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男たちのお茶会(ディアン)
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「……確かに、必要以上に話しかけないでほしいとか、姿を見せないように、というようなことを最初に言ったが。無意味に仕事中の部屋に押しかけたり、私の気を引こうとしないで欲しいと言うだけだったのに、これは徹底しすぎやしないか?」
先程までは確かにそこにいたとわかる僅かな気配だけを残して、しかし出会うどころか去っていく背中さえ見ることの出来ない、妻となった彼女にそんなことを呟いてしまう。
アスルにさえ「どうしてお父様がくるとエルシーはいなくなっちゃうの?」と不思議そうに聞かれてしまった私の心境は言葉では言い表せない。
「旦那様のお言葉がいけなかったのですよ。エルシー様は何も悪くないと思います」
誰に言ったわけでもなかったが、呟いた言葉は執務室の虚空に消え去ることなく、傍に居た執事のセオドアが冷たい声音で返事をした。
セオドアの両親が私の両親に仕えていて、私とは乳兄弟の関係であるこの男は、主従関係があるものの容赦がない。
もちろんエルシーに不満は無い。想像以上にアスルに、そして公爵家に尽くしてくれている。本人の人柄も悪くない。
私個人としても険悪な仲ではない、と思っている。
事実、関係は良好だと言えるだろう。
しかし彼女はどこまでも私に他人行儀だ。
そもそも最初の契約通りに対応しているとしても、私から近づいているのだから逃げる必要は無いだろう。
それなりに広い屋敷と言っても、彼女に偶然出会うことが全く無い、なんてことありうるのか。彼女の行動には当たり前だが制限などかけていない。普段から自由に歩き回り、使用人たちとも親交を深めている、と報告にもよく上がってくる。
それなのに、だ。
私の気配を感じるとあっという間に姿を消してしまうのだ。
「彼女は王家の影か密偵か何かだったのか? 私の行動を全て把握されているような避けられ方だ」
「彼女はごく普通のご令嬢ですが、空気や気配を読むのが上手いのでしょうね」
「もしかしなくても、私は彼女に嫌われているのか」
それなりの関係性を築けている、と思っていたのは私の気の所為だったのかもしれない、とため息をつきたくなる。
「事前に連絡を入れたら会ってくれるので嫌われてはいないでしょう」
「仮にも夫婦だというのにアポが必要か」
冷静な返答にじとりとした視線を向けてしまう。
同じ家に住んでいるというのに約束を取り付けておかないと会えない妻なんておかしいだろう。
おかげで仕事は順調、会う度に楽しげなアスルとの時間もしっかりと取れているがどこかモヤついた気持ちが消えてくれない。
「今までは無駄に女性に言い寄られていたはずなんだがな」
「自分からも近づかないと恋愛は成り立ちませんよ」
「結婚して夫婦になっているというのに、今さら恋愛も何も無いだろう」
「そういうところです。そんな恋愛初心者の旦那様のために先生がいらっしゃってますよ」
は、と口にした疑問は音にならずに空気となって消えていった。
「うふふ~。この美しいローズ様が手とり足とり教えてあげるわ」
バン、と騒々しい音とともに扉を開く姿には優雅さの欠片もない。慣れ親しみすぎて見飽きた顔がそこにあった。
今日は男の姿で、マダムローズとしての声を出しているくせに仕草を寄せる気はないらしい。男からこの声が出ているのは何度聞いても気持ちが悪い。
「お前なんでいるんだ。今日は呼んでいないはずだぞ」
「なんだよ、冷たいなディアン。遊びに来たんだからもてなせ」
第一声から一変して、横暴な態度で私の執務室のソファに座ったロージーが、低い声と共にニヤリと笑う。この男は本当に自由すぎる。エルシーにも少しくらいこの態度のデカさを分けてやってほしい。
