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小さな嵐の訪れ
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季節がひとつ変わった。伯爵領にいた頃は常にやることがあって予定が詰まっていて、時間がいくらあっても足りないくらいだったのに、ここではのんびり過ごしているうちにいつの間にか時間が過ぎ去っていく。
一秒ごとに目に焼き付けておかないと、気を抜いている間にきっとアスルもどんどん大きくなってしまうわね。
公爵邸の庭に咲く花達は顔を入れ替えたけど、私の日常はあまり変わらない。アスルや使用人の皆と気ままに過ごして、たまにアスルの授業を覗いて参加させてもらって、美味しいご飯を食べて。なんて自堕落な生活をしているのか、と自分でも呆れてしまいそう。
今日もアスルと好きな絵本の話をしながらお茶を楽しんでいた昼下がり。
少し席を外していたユイが戻ってきておずおずと口を開いた。
「あの、エルシー様。エルシー様のお知り合いという方が訪ねていたらしたのですが、いかがいたしましょうか」
対応に困っている、と言った様子て私の指示を待つユイに首を傾げる。
「知り合い、ですか? 私の?」
「はい、マルクスと名乗っておりまして、エルシー様の兄だと……。ですがエルシーにはご兄弟はいらっしゃらないはずですよね?」
やはり追い出しましょうか、と踵を返そうとしたユイを慌てて引き止める。
私を訪ねてくる知り合いなんて王都にいないと思っていたから思い当たらなかったけど、私の知っているマルクスはあのマルクスしかいないもの。兄じゃないけど兄でもある。
「マルクスはいまどこに? 彼は伯爵領でお世話になっていた侍女の息子です。血の繋がりはないんですが兄代わりというか……そんな感じの人で」
「そうでございましたか。ではすぐに応接室に」
ユイが視線だけでほかの使用人たちに指示を出す。
音もなく消えていく数名を見送れば、ユイとコルカが私とアスルの支度をしてくれた。髪を整えられて、化粧を手早く、けれど丁寧に直される。
姿見の中のまだ少し見慣れない。常に完璧に整えられている自分なんて、伯爵令嬢だった頃には想像もできなかったんだから。
□□□
アスルと手を繋いで応接室に向かえば、マルクスが立ち上がって出迎えてくれた。
「エルシー! 元気だったか?」
「うん、すごく。マルクスも相変わらずね」
扉を開けてすぐに立ち上がったマルクスだけど、一瞬見えたその前の姿は緊張するどころかくつろいでいるように見えた。
アトリは元子爵令嬢だったから、その頃の友人の子供たちとマルクスは交流があって仲がいい。王都のお屋敷にもたまに遊びに行っていたのを知っているからあまり驚きはしないけど、それでも馴染みすぎているんじゃないかと思う。
「数ヶ月しか経ってないけど、随分変わったな~。やっぱエルシーは可愛いんだからこういう格好してた方がいい」
ニコリと笑ったマルクスが私の頭を撫でようとして、寸前でピタリと動きを止めた。
不思議に思ってその視線の先を追ってみれば、笑顔のまま表情をピクりとも動かさないユイがマルクスをじっと見つめている。いつもより表情が抜け落ちている……ような気がする。
どうしたんだろう、と考えたところでスカートを引っ張られるような感覚に視線を落とした。
「エルシー?」
私のドレスに隠れるように、少しだけ不安そうにこちらを見上げるアスルと目が合った。私にとっては慣れ親しんだ、家族みたいな存在でも、アスルにとっては知らない男の人。それは少しだけ怖いかもしれない。
アスルと目線を合わせるようにしゃがみこめば、マルクスも合わせて腰を落とした。
片手で私の手を、もう片方の手で私のスカートをギュッと握りしめるのが頼られているみたいで少し嬉しい。
「はじめまして。俺はマルクス。よろしくな」
「……アスルです。よろしくお願いします」
人見知りをしているのか普段よりも随分と大人しい。それでもしっかりと頭を下げる様子はペコリと音がしそうで頬が緩んでしまう。
「挨拶がしっかり出来てすごいな。お菓子は好きか? いっぱいあるから一緒に食べよう」
「……うん。エルシーの好きなケーキがあるからいっしょに食べる」
アスルの頭をくしゃりと撫でたマルクスが公爵家の使用人に指示を出して私とアスルの分の食器とお茶を頼んだ。
ほんとに馴染みすぎている、というか遠慮が無さすぎるというか。いい意味でも悪い意味でも強すぎるなぁ、と思う。マルクスの方が私より主人みたいだわ。
仕事のできるユイだからきっともう指示は出してくれていたはずだけど、マルクスの指示に従ったみたいな形になってしまって、笑顔のままだけど口元が僅かに引きつっている気がする。
ユイは表情に不機嫌さを出すことは無いから、何となくそんな気がした、というだけだけど。
運ばれてきたお皿に「ぼくがとるね」と私のためのケーキを選んでいるアスルの、先程マルクスの手で崩れてしまった髪を整える。
