42 / 177
42.
しおりを挟む
パシッ!
振り下ろされた木の棒を大きな手が受け止める。
「おいおい、婆さんこんな子供に何してんだ?」
そこには大きな体の男がエイトを守るように立っていた…
誰だ?
見知らぬ男にジャックが警戒する。エイトを見るが知らぬ顔らしい誰だろうと眉をひそめていた。
「うるさい!そいつは私の子なんだ!親の私が何しようと構わないんだよ!それは私の所有物だ!」
女は興奮したまま唾を撒き散らし喚いている。
「あんたが親ねぇ…そうは見えんな。親とは子を守り時には見守るもんだろ?」
「うるさい!」
女が男に木の棒を投げつけるが男はヒョイと避ける。
喚く女の声にギャラリーが集まってきてしまった…女は町の人に白い目で見られると
「くっ…、おい!行くよこっちに来い!」
場所を変えようとエイトに来るように指示した。
エイトはビクッと反応すると静かに立ち上がった。
「おい…まさかあいつの所に行くわけないよな?」
ジャックがエイトに聞くとエイトは寂しそうに微笑んだ。
「早くしろ!」
エイトは女の方に足を進めると
「お前はあれが母親だって言うのか?」
助けてくれた男の人がじっとエイトの顔を見ている。
エイトが何も言えずにいると
「全く…男なら言いたい事を言ってみろ!お前の育ての親はそんな事も教えてくれなかったのか?」
お前の親と言われてエイトはカズキとナナミの顔が浮かんだ…
エイトは振り返ると女の目の前に行く。
「遅いぞ!このクズが!ほらさっさと行くよ!」
しかしエイトはじっとしている……エイトが動かない事に女が顔を顰めた。
「なんだ!?早くしろ!」
「ぉ……」
エイトがボソボソっと何か言うが女の耳には届かない。
「何言ってる?聞こえないよ!」
グズグズするエイトにイラつくいていると
「お母さんは…僕の事…好きだった?」
エイトは母親の目をじっと見つめて聞いてみた。
「はぁ?」
母親の顔が歪む…何を言っているのか分からない様子だった。
「お母さんは僕が突然居なくなって心配した?」
「心配?」
「僕の事…一度でも愛して…くれた?」
エイトが目を潤ませて母親に向き合う。
母親はフンッと鼻で笑うと
「お前のどこを愛せって言うんだ」
母親はそんな事よりも早く動けとばかりにエイトに手を伸ばす…が、
エイトはその手を払い除けた。
「はっ?」
初めての抵抗に母親の顔がみるみる赤くなる!
エイトは構わずに
「あなたは僕の親じゃない!僕を産んでくれた事は感謝する。本当の親に会うことが出来たから…だからあなたとは行けない」
ハッキリとそう言うとごめんなさいと頭を下げた。
振り下ろされた木の棒を大きな手が受け止める。
「おいおい、婆さんこんな子供に何してんだ?」
そこには大きな体の男がエイトを守るように立っていた…
誰だ?
見知らぬ男にジャックが警戒する。エイトを見るが知らぬ顔らしい誰だろうと眉をひそめていた。
「うるさい!そいつは私の子なんだ!親の私が何しようと構わないんだよ!それは私の所有物だ!」
女は興奮したまま唾を撒き散らし喚いている。
「あんたが親ねぇ…そうは見えんな。親とは子を守り時には見守るもんだろ?」
「うるさい!」
女が男に木の棒を投げつけるが男はヒョイと避ける。
喚く女の声にギャラリーが集まってきてしまった…女は町の人に白い目で見られると
「くっ…、おい!行くよこっちに来い!」
場所を変えようとエイトに来るように指示した。
エイトはビクッと反応すると静かに立ち上がった。
「おい…まさかあいつの所に行くわけないよな?」
ジャックがエイトに聞くとエイトは寂しそうに微笑んだ。
「早くしろ!」
エイトは女の方に足を進めると
「お前はあれが母親だって言うのか?」
助けてくれた男の人がじっとエイトの顔を見ている。
エイトが何も言えずにいると
「全く…男なら言いたい事を言ってみろ!お前の育ての親はそんな事も教えてくれなかったのか?」
お前の親と言われてエイトはカズキとナナミの顔が浮かんだ…
エイトは振り返ると女の目の前に行く。
「遅いぞ!このクズが!ほらさっさと行くよ!」
しかしエイトはじっとしている……エイトが動かない事に女が顔を顰めた。
「なんだ!?早くしろ!」
「ぉ……」
エイトがボソボソっと何か言うが女の耳には届かない。
「何言ってる?聞こえないよ!」
グズグズするエイトにイラつくいていると
「お母さんは…僕の事…好きだった?」
エイトは母親の目をじっと見つめて聞いてみた。
「はぁ?」
母親の顔が歪む…何を言っているのか分からない様子だった。
「お母さんは僕が突然居なくなって心配した?」
「心配?」
「僕の事…一度でも愛して…くれた?」
エイトが目を潤ませて母親に向き合う。
母親はフンッと鼻で笑うと
「お前のどこを愛せって言うんだ」
母親はそんな事よりも早く動けとばかりにエイトに手を伸ばす…が、
エイトはその手を払い除けた。
「はっ?」
初めての抵抗に母親の顔がみるみる赤くなる!
エイトは構わずに
「あなたは僕の親じゃない!僕を産んでくれた事は感謝する。本当の親に会うことが出来たから…だからあなたとは行けない」
ハッキリとそう言うとごめんなさいと頭を下げた。
31
あなたにおすすめの小説
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる