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誕生日の約束
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耐えるように、声をあげずに震えるアスルの瞳からは次々と涙が溢れて止まらない。このまま泣き続けたら体の水分が無くなってしまうんじゃないかと心配になる。
「アスル……? どうしたの? どこか痛い?」
「……」
慌てて問いかける私に、アスルは無言で首を横に振る。
どうして泣いているのか分からない。
「エルシー……ぼくのたんじょうびお祝いしてくれるって言った……」
「え、ええ! もちろんよ! たくさんたくさんお祝いして、世界で一番幸せになってもらうんだから!」
「でも、エルシーおたんじょうびっておしえてくれなかったぁ」
「えっ」
「ぼくも、エルシーのことおいわいしたいのにぃ……」
「へっ」
えぐえぐと嗚咽をあげるアスルにさらにどうしたらいいのか分からなくなる。
私の可愛い息子をどうしたら笑顔にしてあげられるのか。必死に考える私に誰も助け舟を出してはくれない。
「それなら……」
少しくらい願い事を言ってみてもいいだろうか、と小さく口を開いた私に、アスルがこちらを見た。普段の様子からは考えられないような子供らしさで「おいわいするぅ」と泣きながら繰り返していたアスルの瞳からは未だポロリポロリと涙が粒となって溢れ出ているけれど。
「それなら、お祝いしてくれる? 朝起きておめでとうって言って、一日傍にいてくれる? アスルの一日を私のためにちょうだい」
たった一人の家族がお祝いしてくれるなんて、それほど素晴らしいプレゼントは他にない。
もちろん、そんな一日がなくても、ここでは毎日が幸せしかないけれど、家族に囲まれてお祝いされる誕生日は少しだけ羨ましい物であったことは確かだった。
零れ出た小さな本音は、聞こえなかったのかもしれない。
キョトンとこちらを見上げるアスルにそう思ったけれど、涙が止まった瞳はゆっくりとキラキラと輝き出して、その後アスルは大きく頷いた。
「うん! ぼく、エルシーのおたんじょうび、お祝いするよ! 生まれてきてくれてありがとうってたくさん言う!」
その言葉に、今度は私が泣いてしまいそうになった。
だけど、今泣いてしまったらアスルがきっと困ってしまう。嬉し泣きはアスルにはまだ難しいと思ったから、必死に耐えて笑顔を作った。
アスルの存在こそが私の一番のプレゼントなの。
自分の誕生日なんて気にしていないというのも本心だったけど、今年はすごく楽しみになった。
□□□
「あーあ、小さなナイトにとられちゃったな。兄貴失恋?」
二人の世界の邪魔をしないように、と見守っていたエルバートはマルクスに言葉を投げかけた。視線はエルシーを見つめたまま、テーブルの上から拝借したクッキーを口に放り込む。
「失恋ならとっくにしてる」
今さら何を言っているんだ、と視線を向けたマルクスに、エルバートは肩を竦めた。
「俺、エルシーと家族になりたかったんだけど」
「お前だって失恋じゃねぇか」
「ちがうよ。俺のは恋愛感情じゃないし、姉ちゃんとして純粋に好きだったの。ただの家族愛だよ。それなのにエルシーはいつだって俺たちと距離を置こうとしてた」
一緒にすんな、と二枚目のクッキーを咀嚼し始めたエルバートにマルクスは項垂れるしかない。
本当なら家族として迎え入れたかったのに、連れ戻してしまいたかったのに、あの小さな存在に勝てる気はしなかった。エルシーにとって本当の家族として受け入れられたのはたった一人しかいないのだ。
幼い子供だった頃の自分が傷つけることしか出来なかった存在を、守り支えて癒している。それは確かに騎士の名前が相応しい。
「泣くなよ兄貴」
「泣くかよ」
「んじゃ、俺はエルシーの子供と一緒に誕生日パーティの計画立ててこよ」
「お前、ほんとに居座る気かよ」
「もちろん。当日絶対に祝うって決めてきたんだから」
飄々と答えてエルシーとアスルに近づいていくエルバートの背中を見て、マルクスは大きくため息を吐き出した。
□□□
アスルを抱きしめながら視界の端に見えたエルバートの姿に顔をあげれば、釣られるようにアスルも顔を上げた。
「エルバート、来てくれてありがとう。今から帰れば誕生日当日は家族で祝えるよね」
私のためにエルバートの誕生日を台無しにしてしまうところだったから、まだ少し余裕のある時間で良かった。
そう思って声をかけたのに、エルバートは呆れたような顔でため息を吐き出して、私とアスルの傍にしゃがみ込んだ。
「はぁ? 帰るわけないでしょ。俺はエルシーのこと祝いに来たんだって。何度も言わせるなよな。そもそも家族で誕生日祝うようなガキじゃないんだけど。周りの奴らだって当日に家にいる方が珍しいし」
「え、じゃぁ毎年どうしてたの?」
心底驚いた。
誕生日は家で家族で過ごすものだと思っていた。家族がどんなに忙しい中でも私に想いを向けてくれる日、ずっとそういうものだと思っていたのに。
