魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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あんなに話を聞いた後で、笑って頷くことなど出来ない。

魔力を吸ったらオニキス様を殺してしまうかもしれないなんて考えたら恐ろしい。

「オニキスは人より魔力量が多いから大丈夫なんだよ!」

先生にそう言われるがやはり無理だ。
私は人を殺めるくらいなら一生人に触れないでいたいと思っていた。

震える私に先生はいきなりですまなかったとまた謝る。

私は先生の方を見られないでいた。

するとまた来ると先生は部屋を出て行った。

次の日私はまた自分の部屋に戻された。
体調も良くなったんだからいつまでもこの部屋を使うなとばかりにメイドから睨まれたので自分から部屋に戻ったのだ。

毎日お見舞いに来てくれる先生はそのことに怒ってくれたが私が説明すると仕方なさそうに納得する。

「やはり早めにここから出さないと……」

先生はまたブツブツと自分の世界に入ってしまった。

私はそんな先生は置いといてお茶を用意する。
お見舞いに持ってきてくれたお菓子を出して先生が戻ってくるまで待った。

すると先生は私を見つめてハッとする。

「ああ、ごめん。それでなんだったけ?」

「お茶が入ったのでどうぞ」

先生にお茶を出すと喜んで飲んでいる。

「うん、フィオナの入れるお茶は本当に美味しいね」

そして自分が持ってきたお菓子を食べていた。

一通り私の魔力量などの確認を終えると昨日の話になった。

「考えは変わらない?」

先生にそう言われ私は頷いた。

「やはり怖いんです。人を、オニキス様を殺してしまうんじゃないかと……」

私は震える手をギュッと握りしめる。

「何度も言うけどそれは大丈夫、オニキスは魔力量がすごい多いんだ」

「でも、それでも全部吸ってしまったら!」

そう言うと先生はうーんと頭を抱えた。

「多分、いや絶対大丈夫!オニキスの魔力は全部吸えないから、それより吸ってくれないとオニキスが大変なんだよ……」

先生はそう言うと悲しい顔をする。

「でも……」

そう言われても私には踏ん切りがつかなかった。

「そうだ!一度彼に会ってみない?彼を見れば考えが変わるかもしれないよ」

「無理です!」

私はブンブンと首をふる。
だって相手はこの国の唯一の公爵様だ!
そんな方に私が会うなんておこがましい!

私の様子に先生は困った顔をしてしまう。

「じゃあさ、私と一緒に魔力を吸う練習をしよう。君がそれをコントロール出来るようになれば問題ないだろ?」

そう言われ私は考える。そうなれたらいいけどその練習をする相手はどうするのか。

私がチラッと先生を見るとニヤリと笑っていた。

その姿に嫌な予感がする。

「やっぱり無理です!」

「そうか……」

先生はすごく残念そうな顔をした。
私はそんな顔をさせてしまった事を申し訳なく思い少し迷う。

すると先生は顔をあげる。

「じゃあフィオナには悪いけど地位の力を使わせてもらうね」

「え?」

先生の難しい宿題を出す前の顔に私は嫌な予感しかしなかった。


先生が帰ってから暫くは先生が屋敷を訪れる事もなかった。

そして1週間がすぎた時、珍しくお父様から呼び出しを受ける。

私が部屋を訪ねると不機嫌な顔のお父様とお母様にカリーナがいた。

部屋に入るなりカリーナが怒鳴りつける。

「一体何をしたのお姉様!」

私はビクッと肩を跳ねさせた。

「な、なんの事?」

私は本当に分からずに眉を下げる。

「今日、公爵様から呼び出しを受けた。フィオナから聞きたい事があるから屋敷を訪れるようにとの事だ……お前何か粗相でもしたのか!」

公爵と聞いて私はオニキス様の顔を思い出した。エリオ先生が言っていたのはこの事だろう。

「わ、私は何も……」

「お父様、この前の王宮でお姉様がきっと何かして迷惑をかけたんですわ!あの後一人で帰って熱を出したんでしょ!」

私はあの時のことを説明するわけにもいかなかった。言うには私の力の事も言わないといけなくなるので口を閉ざす。

「何も言わないって事はやっぱりそうなのね!」

キーキーと喚くカリーナの声に私は頭が痛くなる。

「この後すぐに迎えの馬車が来る。公爵様に粗相のないように誠心誠意謝ってこい!もし無理ならお前とは縁を切る」

「え……」

お父様を見ると怒りの表情を浮かべている。
縁を切るなどまさかと思ったがこの人に私はその程度の〝物〟なのだと思い知らされた。

「はい……」

私はそれだけ答えるとまだ何か言ってくるカリーナ達を無視して部屋を出ていった。

突然の呼び出しに屋敷の皆は私が何かやらかしたと決めつけていた。

なのでまともな用意もしてもらえずいつもの格好で馬車に乗る羽目になる。

「えっと……フィオナ様ですか?」

迎えに来た公爵家の方は私を見てびっくりしていた。

全身上から下まで見てからお父様に、視線を向ける。

「この度はこいつの事で申し訳なく思っています。公爵様のお好きなようにとお伝え下さい」

そう言ってその方に何か袋を手渡していた。

その方はそれを返そうとするがお父様は受け取らずニコニコとしている。

その方は諦めてそれを受け取り私を馬車に乗せた。

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