【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩

文字の大きさ
8 / 177

はち

しおりを挟む
カズキは長い冒険の旅の末魔王を無事討伐すると城へと戻ってきた。

城下ではカズキ達を讃えようと多くの人達が集まり盛大に迎えた。

「すげぇなぁ…」

「なんか…怖いわ」

カズキが人々の城までと続く道を唖然としながら通って行く…後ろでは仲間のナナミが不安そうに続き、フール、ラルクがブスっと顔を顰めていた。

「気に食わん…送り出す時はこんな子供が何が出来ると言ってたくせに…」

「全くだ!」

二人の言葉に…

「お前らだって最初は『このガキが勇者だと!』って文句言ってたじゃないか」

カズキが笑って言うと

「それは!まだカズキの事をよく知らなかったからだ…今は…誰よりも頼りにしてる」

フールがふいっと顔を背けて言うと

「ありがとな、俺もフールの事ずっと頼りにしてたぜ。お前らがいなきゃ魔王を倒せなかったよ」

「よく言うぜ!ほぼカズキ一人で倒しただろうが!」

ラルクが言うと

「だが…助かった。本当にお前らのおかげだよ」

ラルクはカズキとナナミを見つめた。

「ここに来た時はどうなると思ったけど…これで終わったな…」

カズキはナナミを見る

「これで…私達帰れるんだよね?」

ナナミがカズキをみて聞くと

「ああ、そう言う話だ…ようやくナナミを返してやれる…」

カズキがぼそっと呟いた…。

「そうか…カズキ達は帰っちまうのか…」

ラルクが寂しそうに言うと

「なんだ?ラルクもやっぱり寂しいんじゃないか!」

フールがラルクを押すと

「うるさい!…でもそれがお前達の願いだもんな、俺は笑って送り出してやる!」

「ありがとフール、ラルク」

ナナミが笑ってお礼を言うと

「じゃあサッサと王様に報告してカズキ達を帰して貰おうぜ!そんでもって俺達はたっぷりと褒美を貰うんだ!」

「そうだな!カズキ達が無事帰れたら…ラルク二人で飲み明かそぜ!」

フールとラルクは寂しさを紛らわすように笑いながら人の道を歩いていった…


城につくと迎えにきた従者達に連れられ王の間へと連れていかれる。

王の間では上段の椅子に深々と王が腰掛けカズキ達を待っていた…

カズキ達は並んで膝をつき頭を下げると

「この度魔王を見事討ち取ってきたと報告を受けたが…勇者間違いないか?」

王様がカズキに問いかけると

「間違いありません」

「「「「おおー!」」」」

大臣達から歓声が上がる!

「よくやった!今夜はゆっくりと休まれよ。後日祝いのパーティーを開く!それまで城で好きに過ごすがよい」

王の言葉に…

「ありがたいお言葉ですが…俺…私達は約束通り元の世界に戻りたいと思います…」

カズキが頭を下げながら言うと…大臣や従者達がざわつき出した…。

「それの事だがな…まだ準備が整っていない…もうしばらくここにいて体を休めるがよい」

王の言葉にカズキは顔をあげた。

「話が違います!魔王を倒せば直ぐにでも帰すと約束しましたよね!」

「おい!言葉がすぎるぞ!」

王のそばにいた護衛が声を荒らげると

「うるさい!」

カズキが殺気を飛ばした、すると護衛がガクッと膝を付きそのまま気絶して前へと倒れ込む。

「隊長!」

近くにいた兵士が駆け寄ると…

「この国の部隊長を一瞬で…」

大臣達に緊張が走った。

カズキは立ち上がると

「王様、帰してくれますよね?」

カズキは王を睨みつけた…
しおりを挟む
感想 210

あなたにおすすめの小説

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

処理中です...