしれないけど、アスルのことが大好きな公爵様だから、間違いでは無いと思う。
とにもかくにも逃げるが勝ち、と足を早める私の隣には、いつの間にか戻ってきたユイが並んでいた。
「あ、私が作ったクッキー置いてきてしまったけど、あんなに食べさせて怒られないでしょうか?」
「毎日ではないですし、問題ないと思いますよ。旦那様もきっと気に入ってくれるかと思います」
「公爵様が私なんかの作ったクッキーを食べてくれるでしょうか?いえ、食べてくれたら嬉しいですけど」
売り物にしていたくらいだし、最低限人に食べさせられる物ではあるけれど、公爵様の口に入るとなるとやっぱり緊張してしまう。
不安と歓喜を感じるのでいっぱいな私は、隣でユイが微笑ましそうにこちらを見て笑っていたことには気づけなかった。
425
あなたにおすすめの小説
近すぎて見えない
綾崎オトイ
恋愛
当たり前にあるものには気づけなくて、無くしてから気づく何か。
ずっと嫌だと思っていたはずなのに突き放されて初めてこの想いに気づくなんて。
わざと護衛にまとわりついていたお嬢様と、そんなお嬢様に毎日付き合わされてうんざりだと思っていた護衛の話。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
だって悪女ですもの。
とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。
幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。
だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。
彼女の選択は。
小説家になろう様にも掲載予定です。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる