17 / 21
自称弟と妹の主張
しおりを挟む
夜には私の誕生日のパーティを開いてくれるらしい。使用人も揃って参加の夜会なんて、なんだか楽しそう。
小さいもので申し訳無いのですが、なんてユイ達は残念そうな顔をしていたけれど、会場の広間は伯爵家の屋敷とは比べ物にならない広さで、公爵家の使用人たちは元々の私なんかよりも身分が上の人だって多い。身内の小さなホームパーティとは言えない規模だと思う。
伯爵領では夜会なんて開く余裕は無かったから、せっかくの広間も埃を被ってしまい使うことはほとんど無かった。
伯爵家の人間として最低限の集まりには顔だけ出したことはあるけれど、それだって数は多くない。
皆が忙しなく動き回る中、私も何か手伝おうと声をかけたけれど「エルシー様のお誕生日パーティなんですから」と皆同じ理由で断られてしまって、今は見張り役のアスルと一緒に応接室に来ている。
時間までプレゼントを開けて確認するのが私の仕事らしい。
沢山のプレゼントにどれから開けようか、なんて小さな子供みたいにワクワクしてしまう。
「ぼくのプレゼントがいちばんだから、にばんめは好きなのをあけていいよ!」
横にいるアスルは自分の番が終わっているからか余裕の表情で、その顔がすごく可愛い。
とりあえず近くにあるものから、とひとつずつ丁寧に包みを開いていればノックもされずに開いた扉から、エルバートが欠伸をしながら中へと入ってきた。
「おー、やってるやってる」
手に持っていたプレゼントを一度置いて、私はエルバートに近づいた。
「エルバート、誕生日おめでとう」
「ん、エルシーもおめでと」
面と向かって言い合うのはなんだか気恥しい。
そう思う私の頭をエルバートがくしゃりと撫でるから慌ててその手の動きを止めた。
せっかくユイが綺麗に巻いてくれたのに髪が崩れてしまう。
「エルバート、私のより自分の髪を直さないと。そこ、寝癖がついたままよ」
手を伸ばせば、エルバートは大人しく身を眺めて私の手に頭を近づけた。
マルクスよりも背の高いエルバートの頭は、私が背伸びをしても届かない高さにある。昔は私よりずっと小さかったのに、気づけば見上げるのが当たり前になっていた。
馴染ませるように何度か手で撫でれば、すぐに寝癖は分からなくなる。
自分でも手で髪の感触を確かめたエルバートは満足そうに笑みを零した。
「さすがエルシー」
「まったく、調子がいいんだから」
「兄弟の真ん中はそうじゃないとやってけないからなぁ」
じっと私たちの横でやり取りを見つめていたアスルが足を踏み出せば、ケラケラと笑っていたエルバートが気づいてしゃがみこむ。
「おー、エルシーの息子。どうした?」
変な呼び方をするのはやめて欲しい。アスルは気にしていないみたいだけど。
「あのね、ぼくもエルシーに髪の毛なおしてもらったんだよ」
「そうかそうか、エルシーの手は気持ちいいよな」
「うん。あったかくてやさしくてふわふわするの」
「わかるわかる。だからやめられないんだよな」
恥ずかしい話題で意気投合する二人だけど、私には気になる言葉が聞こえて思わず割って入ってしまう。
「ちょっと待って、エルバート。もしかしていつも寝癖がついているのはワザとなの?」
「俺そんなこと言ってないけど」
飄々と笑うエルバートは絶対に嘘をついているけど、私が問いただす前にプレゼントの山に手を伸ばして誤魔化された。
「あ、これこれ。俺の。開けてみてよ」
「あ、ちょっと」
ひょいっと投げて渡された包みに慌てて手を伸ばす。
早く早く、と急かすエルバートにゆっくりと包みを開けていけば、綺麗な淡い色に同じ色の箔押しがされた封筒と便箋、それから万年筆とガラスペンとインクが入っていた。
「綺麗……」
それぞれに付いた装飾も繊細で、使うには勿体ない。
私の横で一緒に覗き込んでいたアスルも「わぁ」と思わず声を上げている。
「それでさ、俺に手紙書いてよ。エルシーほっといたら近況報告とか絶対して来なさそうだし。今日食べたものとかでいいから俺知りたい。今年の俺へのプレゼントはその約束でいいよ」
あと、公爵に虐められたら絶対に言うこと、と笑顔で言うエルバートに不敬だと思うのに、どこか嬉しくも感じてしまう。
「ありがとう、エルバート。大切に使うし、ちゃんと手紙書くね。……あ、そうだ、待ってて。私も貴方へのプレゼント持ってくるから」
慌てて立ち上がろうとした私を「待って」とエルバートが手で制した。
「今日は俺、エルシーの誕生日を祝いに来たんだから、プレゼント受け取る気は無いんだよ」
「え、だってエルバートだって今日が誕生日でしょう」
「そうだけど。今日だけはエルシーの日なの。明日なら貰ってあげるからさ」
「明日って……。せっかく当日にこうして会ってるのに」
断固拒否、の姿勢をとるエルバートは本気で受け取ってくれる気がないらしい。困り果てる私にエルバートは子供を諭すように身を屈めて視線を合わせてきた。
「言っとくけど、毎年エルシーが俺にやってたことのお返ししてるだけだから。反省して諦めて」