はぁ、とわざとらしくため息を吐き出してからロージーの座った応接用のソファの対面に座れば、セオドアが人数分の紅茶を用意して私の座るソファの隣に遠慮なく腰を下ろした。
幼い頃から共に育ってきたような関係で、今さら気にすることもない。ロージーもすっかり寛いでいるし、ただの幼なじみの茶会としよう。
「ん~、セオドアの紅茶は相変わらず美味しいわね~」
紅茶を一口含んでから頬に手を当ててうっとりした顔を作るロージーに、飲もうとして持ち上げたカップを思わず元に戻してしまった。
「お前、情緒不安なのか。それとも本当に二重人格だったのか」
「失礼ね~。癖だよ癖。女の茶会に混ざって気を抜いて男でも出した瞬間針のむしろなんだよ。俺の努力の結果と言ってくれ」
「私はマダムローズにお褒めいただけて光栄です」
「さすがセオドア。ディアンもこれくらい柔軟になった方がいいな」
状況によって女にも男にもなれるロージーに言われては流石に言い返す言葉がないが、素直に受け取るのも釈然としない。これは私が悪いのか。
「この可愛いクッキーもセオドアが?」
ロージーに摘みあげられた、成人男性と合わせるには可愛らしすぎる造形のクッキーに視線が集まる。
「それはエルシーが最近作っているんだ。毎回作りすぎた、と分けて回っている」
芸術品と言えるほど細部まで精巧に作られたクッキーは、素朴な味だが、だからこそ飽きない味をしている。普段甘いものをあまり食べない私でも仕事中つい手が伸びてしまう。
そして何度見ても見入ってしまう見た目だ。伯爵家の領地にいた頃売り物にしていたのだ、と恥ずかしそうに言っていたが、納得の出来だと思う。
「へぇ、奥さん、器用だな。これなら貴族女性の手土産にもウケそうね~」
「……お前、その唐突な切り替えどうにかならないのか。聞いているこちらが疲れる」
身構えることもできずに背中がぞわりとしてくるのだから、切実にやめてもらいたい。
「だから癖なんだって。あ、そういえば、この間のリボンどうだったよ。あのプレゼントで少しは距離縮むと思ってたのに全然みたいじゃん」
ロージーの言葉に、あえて考えないようにしていた青いリボンを思い出して遠い目をしてしまう。
ニヤついた顔のロージーの想像とは正反対の状況になっているんだが、説明しなければならないのだろうか。
早く早く、と急かすロージーに仕方なく口を開く。どうにか誤魔化して説明ができないかと思ったが、どう言い方を変えても事実は変わらない。
「リボンは……、アスルが持っている」
「はぁ? お前、奥さんのために自分で選んでたのに息子に渡したのか?」
不思議そうに、だが明らかにバカにしたようなロージーの視線から逃げるように視線を逸らしてクッキーを口に入れた。優しい甘さが今はどこか苦くもある。
「使用人を介してだが、確かにエルシーに、と贈った。だが、彼女は、それをアスルに付けるために自分に渡されたのだと……そう思ったようだ……」
私が彼女に個人的に装飾品を贈るなど、想像も出来なかった、ということだろう。
女性にリボンを贈るのが最近の流行りだからお前もどうだ、と目の前にいるロージーに言われて選んだのだから、確かに私だけの行動ではなかったかもしれないが。
「あはははっ。なんだそれ、面白すぎる。つーか、自分で渡さないから誤解されるんだろ」
「それは、なかなか彼女と会う時間が取れなくてだな……」
というか、逃げられているんだが、とは流石に言えない。
アスルとの夕食時にはエルシーだけに贈り物をする空気では無いし、他の時間にわざわざそのための約束を取り付けて、というのもどうなのだと思っていたが、そうした方がよかったのかもしれないな。
「いやぁ、奥さんが来てからのお前面白すぎるな。この百戦錬磨のロージー様が色々教えて差し上げよう」
無駄に大袈裟な動作で胸を張る男に胡乱げな目を向ける。
「百戦錬磨って、本命には手が出せず見向きもされないだけだろうが」
「うるせぇ」