それに、毎年エルバートの誕生日パーティの招待状も私は貰っていたはずなんだけど、あれは一体何だったの。
「んー、彼女といたり友達といたり。普通に何もせず一人でふらついてた時だってある。エルシーが誘いに乗ってくれば家で家族に祝われてやる気でいたけど」
そんな日は来なかったな、とエルバートに笑われる。なんだかとても悪いことをしてしまっていた気がする。
「エルシーのケーキだけは持ち出せないし家で食ってたけどな。毎年俺の事ばっか気にしてたけど、今年は俺が祝う番だから大人しく主役としてじっと祝われてろ」
「祝われてろ、って……」
なんて言い方だ、と思う。なぜか上から目線のエルバートは、 今度はアスルに視線を向けた。ニコリと笑うと人懐っこい犬みたいで、アスルは不思議そうに泣いて赤くなった目で見つめ返す。
警戒心はあまり感じられない。
「はじめまして、だな。俺はエルバート」
「えるばーと」
初めての名前を転がすように口に出して繰り返したアスルに、エルバートは「そうだ」と頷いた。
「エルシーと名前が似てるだろ? 俺はエルシーの弟なんだ」
「エルシーの?」
私の名前を聞いて、エルバートの方に少しだけ身を乗り出した。
「そうだよ。だから俺とも仲良くしてくれよ」
「うん。エルバートと仲良くする。ぼくはアスルだよ」
「うし、アスルな。んじゃまずはエルシーの誕生日会、一緒に用意しないか?」
「っうん! ぼく、エルシーのこといっぱいお祝いする! まえもね、パーティしたの。ぼくが用意したんだよ。だからぼくできるんだよ」
「おお、そりゃ頼もしいな」
すっかり意気投合してしまっている。
エルバートを見上げて手を大きく動かしながら話しかけるアスルに、エルバートがしゃがみ込んだまま相槌を返していて、いつの間にかマルクスも混ざって小さな会議になっていた。
私の誕生日についてあれやこれやと真剣に悩んでいる様子を見ながら、私はすっかり蚊帳の外。仲良くしてくれるのは嬉しいんだけど、和めばいいのか悲しめばいいのかよく分からない。
サプライズ、なんて言葉が聞こえてきたからやっぱり離れていた方がいいのかもしれないわ。
そう思いながらユイが新しく用意してくれたお菓子と紅茶を口にする。華やかな香りと甘みのある高級な味に、自然と顔が緩んでしまうほど美味しいからお気に入りだけど、怖くて値段は聞けていない。知らないからこそ楽しめているのだから。
それにしても、私の誕生日パーティだなんて。現実味が感じられない、不思議な気分。
ここに来てから一生分の経験をさせてもらっているみたい。
楽しげな声を聴きながら、私はそっと目を閉じて舌鼓を打った。
「アスル……? どうしたの? どこか痛い?」
「……」
慌てて問いかける私に、アスルは無言で首を横に振る。
どうして泣いているのか分からない。
「エルシー……ぼくのたんじょうびお祝いしてくれるって言った……」
「え、ええ! もちろんよ! たくさんたくさんお祝いして、世界で一番幸せになってもらうんだから!」
「でも、エルシーおたんじょうびっておしえてくれなかったぁ」
「えっ」
「ぼくも、エルシーのことおいわいしたいのにぃ……」
「へっ」
えぐえぐと嗚咽をあげるアスルにさらにどうしたらいいのか分からなくなる。
私の可愛い息子をどうしたら笑顔にしてあげられるのか。必死に考える私に誰も助け舟を出してはくれない。
「それなら……」
少しくらい願い事を言ってみてもいいだろうか、と小さく口を開いた私に、アスルがこちらを見た。普段の様子からは考えられないような子供らしさで「おいわいするぅ」と泣きながら繰り返していたアスルの瞳からは未だポロリポロリと涙が粒となって溢れ出ているけれど。
「それなら、お祝いしてくれる? 朝起きておめでとうって言って、一日傍にいてくれる? アスルの一日を私のためにちょうだい」
たった一人の家族がお祝いしてくれるなんて、それほど素晴らしいプレゼントは他にない。
もちろん、そんな一日がなくても、ここでは毎日が幸せしかないけれど、家族に囲まれてお祝いされる誕生日は少しだけ羨ましい物であったことは確かだった。
零れ出た小さな本音は、聞こえなかったのかもしれない。
キョトンとこちらを見上げるアスルにそう思ったけれど、涙が止まった瞳はゆっくりとキラキラと輝き出して、その後アスルは大きく頷いた。
「うん! ぼく、エルシーのおたんじょうび、お祝いするよ! 生まれてきてくれてありがとうってたくさん言う!」
その言葉に、今度は私が泣いてしまいそうになった。
だけど、今泣いてしまったらアスルがきっと困ってしまう。嬉し泣きはアスルにはまだ難しいと思ったから、必死に耐えて笑顔を作った。
アスルの存在こそが私の一番のプレゼントなの。
自分の誕生日なんて気にしていないというのも本心だったけど、今年はすごく楽しみになった。
□□□
「あーあ、小さなナイトにとられちゃったな。兄貴失恋?」