いちばん大きいやつ……と均等に切られているケーキを真剣に見つめている様子をマルクスがじっと見つめている。
ふと視線を上げたマルクスと目が合えば、マルクスはそっと息を吐き出した。
「安心した。うまくやってるみたいだな」
心配してくれてたことに心が暖かくなってくすぐったい気持ちになる。
マルクスは昔から私のことを気にしてくれていた。
急に決まった、普通とは少し違う結婚に私が辛い思いをしていないのか、きっとずっと考えさせてしまっていた。
だから精一杯の笑顔を浮かべてみる。
「うん、家族ができて私、すごく幸せなの」
血の繋がりは無いけれど、可愛くて大事な、世界で一人だけの私の息子。
はい、と差し出されたお皿に乗ったケーキは、やっぱり他のものと同じ大きさだけど、いちばん甘くて美味しそう。
この子に会えたことは嘘偽りなく私の一番の幸福なの。この想いをが伝わるように。
「……そうか。少しでもダメそうなら連れて帰ろうと思ってたんだけどな」
「だめだよ!」
どこか寂しそうに微笑んだマルクスの言葉に、アスルが声を上げて私に腕を回して抱きついてきた。
「アスル?」
「エルシーはぼくのおかあさまでしょ。いなくなったらやだ」
今にも泣き出してしまいそうなアスルにバツが悪そうな顔をするマルクスが視界の端に見えたけど、それよりも、と私はアスルをそっと抱きしめた。どんどん大きくなっていくけど、まだまだ私の両腕の中にすっぽりと収まってしまう。
「私はアスルの前からいなくならないよ。今だってここにいるし、明日も明後日もずっと一緒。そう約束したでしょう」
ね、とできるだけ優しい声を意識して語りかける。
アスルが私に縋り付いているようだけど、本当は私の方が必死に縋り付いている。少しでも長くその成長を見ていたいし、私の居場所はもうアスルの隣。
よしよしとゆっくりと背中を撫でていれば、少しづつ私にしがみついた手の力が緩んでくる。
「あー……、悪かったな。エルシーを連れて行ったりしないから安心ひてくれ、な?」
「ほんとうに?」
「あぁ、俺はエルシーのことならなんでも分かる兄ちゃんだから、お前のことを本当に大事に大好きに思ってるんだってわかるんだ」
ガシガシ、とアスルの頭を撫でるマルクスにアスルが固まってしまう。
貴族とも付き合いがあるのにマルクスはいつまでたっても乱暴というかガサツというか。アスルが怖がったり嫌がったりしていないからまだいいけれど。
「俺も、エルシーが幸せならそれでいいんだ。しっかりエルシーを守って幸せにしてやってくれよ」
「ちょっと、マルクス。それは母である私の役目なんだから」
アスルに守られる弱いお母様になんてならないのよ。
「うん。ぼく、エルシーをまもるっ!」
だけど力強く頷いたアスルはとっても頼もしかった。
一秒ごとに目に焼き付けておかないと、気を抜いている間にきっとアスルもどんどん大きくなってしまうわね。
公爵邸の庭に咲く花達は顔を入れ替えたけど、私の日常はあまり変わらない。アスルや使用人の皆と気ままに過ごして、たまにアスルの授業を覗いて参加させてもらって、美味しいご飯を食べて。なんて自堕落な生活をしているのか、と自分でも呆れてしまいそう。
今日もアスルと好きな絵本の話をしながらお茶を楽しんでいた昼下がり。
少し席を外していたユイが戻ってきておずおずと口を開いた。
「あの、エルシー様。エルシー様のお知り合いという方が訪ねていたらしたのですが、いかがいたしましょうか」
対応に困っている、と言った様子て私の指示を待つユイに首を傾げる。
「知り合い、ですか? 私の?」
「はい、マルクスと名乗っておりまして、エルシー様の兄だと……。ですがエルシーにはご兄弟はいらっしゃらないはずですよね?」
やはり追い出しましょうか、と踵を返そうとしたユイを慌てて引き止める。
私を訪ねてくる知り合いなんて王都にいないと思っていたから思い当たらなかったけど、私の知っているマルクスはあのマルクスしかいないもの。兄じゃないけど兄でもある。
「マルクスはいまどこに? 彼は伯爵領でお世話になっていた侍女の息子です。血の繋がりはないんですが兄代わりというか……そんな感じの人で」
「そうでございましたか。ではすぐに応接室に」
ユイが視線だけでほかの使用人たちに指示を出す。
音もなく消えていく数名を見送れば、ユイとコルカが私とアスルの支度をしてくれた。髪を整えられて、化粧を手早く、けれど丁寧に直される。
姿見の中のまだ少し見慣れない。常に完璧に整えられている自分なんて、伯爵令嬢だった頃には想像もできなかったんだから。
□□□
アスルと手を繋いで応接室に向かえば、マルクスが立ち上がって出迎えてくれた。
「エルシー! 元気だったか?」
「うん、すごく。マルクスも相変わらずね」
扉を開けてすぐに立ち上がったマルクスだけど、一瞬見えたその前の姿は緊張するどころかくつろいでいるように見えた。