確かに、毎年何かと理由をつけて当日のお祝いを避けてきたのは私だから、言い返す言葉が見つけられない。
「はい、これはウェンディからの。あいつも絶対当日に開けろって騒いでたから今開けて。俺が証人だから」
明るい声で次に渡されたのは小さな箱で、分かりやすく【愛しの妹ウェンディより】と書かれていた。
ウェンディは今15歳、マルクスとエルバートの妹で、3人の中で一番しっかりしている。アトリの教育もサボらず真剣に受けているから私なんかよりも余程ご令嬢らしい。
綺麗に整った字は可憐なご令嬢を連想させるけれど、プレゼントの包みの真ん中に大きく書かれた文字が彼女の本来の性格を表している気がする。
外見も仕草も完璧な令嬢なのに、ヤンチャな悪餓鬼男子たちに混ざり、しかもまとめあげてしまう。それがウェンディだった。
丁寧に包みを開けて出て来たのは綺麗な髪飾り。お揃いね、と一言書かれたカードが入っていて、私でも普段使いしやすいように本物の宝石ではなくて精巧なガラス細工で出来ている。その心配りが嬉しい。
よく見るとモチーフが蜘蛛になっているところが残念なところではあるけれど。
「うわ、アイツ相変わらず趣味がいいんだか悪いんだかわかんないな」
「ありがとうって伝えておいてね」
近いうちに王都のお菓子でもお返しに送ろうと思う。
「姉妹でお揃いだって自慢して回るんだろうなぁ。俺もお揃いにすりゃよかったか」
「それじゃまるで恋人みたいじゃない」
「えー、いいじゃん。恋人みたいな姉弟」
口を尖らせるエルバートのジャケットの裾を、手を伸ばしたアスルがくいくいと引っ張る。
身を寄せたエルバートにアスルはふふんと胸を張った。
「ぼくね、エルシーとおそろいだよ」
これとそれ、いっしょなんだよ、と自分の着ている服と私のドレスを指さして笑う。このために作られたお揃いの服は勿論全身が似ている。
張り合うように自慢するその様子が可愛くて、私とエルバートは顔を見合せて笑った。
小さいもので申し訳無いのですが、なんてユイ達は残念そうな顔をしていたけれど、会場の広間は伯爵家の屋敷とは比べ物にならない広さで、公爵家の使用人たちは元々の私なんかよりも身分が上の人だって多い。身内の小さなホームパーティとは言えない規模だと思う。
伯爵領では夜会なんて開く余裕は無かったから、せっかくの広間も埃を被ってしまい使うことはほとんど無かった。
伯爵家の人間として最低限の集まりには顔だけ出したことはあるけれど、それだって数は多くない。
皆が忙しなく動き回る中、私も何か手伝おうと声をかけたけれど「エルシー様のお誕生日パーティなんですから」と皆同じ理由で断られてしまって、今は見張り役のアスルと一緒に応接室に来ている。
時間までプレゼントを開けて確認するのが私の仕事らしい。
沢山のプレゼントにどれから開けようか、なんて小さな子供みたいにワクワクしてしまう。
「ぼくのプレゼントがいちばんだから、にばんめは好きなのをあけていいよ!」
横にいるアスルは自分の番が終わっているからか余裕の表情で、その顔がすごく可愛い。
とりあえず近くにあるものから、とひとつずつ丁寧に包みを開いていればノックもされずに開いた扉から、エルバートが欠伸をしながら中へと入ってきた。
「おー、やってるやってる」
手に持っていたプレゼントを一度置いて、私はエルバートに近づいた。
「エルバート、誕生日おめでとう」
「ん、エルシーもおめでと」
面と向かって言い合うのはなんだか気恥しい。
そう思う私の頭をエルバートがくしゃりと撫でるから慌ててその手の動きを止めた。
せっかくユイが綺麗に巻いてくれたのに髪が崩れてしまう。
「エルバート、私のより自分の髪を直さないと。そこ、寝癖がついたままよ」
手を伸ばせば、エルバートは大人しく身を眺めて私の手に頭を近づけた。
マルクスよりも背の高いエルバートの頭は、私が背伸びをしても届かない高さにある。昔は私よりずっと小さかったのに、気づけば見上げるのが当たり前になっていた。
馴染ませるように何度か手で撫でれば、すぐに寝癖は分からなくなる。
自分でも手で髪の感触を確かめたエルバートは満足そうに笑みを零した。
「さすがエルシー」
「まったく、調子がいいんだから」
「兄弟の真ん中はそうじゃないとやってけないからなぁ」
じっと私たちの横でやり取りを見つめていたアスルが足を踏み出せば、ケラケラと笑っていたエルバートが気づいてしゃがみこむ。
「おー、エルシーの息子。どうした?」
変な呼び方をするのはやめて欲しい。アスルは気にしていないみたいだけど。
「あのね、ぼくもエルシーに髪の毛なおしてもらったんだよ」
「そうかそうか、エルシーの手は気持ちいいよな」
「うん。あったかくてやさしくてふわふわするの」
「わかるわかる。だからやめられないんだよな」
恥ずかしい話題で意気投合する二人だけど、私には気になる言葉が聞こえて思わず割って入ってしまう。
