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兄からの宣戦布告
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大きな音とともに開かれた扉に、自然と注目が集まる。
私の視線も吸い込まれるようにそこに向かって、そこにいた人物に目を瞬かせてしまった。
「公爵様?」
どうしてここに、と驚きで声が出てしまう。
お仕事が忙しいと、ここ数日は顔も見ていなかったのに。その公爵様が慌てた様子で壁に手をついて立っている。
撫でつけられていたであろう濡れ羽色の髪は崩れていて、いつもしっかりと整えられている服装も少し乱れている。緩んだ首元に歪んだタイ。汗ばむ額を拭って息を整えている様子から随分と慌ててやってきたのだろうと思う。
いつも慌ただしくしてはいるけれど、常に大人の落ち着きがある公爵様にしては珍しい。
それでもその整った容姿は崩れていても完璧に思えて、美形ってお得だな、なんて考えてしまった。きっとアスルも美形に育つに違いない。今からとても楽しみだわ。
紺青の瞳がこちらを向いて、私と視線がぶつかった。
「エルシー!」
つかつかと長い足で一瞬で距離を詰めてきた公爵様が目の前に立つ。その手には見たことのない花でできた花束が握られていて、その綺麗や花束が私に差し出されていた。
「あの?」
「エルシー、誕生日おめでとう。遅くなってすまない。君の誕生日を聞いたのがギリギリで……なんていうのは言い訳だな。どうにか王宮で育てている花を貰って花束だけは用意したんだが、プレゼントは後日になってしまいそうだ」
間に合ってよかった、と眉を下げながら呟いた公爵様は相当無理をしたに違いない。多忙で帰ってこられないほどだったのにわざわざ私の誕生日のせいで予定を崩してしまうなんて。
「王宮のお花だなんて、貴重な物をありがとうございます。プレゼントなんて気にしないでください」
受け取った花束からふわりと優しい香りが漂った。桃色の薄い花弁は角度を変えると色味が少し変化して見えてとても綺麗。
これだけで十分すぎる誕生日プレゼントだし、何よりも急いで帰ってきてくれたその心だけで十分。
そう思って微笑みかけた私の肩に、ずしりと重みが加わって、横目で見ればエルバートが私の肩を肘置き替わりに使っていた。
「これがエルシーの旦那?」
ちょっと、と文句を言うまもなく、エルバートが「これ」と公爵様を指さした。
「エルバート!ㅤ公爵様に向かってこれだなんて失礼よ!」
不遜な態度もよろしくない。平民が貴族に、しかも公爵に横暴な態度をとるのは首を切られてもおかしくない行為なのに。
それなのに、反対側にいたマルクスも再び私の肩に体重を乗せてくる。
「エルシーの息子の花束のがでかくて綺麗だったな」
エルバートを止めるどころか、私の持っている花束を覗き込んでそんなことを言い放つから目眩がした。
不敬罪どころじゃないわ。
「エルシー、その、二人は」
二人のそんな態度にも怒る様子の無い、私の両肩にいる二人に戸惑った様子の公爵様に少しだけほっとする。もちろん公爵様はお優しくて良い方だということはこの短い期間でも知っていたけれど、知らない奴が勝手に上がり込むな、なんて言われて二人が追い出されたら私も悲しい。
「この二人はアトリの息子で、マルクスとエルバートです。私の兄弟のような存在で、誕生日を祝いに来てくれたんです。二人が申し訳ございません」
私は公爵様に向かって深々と頭を下げた。本当は二人の頭に手を置いて一緒に謝らせたいけど、花束を持っている手では難しいから。私の謝罪で許して欲しい。
「そうか、その二人が君の乳母の……。エルシー、私は別に気にしていないから頭を上げてほしい。今日の主役には笑っていてもらわなければ、私がアスルに怒られてしまう」
「公爵様、ありがとうございます」
やっぱり公爵様はとても優しい。
「それに、彼らの言うことは正しい。本来私もこの準備に参加しなければいけなかったというのに、妻の誕生日も知らない男に腹を立てるのは当然のことだろう」
「いえ、そんな、私があまり自分の誕生日を気にしていなかっただけなので」
「そうだそうだ、エルシーは自分のこと無頓着なんだからせめて自分から聞くとかして欲しかったよね」
「エルバート、黙って」
私が気にしないで下さいと言う横で口をとがらすエルバートの脇腹に肘を入れて黙らせる。「エルシー痛い」という言葉は聞こえなかったことにした。
「本当に申し訳ございません」
「いや、構わない。君たちは仲がいいんだな」
「昔からずっと一緒だったので」
仲がいいと言われればなんだかむず痒い気分にさせられる。仲がいいとか悪いとか、自分たちで思う関係は通り越している気がする。お互いの変化も隠しておきたいものも全て知ってしまっていて、今更取り繕うこともできない。だから遠慮が無い、っていうだけだから。
「私にもそれくらい気安く話しかけてくれると嬉しいんだが」
真面目な顔の公爵様に一瞬理解が遅れる。
「え、私がですか?ㅤそれともこの二人?ㅤこんなに良くしてくれている公爵様にそんな失礼な態度は取れません」
恐れ多い、と首を横に振る。冗談だろうと思うけど、妻としては完全にお飾りの私には公爵様は雲の上の人。家族同然の雑な対応なんてできるわけも無い。マルクスとエルバートに気安い態度を許したらそれこそ何をするか分からないし。
「そうか。私は頑張らなければいけないようだ」
頑張るってなにを、と首を傾げた私の肩が片側だけ軽くなる。
「……なあ。ちょっと、ツラ貸してほしいんだけど、公爵サマ」
ありえない言葉が聞こえた気がする、とマルクスの顔を見上げてみれば、バルコニーを親指で指し示している姿がそこにあった。その視線は公爵様に向いていて、幻聴では無かったらしい。
「マルクス。公爵様に向かってなんてこと言うの」
「エルシーの兄がわりとして、お前を掻っ攫っていった男を殴り飛ばすのは当然の権利だろ」
「そんな権利あるわけないでしょう」
「じゃあエルシーと結婚する予定だった男として」
「またそんな冗談言ってる」
この短い時間の間にどれだけ公爵様への失礼を積み重ねるのか。アトリがかここにいたら特大の雷を落としているに違いない。
酔っ払いか子供の戯言だと聞き流してくれるかと思った公爵様は、マルクスの顔をじっと見てから静かに頷いた。
「エルシーの身内だと言うのなら断る理由は無い」
えっ、と驚いている間に二人は肩を並べて歩き出してしまった。
バルコニーで本当に殴り合いでも始まったらどうしようかと心配になる私を引き止めたのは私の肩に肘を乗せたままのエルバートで、さらに加えられた体重に身体が倒れそうになるのを必死に耐えた。履きなれないヒールで踏ん張っているおかげで、折れてしまわないかと別の心配が浮かぶ。
「どんな最低ヤローかと思ってたけど、思ってたより良い旦那じゃん」
マルクスと公爵様が消えたバルコニーを見ながら言うエルバートはずっと上から目線でどこまでも失礼だ。
「そうよ、公爵様はアスルのことをとても大事にしていて、アスルの母親役の私にまでとてもよくしてくれるんだから。素敵なお父様なのよ」
だから迷惑をかけるのはやめてよね、とやっとエルバートの腕を肩から引き離して見上げれば、何故か変な目で見つめ返された。
「エルシーって鈍感だよね」
「どこがよ」
「そういうとこ~」
エルバートは誤魔化すようにケラケラと笑った。
□□□
日の沈みかけているバルコニーは静かに風が吹いていて、会場とアルコールの熱気を覚ますのには最適な気温だった。
公爵であるディアンを気遣う様子もなく、マルクスは大股でバルコニーの手すりに近づいて振り返る。
手すりに寄りかかったマルクスは一度大きく息を吐き出してから顔を上げた。その力強い瞳からは殺気とは言わないが明確な敵意が感じられる。
「言っとくけど、エルシーと結婚する気だったのは本当だからな」
「婚約者がいたとは聞いてないが」
「エルシーに何度言っても本気にして貰えなかったから恋人でも婚約者でもなかったよ」
その言葉に明らかにほっとした表情を見せたディアンにマルクスは遠慮なく舌打ちをする。
「公爵様だかなんだか知らねぇけど、俺が絶対に手に入れられないものを、あんたは簡単にその手の中に奪い取ってったんだ。エルシーを大切にしないと許さねぇからな」
「もちろんだ。エルシーには息子も懐いていて、この屋敷でもよくやってくれている。苦労させるつもりは無い」
大きく頷いたディアンに、けれどマルクスは鋭い視線を向ける。
「あんたは」
「なんだ」
「あんたはエルシーを好きなのか」
何を言っているんだと返そうとして、マルクスの真剣な様子にディアンは一度言葉を飲み込んだ。
「好ましい、とは思っている。この先も共にいられるなら、と」
色恋前提の関係では無かったが、アスルだけでなく自分とも良い関係を築いて欲しいと思っているのは事実だ。逃げられてばかりの現状の浅い関係には些か不満がある。
取り繕うことの無いディアンの返答に、マルクスはどうにか納得したようだ。
再び大きく、息を吐き出して、マルクスはディアンに近づいた。
「あいつを泣かせたら誰に何を言われても俺が攫ってくから覚悟しとけよ」
「あぁ、肝に銘じよう」
どうやらエルシーに多少の気はあるようだが、エルシーを落とすのは至難の業だろう。せいぜい足掻いてるところを笑ってやる、とマルクスは内心で毒を吐く。
それくらいは許されるだろう。
私の視線も吸い込まれるようにそこに向かって、そこにいた人物に目を瞬かせてしまった。
「公爵様?」
どうしてここに、と驚きで声が出てしまう。
お仕事が忙しいと、ここ数日は顔も見ていなかったのに。その公爵様が慌てた様子で壁に手をついて立っている。
撫でつけられていたであろう濡れ羽色の髪は崩れていて、いつもしっかりと整えられている服装も少し乱れている。緩んだ首元に歪んだタイ。汗ばむ額を拭って息を整えている様子から随分と慌ててやってきたのだろうと思う。
いつも慌ただしくしてはいるけれど、常に大人の落ち着きがある公爵様にしては珍しい。
それでもその整った容姿は崩れていても完璧に思えて、美形ってお得だな、なんて考えてしまった。きっとアスルも美形に育つに違いない。今からとても楽しみだわ。
紺青の瞳がこちらを向いて、私と視線がぶつかった。
「エルシー!」
つかつかと長い足で一瞬で距離を詰めてきた公爵様が目の前に立つ。その手には見たことのない花でできた花束が握られていて、その綺麗や花束が私に差し出されていた。
「あの?」
「エルシー、誕生日おめでとう。遅くなってすまない。君の誕生日を聞いたのがギリギリで……なんていうのは言い訳だな。どうにか王宮で育てている花を貰って花束だけは用意したんだが、プレゼントは後日になってしまいそうだ」
間に合ってよかった、と眉を下げながら呟いた公爵様は相当無理をしたに違いない。多忙で帰ってこられないほどだったのにわざわざ私の誕生日のせいで予定を崩してしまうなんて。
「王宮のお花だなんて、貴重な物をありがとうございます。プレゼントなんて気にしないでください」
受け取った花束からふわりと優しい香りが漂った。桃色の薄い花弁は角度を変えると色味が少し変化して見えてとても綺麗。
これだけで十分すぎる誕生日プレゼントだし、何よりも急いで帰ってきてくれたその心だけで十分。
そう思って微笑みかけた私の肩に、ずしりと重みが加わって、横目で見ればエルバートが私の肩を肘置き替わりに使っていた。
「これがエルシーの旦那?」
ちょっと、と文句を言うまもなく、エルバートが「これ」と公爵様を指さした。
「エルバート!ㅤ公爵様に向かってこれだなんて失礼よ!」
不遜な態度もよろしくない。平民が貴族に、しかも公爵に横暴な態度をとるのは首を切られてもおかしくない行為なのに。
それなのに、反対側にいたマルクスも再び私の肩に体重を乗せてくる。
「エルシーの息子の花束のがでかくて綺麗だったな」
エルバートを止めるどころか、私の持っている花束を覗き込んでそんなことを言い放つから目眩がした。
不敬罪どころじゃないわ。
「エルシー、その、二人は」
二人のそんな態度にも怒る様子の無い、私の両肩にいる二人に戸惑った様子の公爵様に少しだけほっとする。もちろん公爵様はお優しくて良い方だということはこの短い期間でも知っていたけれど、知らない奴が勝手に上がり込むな、なんて言われて二人が追い出されたら私も悲しい。
「この二人はアトリの息子で、マルクスとエルバートです。私の兄弟のような存在で、誕生日を祝いに来てくれたんです。二人が申し訳ございません」
私は公爵様に向かって深々と頭を下げた。本当は二人の頭に手を置いて一緒に謝らせたいけど、花束を持っている手では難しいから。私の謝罪で許して欲しい。
「そうか、その二人が君の乳母の……。エルシー、私は別に気にしていないから頭を上げてほしい。今日の主役には笑っていてもらわなければ、私がアスルに怒られてしまう」
「公爵様、ありがとうございます」
やっぱり公爵様はとても優しい。
「それに、彼らの言うことは正しい。本来私もこの準備に参加しなければいけなかったというのに、妻の誕生日も知らない男に腹を立てるのは当然のことだろう」
「いえ、そんな、私があまり自分の誕生日を気にしていなかっただけなので」
「そうだそうだ、エルシーは自分のこと無頓着なんだからせめて自分から聞くとかして欲しかったよね」
「エルバート、黙って」
私が気にしないで下さいと言う横で口をとがらすエルバートの脇腹に肘を入れて黙らせる。「エルシー痛い」という言葉は聞こえなかったことにした。
「本当に申し訳ございません」
「いや、構わない。君たちは仲がいいんだな」
「昔からずっと一緒だったので」
仲がいいと言われればなんだかむず痒い気分にさせられる。仲がいいとか悪いとか、自分たちで思う関係は通り越している気がする。お互いの変化も隠しておきたいものも全て知ってしまっていて、今更取り繕うこともできない。だから遠慮が無い、っていうだけだから。
「私にもそれくらい気安く話しかけてくれると嬉しいんだが」
真面目な顔の公爵様に一瞬理解が遅れる。
「え、私がですか?ㅤそれともこの二人?ㅤこんなに良くしてくれている公爵様にそんな失礼な態度は取れません」
恐れ多い、と首を横に振る。冗談だろうと思うけど、妻としては完全にお飾りの私には公爵様は雲の上の人。家族同然の雑な対応なんてできるわけも無い。マルクスとエルバートに気安い態度を許したらそれこそ何をするか分からないし。
「そうか。私は頑張らなければいけないようだ」
頑張るってなにを、と首を傾げた私の肩が片側だけ軽くなる。
「……なあ。ちょっと、ツラ貸してほしいんだけど、公爵サマ」
ありえない言葉が聞こえた気がする、とマルクスの顔を見上げてみれば、バルコニーを親指で指し示している姿がそこにあった。その視線は公爵様に向いていて、幻聴では無かったらしい。
「マルクス。公爵様に向かってなんてこと言うの」
「エルシーの兄がわりとして、お前を掻っ攫っていった男を殴り飛ばすのは当然の権利だろ」
「そんな権利あるわけないでしょう」
「じゃあエルシーと結婚する予定だった男として」
「またそんな冗談言ってる」
この短い時間の間にどれだけ公爵様への失礼を積み重ねるのか。アトリがかここにいたら特大の雷を落としているに違いない。
酔っ払いか子供の戯言だと聞き流してくれるかと思った公爵様は、マルクスの顔をじっと見てから静かに頷いた。
「エルシーの身内だと言うのなら断る理由は無い」
えっ、と驚いている間に二人は肩を並べて歩き出してしまった。
バルコニーで本当に殴り合いでも始まったらどうしようかと心配になる私を引き止めたのは私の肩に肘を乗せたままのエルバートで、さらに加えられた体重に身体が倒れそうになるのを必死に耐えた。履きなれないヒールで踏ん張っているおかげで、折れてしまわないかと別の心配が浮かぶ。
「どんな最低ヤローかと思ってたけど、思ってたより良い旦那じゃん」
マルクスと公爵様が消えたバルコニーを見ながら言うエルバートはずっと上から目線でどこまでも失礼だ。
「そうよ、公爵様はアスルのことをとても大事にしていて、アスルの母親役の私にまでとてもよくしてくれるんだから。素敵なお父様なのよ」
だから迷惑をかけるのはやめてよね、とやっとエルバートの腕を肩から引き離して見上げれば、何故か変な目で見つめ返された。
「エルシーって鈍感だよね」
「どこがよ」
「そういうとこ~」
エルバートは誤魔化すようにケラケラと笑った。
□□□
日の沈みかけているバルコニーは静かに風が吹いていて、会場とアルコールの熱気を覚ますのには最適な気温だった。
公爵であるディアンを気遣う様子もなく、マルクスは大股でバルコニーの手すりに近づいて振り返る。
手すりに寄りかかったマルクスは一度大きく息を吐き出してから顔を上げた。その力強い瞳からは殺気とは言わないが明確な敵意が感じられる。
「言っとくけど、エルシーと結婚する気だったのは本当だからな」
「婚約者がいたとは聞いてないが」
「エルシーに何度言っても本気にして貰えなかったから恋人でも婚約者でもなかったよ」
その言葉に明らかにほっとした表情を見せたディアンにマルクスは遠慮なく舌打ちをする。
「公爵様だかなんだか知らねぇけど、俺が絶対に手に入れられないものを、あんたは簡単にその手の中に奪い取ってったんだ。エルシーを大切にしないと許さねぇからな」
「もちろんだ。エルシーには息子も懐いていて、この屋敷でもよくやってくれている。苦労させるつもりは無い」
大きく頷いたディアンに、けれどマルクスは鋭い視線を向ける。
「あんたは」
「なんだ」
「あんたはエルシーを好きなのか」
何を言っているんだと返そうとして、マルクスの真剣な様子にディアンは一度言葉を飲み込んだ。
「好ましい、とは思っている。この先も共にいられるなら、と」
色恋前提の関係では無かったが、アスルだけでなく自分とも良い関係を築いて欲しいと思っているのは事実だ。逃げられてばかりの現状の浅い関係には些か不満がある。
取り繕うことの無いディアンの返答に、マルクスはどうにか納得したようだ。
再び大きく、息を吐き出して、マルクスはディアンに近づいた。
「あいつを泣かせたら誰に何を言われても俺が攫ってくから覚悟しとけよ」
「あぁ、肝に銘じよう」
どうやらエルシーに多少の気はあるようだが、エルシーを落とすのは至難の業だろう。せいぜい足掻いてるところを笑ってやる、とマルクスは内心で毒を吐く。
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