アトリは元子爵令嬢だったから、その頃の友人の子供たちとマルクスは交流があって仲がいい。王都のお屋敷にもたまに遊びに行っていたのを知っているからあまり驚きはしないけど、それでも馴染みすぎているんじゃないかと思う。
「数ヶ月しか経ってないけど、随分変わったな~。やっぱエルシーは可愛いんだからこういう格好してた方がいい」
ニコリと笑ったマルクスが私の頭を撫でようとして、寸前でピタリと動きを止めた。
不思議に思ってその視線の先を追ってみれば、笑顔のまま表情をピクりとも動かさないユイがマルクスをじっと見つめている。いつもより表情が抜け落ちている……ような気がする。
どうしたんだろう、と考えたところでスカートを引っ張られるような感覚に視線を落とした。
「エルシー?」
私のドレスに隠れるように、少しだけ不安そうにこちらを見上げるアスルと目が合った。私にとっては慣れ親しんだ、家族みたいな存在でも、アスルにとっては知らない男の人。それは少しだけ怖いかもしれない。
アスルと目線を合わせるようにしゃがみこめば、マルクスも合わせて腰を落とした。
片手で私の手を、もう片方の手で私のスカートをギュッと握りしめるのが頼られているみたいで少し嬉しい。
「はじめまして。俺はマルクス。よろしくな」
「……アスルです。よろしくお願いします」
人見知りをしているのか普段よりも随分と大人しい。それでもしっかりと頭を下げる様子はペコリと音がしそうで頬が緩んでしまう。
「挨拶がしっかり出来てすごいな。お菓子は好きか? いっぱいあるから一緒に食べよう」
「……うん。エルシーの好きなケーキがあるからいっしょに食べる」
アスルの頭をくしゃりと撫でたマルクスが公爵家の使用人に指示を出して私とアスルの分の食器とお茶を頼んだ。
ほんとに馴染みすぎている、というか遠慮が無さすぎるというか。いい意味でも悪い意味でも強すぎるなぁ、と思う。マルクスの方が私より主人みたいだわ。
仕事のできるユイだからきっともう指示は出してくれていたはずだけど、マルクスの指示に従ったみたいな形になってしまって、笑顔のままだけど口元が僅かに引きつっている気がする。
ユイは表情に不機嫌さを出すことは無いから、何となくそんな気がした、というだけだけど。
運ばれてきたお皿に「ぼくがとるね」と私のためのケーキを選んでいるアスルの、先程マルクスの手で崩れてしまった髪を整える。
いちばん大きいやつ……と均等に切られているケーキを真剣に見つめている様子をマルクスがじっと見つめている。
ふと視線を上げたマルクスと目が合えば、マルクスはそっと息を吐き出した。
「安心した。うまくやってるみたいだな」
心配してくれてたことに心が暖かくなってくすぐったい気持ちになる。
マルクスは昔から私のことを気にしてくれていた。
急に決まった、普通とは少し違う結婚に私が辛い思いをしていないのか、きっとずっと考えさせてしまっていた。
だから精一杯の笑顔を浮かべてみる。
「うん、家族ができて私、すごく幸せなの」
血の繋がりは無いけれど、可愛くて大事な、世界で一人だけの私の息子。
はい、と差し出されたお皿に乗ったケーキは、やっぱり他のものと同じ大きさだけど、いちばん甘くて美味しそう。
この子に会えたことは嘘偽りなく私の一番の幸福なの。この想いをが伝わるように。
「……そうか。少しでもダメそうなら連れて帰ろうと思ってたんだけどな」
「だめだよ!」
どこか寂しそうに微笑んだマルクスの言葉に、アスルが声を上げて私に腕を回して抱きついてきた。
「アスル?」
「エルシーはぼくのおかあさまでしょ。いなくなったらやだ」
今にも泣き出してしまいそうなアスルにバツが悪そうな顔をするマルクスが視界の端に見えたけど、それよりも、と私はアスルをそっと抱きしめた。どんどん大きくなっていくけど、まだまだ私の両腕の中にすっぽりと収まってしまう。
「私はアスルの前からいなくならないよ。今だってここにいるし、明日も明後日もずっと一緒。そう約束したでしょう」
ね、とできるだけ優しい声を意識して語りかける。
アスルが私に縋り付いているようだけど、本当は私の方が必死に縋り付いている。少しでも長くその成長を見ていたいし、私の居場所はもうアスルの隣。
よしよしとゆっくりと背中を撫でていれば、少しづつ私にしがみついた手の力が緩んでくる。
「あー……、悪かったな。エルシーを連れて行ったりしないから安心ひてくれ、な?」
「ほんとうに?」
「あぁ、俺はエルシーのことならなんでも分かる兄ちゃんだから、お前のことを本当に大事に大好きに思ってるんだってわかるんだ」
ガシガシ、とアスルの頭を撫でるマルクスにアスルが固まってしまう。
貴族とも付き合いがあるのにマルクスはいつまでたっても乱暴というかガサツというか。アスルが怖がったり嫌がったりしていないからまだいいけれど。
「俺も、エルシーが幸せならそれでいいんだ。しっかりエルシーを守って幸せにしてやってくれよ」
「ちょっと、マルクス。それは母である私の役目なんだから」
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