魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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17.婚約

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私はフィオナを馬車に置いて伯爵家の処置に向かった。

伯爵家の連中は私の屋敷から連れてきた兵士に捕まり膝をついて俯いている。

義妹だけはまだ元気なようで声の出ない訴えを続けていた。

「いい加減諦めろ」

私が前に立つと顔を真っ白にする。

今は魔力を抑える必要も無いので垂れ流していた。私の魔力に当てられて伯爵や夫人は嘔吐している。

義妹は少しは魔力量があるようでなんとか耐えていた。

「公爵家に嘘をついた意味をわかっているのか?」

「そ、それは…カリーナが!この娘が勝手に言ったことです!」

伯爵は養女も切り捨てようと決めたようだ。

「しかしお前もフィオナに嘘を強要しようとしていたな」

ギッと睨むとまた吐き気を催したようで顔色が悪くなる。

「本来なら娘をあんな場所に住まわせて置くこと自体由々しき事だ」

「あの子が魔力がないからよ!そんなクズが貴族でいることがおかしいのよ!捨てられないだけありがたいと思わなきゃ!」

義妹は本性丸出しで喚いている。

「馬鹿な奴らだ。フィオナを帰した時に行いを改めてフィオナを大切に扱っていればそれなりの待遇をしてやったのに…」

「「え?」」

伯爵達は信じられないと顔を上げた。

「今日国王よりフィオナ嬢との婚約を決定してもらった。このままフィオナが伯爵家から嫁げばお前たちは公爵家とも繋がりができたのにな」

フンッと笑うとルカリオが国王より預かった書類を見せる。

「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」

義妹は信じないと首を振っている。完全に壊れてしまったようだ。

目を見開きブツブツと何か呟いている。

「お願いいたします!  フィオナを大事にします!だからどうか!どうか!」

伯爵は地面に頭を何度もぶつけながら懇願した。

「もう遅い」

私は靴を舐めそうな勢いで這いつくばってくる伯爵の顔を思いっきり蹴るとルカリオを見る。

「あとは任せた」

「はい」

ルカリオは場違いに嬉しそうに笑うと兵士達に嬉々として指示を出していた。

私は靴を綺麗にするとフィオナの待つ馬車へと向かう。

「待たせたな」

馬車に乗り込むとフィオナは私を見てホッとしていた。

そして恐る恐る家族の事を聞いてくる。

「あの、父達は?」

「フィオナもわかるように、公爵に嘘をついた彼らを見逃す事はできない」

私がそう言うとグッと堪えて頷いた。

「はい。父達はそれだけの罪を犯しました。私もそれに加担しようとしましたが…公爵様が止めて下さいました」

先程の怯えた顔はなく、しっかりとした瞳で私を見つめる。

「口に出したのはフィオナ嬢だ、それと…」

私はひとつ気に入らない事があった。

「私の事はオニキスと呼んでくれ」

「で、でも…」

私はフィオナの手を取る。
彼女に触れると高まった魔力が落ち着きを取り戻した。

「君は今日から私の婚約者なんだから」

「………?」

フィオナはポカンとした顔で私を見た。
無防備な顔が近くにあり、このままキスできそうだと場違いなことを考えてしまった。

「え?婚約…あの話は冗談ではなくて?」

「ああ、先程国王からも承認を得た。この婚約に誰も文句はいえない」

まだ信じられないのかフィオナはぼうっとしている。

私はルカリオから書類を受け取り彼女に見せると彼女はさらに信じられないと放心状態になってしまった。

そんな彼女を屋敷へと連れ帰る。

メイド達は待ってましたとばかりにぼうっとするフィオナを部屋へと連れて行ってしまった。

伯爵家に持っていかせたプレゼントは義妹が一度受け取ったかと思うと取り返す気にもなれない。

また改めてフィオナに似合うものを用意させればいいと私はメイド長に声をかけておいた。

メイド達はフィオナを着飾る事が楽しいようで彼女の正気が戻るまで好き勝手にするだろう。

「料理長に何か軽く食べられる物をフィオナに出すように言っておいてくれ」

明日、フィオナがどんな顔で私の前に現れるのか今から楽しみだと私は一人微笑んだ。
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