マダムローズの片腕の大人しそうな女性のことは随分と前から知っているが、未だにロージーに結婚だの婚約だのといった話は出てこない。つまりそういうことだろう。
はぁ、と揃ってため息を付く私のとロージーの傍ら、セオドアだけが我関せずといった様子で紅茶を飲んでいた。
先程までは確かにそこにいたとわかる僅かな気配だけを残して、しかし出会うどころか去っていく背中さえ見ることの出来ない、妻となった彼女にそんなことを呟いてしまう。
アスルにさえ「どうしてお父様がくるとエルシーはいなくなっちゃうの?」と不思議そうに聞かれてしまった私の心境は言葉では言い表せない。
「旦那様のお言葉がいけなかったのですよ。エルシー様は何も悪くないと思います」
誰に言ったわけでもなかったが、呟いた言葉は執務室の虚空に消え去ることなく、傍に居た執事のセオドアが冷たい声音で返事をした。
セオドアの両親が私の両親に仕えていて、私とは乳兄弟の関係であるこの男は、主従関係があるものの容赦がない。
もちろんエルシーに不満は無い。想像以上にアスルに、そして公爵家に尽くしてくれている。本人の人柄も悪くない。
私個人としても険悪な仲ではない、と思っている。
事実、関係は良好だと言えるだろう。
しかし彼女はどこまでも私に他人行儀だ。
そもそも最初の契約通りに対応しているとしても、私から近づいているのだから逃げる必要は無いだろう。
それなりに広い屋敷と言っても、彼女に偶然出会うことが全く無い、なんてことありうるのか。彼女の行動には当たり前だが制限などかけていない。普段から自由に歩き回り、使用人たちとも親交を深めている、と報告にもよく上がってくる。
それなのに、だ。
私の気配を感じるとあっという間に姿を消してしまうのだ。
「彼女は王家の影か密偵か何かだったのか? 私の行動を全て把握されているような避けられ方だ」
「彼女はごく普通のご令嬢ですが、空気や気配を読むのが上手いのでしょうね」
「もしかしなくても、私は彼女に嫌われているのか」
それなりの関係性を築けている、と思っていたのは私の気の所為だったのかもしれない、とため息をつきたくなる。
「事前に連絡を入れたら会ってくれるので嫌われてはいないでしょう」
「仮にも夫婦だというのにアポが必要か」
冷静な返答にじとりとした視線を向けてしまう。
同じ家に住んでいるというのに約束を取り付けておかないと会えない妻なんておかしいだろう。
おかげで仕事は順調、会う度に楽しげなアスルとの時間もしっかりと取れているがどこかモヤついた気持ちが消えてくれない。
「今までは無駄に女性に言い寄られていたはずなんだがな」
「自分からも近づかないと恋愛は成り立ちませんよ」
「結婚して夫婦になっているというのに、今さら恋愛も何も無いだろう」
「そういうところです。そんな恋愛初心者の旦那様のために先生がいらっしゃってますよ」
は、と口にした疑問は音にならずに空気となって消えていった。
「うふふ~。この美しいローズ様が手とり足とり教えてあげるわ」
バン、と騒々しい音とともに扉を開く姿には優雅さの欠片もない。慣れ親しみすぎて見飽きた顔がそこにあった。
今日は男の姿で、マダムローズとしての声を出しているくせに仕草を寄せる気はないらしい。男からこの声が出ているのは何度聞いても気持ちが悪い。
「お前なんでいるんだ。今日は呼んでいないはずだぞ」
「なんだよ、冷たいなディアン。遊びに来たんだからもてなせ」
第一声から一変して、横暴な態度で私の執務室のソファに座ったロージーが、低い声と共にニヤリと笑う。この男は本当に自由すぎる。エルシーにも少しくらいこの態度のデカさを分けてやってほしい。
はぁ、とわざとらしくため息を吐き出してからロージーの座った応接用のソファの対面に座れば、セオドアが人数分の紅茶を用意して私の座るソファの隣に遠慮なく腰を下ろした。
