【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩

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エイト達は男達に気付かれる事無く尾行していると…

『あっ…』

男達が入っていった建物を見て顔を合わせる。

『ここって…』

『お姉さんが言ってた村長の家だよね?』

この村で一番大きな建物の前に入っていった。

『あんだけ村長の事を嗅ぎ回っていたからか…それとも何か知られたくないことがあるのか…』

ジャックが唸ると

『とりあえず、ラルク師匠の所に戻る?』

エイトが帰ろうかと言うと、ジャックがピンと尻尾を立てた!

『エイト!何かが来るぞ!急いでここを離れよう!』

建物からの気配にジャックがかけ出すと

『えっ!な、何?』

エイトが慌てて追いかける。

ジャックが角を曲がりエイトも続こうとしていると…

「待って…」

エイトは誰かに肩を掴まれる。

振り切ろうと思っていたが体がビクとも動かない…

『ジャック!ごめん…』

エイトの言葉がジャックに届く前にエイトは首元に痛みを感じた瞬間意識を手放した。

『エイト!?』

ふとエイトの気配が無くなりジャックが後ろを確認すると途中まで付いてきていたエイトの姿がない!

ジャックは慌てて戻ろうとすると…ある一定の距離で脚を止める…これより先に行けば捕まる…そんな感覚に動けずにいた。

物陰から村長の屋敷を確認すると男が袋を担いで中へと入っていく…

その後ろをゆっくりとついて行く男を見るとジャックの毛が逆だった…カズキと対峙した時の感じに似ている。

あれに逆らっては駄目だと本能が告げていた…

『エイト!エイト!』

きっとあの袋にエイトが詰められている、それがわかっているのに何も出来ない自分が歯痒くてしょうがなかった。

ジャックは男達の顔と匂いをしっかりと覚えると、ラルクの元に走った!


「ワオォォォーン!!」

ジャックは走りながらラルクの気配を探るが全然見つけられない…とりあえず拠点にした場所に向かい俺はここだと吠え続けていると…

「おい!ジャック、どうした?うるさいぞ!」

ラルクがいつの間にか後ろに立っていた…

「ラルク!大変なんだ、エイトが…エイトが!」

ジャックの慌てようにラルクは顔を引き締めると

「落ち着け、エイトがどうした」

ラルクに顔をグイッと掴まれ目を覗き込まれる…ジャックはフーと息を吐くと

「あの村で情報を集めてたら、村長ってのがきな臭くて…そしたら俺達尾行されたんだ。そいつらはまいて逆に後をつけたら村長の屋敷にそいつらが入って行った…そこまで見て俺達は帰ろうと思ったら屋敷からラルクやカズキみたいな化け物が出てきたんだ」

「化け物…?」

「あれには俺は敵わない…悔しいが対面しても死ぬ気しかなかった…だから俺はエイトを置いて来ちまった」

ジャックの耳と尻尾がしゅんと垂れ下がる…

「そうか、お前の判断は正しいぞ。そこでお前まで捕まったりやられたりしたら俺は一から動かないといけないからな」

ラルクが大丈夫だとジャックの頭をポンポンと叩くと

「どうもこの辺りはこの村を中心にここらでは現れない魔物が出現しているようだ…何かその村長ってのが知ってそうだな」

ラルクは立ち上がると

「じゃあそこに案内してくれ」

ジャックコクンと頷いた。
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