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秘められた熱
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その後、手紙の差出人を呼び出して事情聴取をした。
「これはお前が坂本に宛てて書いたものだな。証拠は揃っているんだぞ、鹿島」
「どうして三木先生が手紙を持ってるんですか? 何かショック……」
「それはだな、差出人の名前が書いてないものを貰って、坂本が困っていたからだ。返事ができないだろう?」
必死に説得している最中に、坂本が飛び込んできた。
「鹿島さん……?」
「たった今、検証してたトコだ。本人も手紙の差出人だって認めたぞ」
困り果てる鹿島の顔を見て、何を言ったらいいか困ってるようだった。
助け舟を出そうと口を開きかけたら――
「あの鹿島さん、三木先生を使ってあなたを捜し出してごめんね。一方的に手紙をくれても返事ができなかったし、伝えたいことがあったから」
ふぅん、優しいじゃないか。あんなに迷惑そうにしていたのに、思いやりに溢れるセリフだ。
ふたりのやり取りに途中、口を挟みながら友達付き合いを成立させようとしたが、なかなか上手くいかなかくて、次の作戦を緻密に頭の中で組み立てた。
「でも私は、坂本さんが好きなんですっ! 独り占めしたいんです」
おー、愛の告白だ。響くものがあるなぁ、若いって羨ましい。
鹿島がそうくるなら、こっちもその作戦でいかせてもらうか。そう考えて、わざとらしく頭を抱えた。
名づけて、愛には愛で対抗しちゃうぜ作戦!
「……鹿島、どんなに坂本が好きでも、独り占めはできない。坂本の周りにはいつも、友達が囲っているし――心は僕が独り占めしているからな。何人たりとも誰も入れないんだよ。教師と生徒を越えて、愛し合ってしまったんだ」
言いながら斜め45度の方を見て、一応格好つけてみる。
「いいい、いきなり、何言い出してんの、三木先生っ!」
そんな僕を見て、坂本が頬を染めながら慌てふためいた。
おー、照れてる照れてる。可愛いじゃないか。
「ああ、もう。真っ赤な顔して、そんなに照れることないだろ。誰にも奈美を渡したくないから、つい言ってしまったんだ」
そう言うと、ハニワみたいな顔してフリーズする。もしかしてすっごく心に響いてしまったとか?
「でも坂本さん、三木先生に変なあだ名つけて、バカにしてましたけど」
「ああ、NHKのことだろ。あれはだなバカにして他の誰にも捕られないようにした、奈美なりの予防線なんだよ。NHKの本当の意味だって、濡れちゃうほど惹きつけられて困っちゃうの略だしな」
とって付けたNHKネタに内心笑いつつ坂本を見ると、辛抱たまらないという表情を浮かべていた。余計なことを言わないように、その口を塞いでやるか。
文句を言いかけた坂本に向かって歩き、強引に肩を抱き寄せてみる。もう自力で教師と生徒の壁を越えちゃいましたを、勝手にアピールしてやった。
「三木先生と坂本さん、もう深い仲なんですね……」
ありがたいことに鹿島は信じてくれたので、秘密の共有をすることで坂本との仲を友達として保ってくれるように上手く謀ってやった。
ナイトのように半端なく決まってる僕を、坂本は白い目で見つめる――先生はカレシ(仮)の関係なのに、冷たい視線だよな。
恐怖のラブレター地獄から解放されて安堵のため息をつく坂本に、放課後自宅に寄るように伝えた。
「よくまぁここまで表情が、クルクルと変わるよな。ペンネームはやっぱ、カメレオン奈美がいいぞ」
口元を綻ばせる坂本に、つい本音が漏れてしまった。そんな僕の足に体重をかけて思いっきり踏んでいった生徒を愛しいと思ったのは、ドMだからだろうか?
「これはお前が坂本に宛てて書いたものだな。証拠は揃っているんだぞ、鹿島」
「どうして三木先生が手紙を持ってるんですか? 何かショック……」
「それはだな、差出人の名前が書いてないものを貰って、坂本が困っていたからだ。返事ができないだろう?」
必死に説得している最中に、坂本が飛び込んできた。
「鹿島さん……?」
「たった今、検証してたトコだ。本人も手紙の差出人だって認めたぞ」
困り果てる鹿島の顔を見て、何を言ったらいいか困ってるようだった。
助け舟を出そうと口を開きかけたら――
「あの鹿島さん、三木先生を使ってあなたを捜し出してごめんね。一方的に手紙をくれても返事ができなかったし、伝えたいことがあったから」
ふぅん、優しいじゃないか。あんなに迷惑そうにしていたのに、思いやりに溢れるセリフだ。
ふたりのやり取りに途中、口を挟みながら友達付き合いを成立させようとしたが、なかなか上手くいかなかくて、次の作戦を緻密に頭の中で組み立てた。
「でも私は、坂本さんが好きなんですっ! 独り占めしたいんです」
おー、愛の告白だ。響くものがあるなぁ、若いって羨ましい。
鹿島がそうくるなら、こっちもその作戦でいかせてもらうか。そう考えて、わざとらしく頭を抱えた。
名づけて、愛には愛で対抗しちゃうぜ作戦!
「……鹿島、どんなに坂本が好きでも、独り占めはできない。坂本の周りにはいつも、友達が囲っているし――心は僕が独り占めしているからな。何人たりとも誰も入れないんだよ。教師と生徒を越えて、愛し合ってしまったんだ」
言いながら斜め45度の方を見て、一応格好つけてみる。
「いいい、いきなり、何言い出してんの、三木先生っ!」
そんな僕を見て、坂本が頬を染めながら慌てふためいた。
おー、照れてる照れてる。可愛いじゃないか。
「ああ、もう。真っ赤な顔して、そんなに照れることないだろ。誰にも奈美を渡したくないから、つい言ってしまったんだ」
そう言うと、ハニワみたいな顔してフリーズする。もしかしてすっごく心に響いてしまったとか?
「でも坂本さん、三木先生に変なあだ名つけて、バカにしてましたけど」
「ああ、NHKのことだろ。あれはだなバカにして他の誰にも捕られないようにした、奈美なりの予防線なんだよ。NHKの本当の意味だって、濡れちゃうほど惹きつけられて困っちゃうの略だしな」
とって付けたNHKネタに内心笑いつつ坂本を見ると、辛抱たまらないという表情を浮かべていた。余計なことを言わないように、その口を塞いでやるか。
文句を言いかけた坂本に向かって歩き、強引に肩を抱き寄せてみる。もう自力で教師と生徒の壁を越えちゃいましたを、勝手にアピールしてやった。
「三木先生と坂本さん、もう深い仲なんですね……」
ありがたいことに鹿島は信じてくれたので、秘密の共有をすることで坂本との仲を友達として保ってくれるように上手く謀ってやった。
ナイトのように半端なく決まってる僕を、坂本は白い目で見つめる――先生はカレシ(仮)の関係なのに、冷たい視線だよな。
恐怖のラブレター地獄から解放されて安堵のため息をつく坂本に、放課後自宅に寄るように伝えた。
「よくまぁここまで表情が、クルクルと変わるよな。ペンネームはやっぱ、カメレオン奈美がいいぞ」
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