幼い頃から共に育ってきたような関係で、今さら気にすることもない。ロージーもすっかり寛いでいるし、ただの幼なじみの茶会としよう。
「ん~、セオドアの紅茶は相変わらず美味しいわね~」
紅茶を一口含んでから頬に手を当ててうっとりした顔を作るロージーに、飲もうとして持ち上げたカップを思わず元に戻してしまった。
「お前、情緒不安なのか。それとも本当に二重人格だったのか」
「失礼ね~。癖だよ癖。女の茶会に混ざって気を抜いて男でも出した瞬間針のむしろなんだよ。俺の努力の結果と言ってくれ」
「私はマダムローズにお褒めいただけて光栄です」
「さすがセオドア。ディアンもこれくらい柔軟になった方がいいな」
状況によって女にも男にもなれるロージーに言われては流石に言い返す言葉がないが、素直に受け取るのも釈然としない。これは私が悪いのか。
「この可愛いクッキーもセオドアが?」
ロージーに摘みあげられた、成人男性と合わせるには可愛らしすぎる造形のクッキーに視線が集まる。
「それはエルシーが最近作っているんだ。毎回作りすぎた、と分けて回っている」
芸術品と言えるほど細部まで精巧に作られたクッキーは、素朴な味だが、だからこそ飽きない味をしている。普段甘いものをあまり食べない私でも仕事中つい手が伸びてしまう。
そして何度見ても見入ってしまう見た目だ。伯爵家の領地にいた頃売り物にしていたのだ、と恥ずかしそうに言っていたが、納得の出来だと思う。
「へぇ、奥さん、器用だな。これなら貴族女性の手土産にもウケそうね~」
「……お前、その唐突な切り替えどうにかならないのか。聞いているこちらが疲れる」
身構えることもできずに背中がぞわりとしてくるのだから、切実にやめてもらいたい。
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ロージーの言葉に、あえて考えないようにしていた青いリボンを思い出して遠い目をしてしまう。
ニヤついた顔のロージーの想像とは正反対の状況になっているんだが、説明しなければならないのだろうか。
早く早く、と急かすロージーに仕方なく口を開く。どうにか誤魔化して説明ができないかと思ったが、どう言い方を変えても事実は変わらない。
「リボンは……、アスルが持っている」
「はぁ? お前、奥さんのために自分で選んでたのに息子に渡したのか?」
不思議そうに、だが明らかにバカにしたようなロージーの視線から逃げるように視線を逸らしてクッキーを口に入れた。優しい甘さが今はどこか苦くもある。
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私が彼女に個人的に装飾品を贈るなど、想像も出来なかった、ということだろう。
女性にリボンを贈るのが最近の流行りだからお前もどうだ、と目の前にいるロージーに言われて選んだのだから、確かに私だけの行動ではなかったかもしれないが。
「あはははっ。なんだそれ、面白すぎる。つーか、自分で渡さないから誤解されるんだろ」
「それは、なかなか彼女と会う時間が取れなくてだな……」
というか、逃げられているんだが、とは流石に言えない。
アスルとの夕食時にはエルシーだけに贈り物をする空気では無いし、他の時間にわざわざそのための約束を取り付けて、というのもどうなのだと思っていたが、そうした方がよかったのかもしれないな。
「いやぁ、奥さんが来てからのお前面白すぎるな。この百戦錬磨のロージー様が色々教えて差し上げよう」
無駄に大袈裟な動作で胸を張る男に胡乱げな目を向ける。
「百戦錬磨って、本命には手が出せず見向きもされないだけだろうが」
「うるせぇ」
マダムローズの片腕の大人しそうな女性のことは随分と前から知っているが、未だにロージーに結婚だの婚約だのといった話は出てこない。つまりそういうことだろう。
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