【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩

文字の大きさ
26 / 177

26

しおりを挟む
「ジャック!オークの所まで案内してくれる?」

走りながらエイトはジャックを見ると仕方なさそうにジャックがエイトの前に出た。

ジャックの様子に…

(なんか…嫌われちゃったなぁ…)

エイトはジャックには気づかれないように寂しそうにため息をつく…。

(じいちゃんとはすごく仲良いのになぁ…僕も早く仲良くなりたいなぁ…)

ジャックの後ろ姿を追いながらそんな事を考えていると…目の前でジャックが突然止まる!

わっ!

ジャックにぶつかりそうになりながらもどうにか止まると…ジャックがクイクイと鼻先で何かを訴える。

ジャックが示す方を見ると…そこには五体のオークが何かを探しながら彷徨いていた…

(いた…)

オークはじいちゃんと何度か倒してる…あんまり機敏じゃないから速さを活かして切り込もう!

グッと剣を握ると…

「僕は右から行くからジャックは左から…」

ジャックに囁くと…ジャックは驚いた顔を見せたあとゆっくりと頷いた。

僕はニコッと笑うと…

行くよ!

合図をして飛び出した!

自分は右から攻めると言ったエイトが飛び出すと、ジャックは様子を見ながら左のオークの喉元目掛けて突っ込んで行った!

エイトを守らないと行けない手前残りのオークをジャックは片ずけるつもりでいた…

喉の肉を噛みちぎるとビクビクとオークが痙攣を起こす…すぐ隣のオークが石の斧を振りかぶるのを横目で確認する。

当たる寸前で横に飛び退くと喉元を噛みちぎられたオークの腹に石斧が叩きつけられる。

仲間を殺して怒るオークの顔にジャックは思いっきり爪を立てた!

目を潰されたオークが滅茶苦茶に斧を振り回すのをしっかりと避けてまた喉元に噛み付く。

二体目もきっちりと殺すと三体目に取り掛かろうと顔をあげると…

ズシャ!

背を向けていたオークの腹に剣が突き立てられた!

オークのでかい体がグシャッと崩れ落ちるとエイトがフーっと息を吐きながら現れた…

(あいつが三体も殺ったのか…)

周りを見るが立っているのは自分と小さいエイトのみだった…

ジャックが自分を見ている事に気がつくと…

「あっ!ジャック凄い!二体も倒してる!」

嬉しそうに近づいて来る。

(二体も…だと…自分は三体なのに)

ギリッと歯を鳴らす…

「じゃあオークを閉まってじいちゃんのところに戻ろうか?」

エイトが下げていたカバンを開けるとそこにオークを詰めていく…小さいカバンに大きなオークが全て入るのをジャックは唖然と見つめていた。

ジャックの視線に気がつくと…

「これ?じいちゃんがくれたんだ!なんか昔どっかの城の宝箱に落ちてたらしいよ。じいちゃんは自分の空間にしまえるからいらないって…」

(人間達はそんな魔道具を持っているのか…)

ジャックはクンクンとジャックの持つカバンの匂いを嗅ぐと…

(こ、これ…ド、ドラゴンの皮じゃ…この色…この形…ニーズヘッグ?)

ゾクッと背筋が寒くなる匂いに思わず後ずさる。

「ちょっと汚れてるけど凄いよね」

エイトは無垢な笑顔で笑いかけた。
しおりを挟む
感想 210

あなたにおすすめの小説

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...