二人の世界の邪魔をしないように、と見守っていたエルバートはマルクスに言葉を投げかけた。視線はエルシーを見つめたまま、テーブルの上から拝借したクッキーを口に放り込む。
「失恋ならとっくにしてる」
今さら何を言っているんだ、と視線を向けたマルクスに、エルバートは肩を竦めた。
「俺、エルシーと家族になりたかったんだけど」
「お前だって失恋じゃねぇか」
「ちがうよ。俺のは恋愛感情じゃないし、姉ちゃんとして純粋に好きだったの。ただの家族愛だよ。それなのにエルシーはいつだって俺たちと距離を置こうとしてた」
一緒にすんな、と二枚目のクッキーを咀嚼し始めたエルバートにマルクスは項垂れるしかない。
本当なら家族として迎え入れたかったのに、連れ戻してしまいたかったのに、あの小さな存在に勝てる気はしなかった。エルシーにとって本当の家族として受け入れられたのはたった一人しかいないのだ。
幼い子供だった頃の自分が傷つけることしか出来なかった存在を、守り支えて癒している。それは確かに騎士の名前が相応しい。
「泣くなよ兄貴」
「泣くかよ」
「んじゃ、俺はエルシーの子供と一緒に誕生日パーティの計画立ててこよ」
「お前、ほんとに居座る気かよ」
「もちろん。当日絶対に祝うって決めてきたんだから」
飄々と答えてエルシーとアスルに近づいていくエルバートの背中を見て、マルクスは大きくため息を吐き出した。
□□□
アスルを抱きしめながら視界の端に見えたエルバートの姿に顔をあげれば、釣られるようにアスルも顔を上げた。
「エルバート、来てくれてありがとう。今から帰れば誕生日当日は家族で祝えるよね」
私のためにエルバートの誕生日を台無しにしてしまうところだったから、まだ少し余裕のある時間で良かった。
そう思って声をかけたのに、エルバートは呆れたような顔でため息を吐き出して、私とアスルの傍にしゃがみ込んだ。
「はぁ? 帰るわけないでしょ。俺はエルシーのこと祝いに来たんだって。何度も言わせるなよな。そもそも家族で誕生日祝うようなガキじゃないんだけど。周りの奴らだって当日に家にいる方が珍しいし」
「え、じゃぁ毎年どうしてたの?」
心底驚いた。
誕生日は家で家族で過ごすものだと思っていた。家族がどんなに忙しい中でも私に想いを向けてくれる日、ずっとそういうものだと思っていたのに。
それに、毎年エルバートの誕生日パーティの招待状も私は貰っていたはずなんだけど、あれは一体何だったの。
「んー、彼女といたり友達といたり。普通に何もせず一人でふらついてた時だってある。エルシーが誘いに乗ってくれば家で家族に祝われてやる気でいたけど」
そんな日は来なかったな、とエルバートに笑われる。なんだかとても悪いことをしてしまっていた気がする。
「エルシーのケーキだけは持ち出せないし家で食ってたけどな。毎年俺の事ばっか気にしてたけど、今年は俺が祝う番だから大人しく主役としてじっと祝われてろ」
「祝われてろ、って……」
なんて言い方だ、と思う。なぜか上から目線のエルバートは、 今度はアスルに視線を向けた。ニコリと笑うと人懐っこい犬みたいで、アスルは不思議そうに泣いて赤くなった目で見つめ返す。
警戒心はあまり感じられない。
「はじめまして、だな。俺はエルバート」
「えるばーと」
初めての名前を転がすように口に出して繰り返したアスルに、エルバートは「そうだ」と頷いた。
「エルシーと名前が似てるだろ? 俺はエルシーの弟なんだ」
「エルシーの?」
私の名前を聞いて、エルバートの方に少しだけ身を乗り出した。
「そうだよ。だから俺とも仲良くしてくれよ」
「うん。エルバートと仲良くする。ぼくはアスルだよ」
「うし、アスルな。んじゃまずはエルシーの誕生日会、一緒に用意しないか?」
「っうん! ぼく、エルシーのこといっぱいお祝いする! まえもね、パーティしたの。ぼくが用意したんだよ。だからぼくできるんだよ」
「おお、そりゃ頼もしいな」
すっかり意気投合してしまっている。
エルバートを見上げて手を大きく動かしながら話しかけるアスルに、エルバートがしゃがみ込んだまま相槌を返していて、いつの間にかマルクスも混ざって小さな会議になっていた。
私の誕生日についてあれやこれやと真剣に悩んでいる様子を見ながら、私はすっかり蚊帳の外。仲良くしてくれるのは嬉しいんだけど、和めばいいのか悲しめばいいのかよく分からない。
サプライズ、なんて言葉が聞こえてきたからやっぱり離れていた方がいいのかもしれないわ。
そう思いながらユイが新しく用意してくれたお菓子と紅茶を口にする。華やかな香りと甘みのある高級な味に、自然と顔が緩んでしまうほど美味しいからお気に入りだけど、怖くて値段は聞けていない。知らないからこそ楽しめているのだから。
それにしても、私の誕生日パーティだなんて。現実味が感じられない、不思議な気分。
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