「ちょっと待って、エルバート。もしかしていつも寝癖がついているのはワザとなの?」
「俺そんなこと言ってないけど」
飄々と笑うエルバートは絶対に嘘をついているけど、私が問いただす前にプレゼントの山に手を伸ばして誤魔化された。
「あ、これこれ。俺の。開けてみてよ」
「あ、ちょっと」
ひょいっと投げて渡された包みに慌てて手を伸ばす。
早く早く、と急かすエルバートにゆっくりと包みを開けていけば、綺麗な淡い色に同じ色の箔押しがされた封筒と便箋、それから万年筆とガラスペンとインクが入っていた。
「綺麗……」
それぞれに付いた装飾も繊細で、使うには勿体ない。
私の横で一緒に覗き込んでいたアスルも「わぁ」と思わず声を上げている。
「それでさ、俺に手紙書いてよ。エルシーほっといたら近況報告とか絶対して来なさそうだし。今日食べたものとかでいいから俺知りたい。今年の俺へのプレゼントはその約束でいいよ」
あと、公爵に虐められたら絶対に言うこと、と笑顔で言うエルバートに不敬だと思うのに、どこか嬉しくも感じてしまう。
「ありがとう、エルバート。大切に使うし、ちゃんと手紙書くね。……あ、そうだ、待ってて。私も貴方へのプレゼント持ってくるから」
慌てて立ち上がろうとした私を「待って」とエルバートが手で制した。
「今日は俺、エルシーの誕生日を祝いに来たんだから、プレゼント受け取る気は無いんだよ」
「え、だってエルバートだって今日が誕生日でしょう」
「そうだけど。今日だけはエルシーの日なの。明日なら貰ってあげるからさ」
「明日って……。せっかく当日にこうして会ってるのに」
断固拒否、の姿勢をとるエルバートは本気で受け取ってくれる気がないらしい。困り果てる私にエルバートは子供を諭すように身を屈めて視線を合わせてきた。
「言っとくけど、毎年エルシーが俺にやってたことのお返ししてるだけだから。反省して諦めて」
確かに、毎年何かと理由をつけて当日のお祝いを避けてきたのは私だから、言い返す言葉が見つけられない。
「はい、これはウェンディからの。あいつも絶対当日に開けろって騒いでたから今開けて。俺が証人だから」
明るい声で次に渡されたのは小さな箱で、分かりやすく【愛しの妹ウェンディより】と書かれていた。
ウェンディは今15歳、マルクスとエルバートの妹で、3人の中で一番しっかりしている。アトリの教育もサボらず真剣に受けているから私なんかよりも余程ご令嬢らしい。
綺麗に整った字は可憐なご令嬢を連想させるけれど、プレゼントの包みの真ん中に大きく書かれた文字が彼女の本来の性格を表している気がする。
外見も仕草も完璧な令嬢なのに、ヤンチャな悪餓鬼男子たちに混ざり、しかもまとめあげてしまう。それがウェンディだった。
丁寧に包みを開けて出て来たのは綺麗な髪飾り。お揃いね、と一言書かれたカードが入っていて、私でも普段使いしやすいように本物の宝石ではなくて精巧なガラス細工で出来ている。その心配りが嬉しい。
よく見るとモチーフが蜘蛛になっているところが残念なところではあるけれど。
「うわ、アイツ相変わらず趣味がいいんだか悪いんだかわかんないな」
「ありがとうって伝えておいてね」
近いうちに王都のお菓子でもお返しに送ろうと思う。
「姉妹でお揃いだって自慢して回るんだろうなぁ。俺もお揃いにすりゃよかったか」
「それじゃまるで恋人みたいじゃない」
「えー、いいじゃん。恋人みたいな姉弟」
口を尖らせるエルバートのジャケットの裾を、手を伸ばしたアスルがくいくいと引っ張る。
身を寄せたエルバートにアスルはふふんと胸を張った。
「ぼくね、エルシーとおそろいだよ」
これとそれ、いっしょなんだよ、と自分の着ている服と私のドレスを指さして笑う。このために作られたお揃いの服は勿論全身が似ている。
張り合うように自慢するその様子が可愛くて、私とエルバートは顔を見合せて笑った。
1,300
あなたにおすすめの小説
近すぎて見えない
綾崎オトイ
恋愛
当たり前にあるものには気づけなくて、無くしてから気づく何か。
ずっと嫌だと思っていたはずなのに突き放されて初めてこの想いに気づくなんて。
わざと護衛にまとわりついていたお嬢様と、そんなお嬢様に毎日付き合わされてうんざりだと思っていた護衛の話。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
だって悪女ですもの。
とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。
幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。
だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。
彼女の選択は。
小説家になろう様にも掲載予定です。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる