雨巫女と天候の国

もも野はち助

文字の大きさ
9 / 30

9.助っ人

しおりを挟む
 オーガスト家の夜会参加後、アイリス達は更に二回程別の夜会に参加した。

 するとアレクシスが宣言した通り、二回目三回目と会を重ねる毎に周囲の目の厳しさを強く感じる事が多かったアイリスだったが、それはどの夜会も参加した直後だけだった。
 会場入りした直後のアレクシスにエスコートされてる時は、確かにコソコソと陰口を言われている事を多々感じたアイリス。しかし二人がダンスを披露すると、その評価は一気に好転するのだ。

 その状態に出来たのは、アイリスが今まで受けてきた王妃教育の賜物でもある。
 アイリスは王太子の婚約者という立場で、あれだけ好き勝手に振舞う以上は自身も文句の付けようがない状態まで高める努力を怠るべきではないという考えで、今まで貪欲に王妃教育を受けて来たのだ。

 ダンスの精度はもちろん、それは会話術の方でもだ。政治や経済等の時事ネタに限らず、流行やお洒落ネタの話まで、振られればアイリスはスラスラと相手の興味が一番高いベストな回答を導き出した。
 ただこれに関しては、アイリス自身も驚いていた。
 自分自身が初対面の相手の求めている言葉をこんなにも簡単に導き出す事が出来るとは思ってもみなかったからだ。

 しかし、そういう特技を身に付けてしまった経緯は何となく分かっていた。
 それはアイリスにとっては非常に不本意だが、これまでのアレクシスとの面会や手紙のやり取りの中で繰り広げていた嫌味の言い合いで、いつの間にか相手の出方を見る癖がついてしまっていたからだ。

 相手にとって一番ダメージになる言葉は何か……常にそれを探りながら嫌味の応酬をアレクシスに対して繰り出していたアイリス。しかしそれは、逆に相手が喜んでしまう言葉も瞬時に把握する必要がある。
 相手の欲しい真逆の言葉、それはすなわち相手が言われたくない言葉だからだ。

 現在三回まで参加した夜会を通してアイリスが感じた事は、嫌味だらけのやり取りとは言え、アレクシスとの交流を始めた6年前から、自分では気づかぬ内にアレクシスにこういった会話術を鍛えられていたのではないかという懸念が今、生まれている。
 結局、自分はあの男の掌の上で転がされていたのではないか……そう思ってしまうと、腹立たしさを越えて、情けなさから涙が出そうだ。

 それでもそのお陰で、自分に厳しい目を向けていた人間の多い今回の夜会で、アイリスの悪い印象をかなり好転出来た事は事実だ。三日後に最後の四回目の夜会参加を控えているアイリスだが……正直こちらの方はもう何の心配もない。

「後は……巫女会合よね……」

 そう盛大にため息をついたアイリス。
 こちらに関しては、いつの間にかアレクシスに鍛え上げられてしまった会話術は、恐らく通用しない……。
 何故ならアイリス以外の巫女同士の繋がりや信頼関係が強いからだ。
 そんな中にあまり良い印象を抱かれていないアイリスが気の利いた言葉を何度か発したとしても、すぐには受け入れて貰えない事は容易に想像できる。

 何よりも、まずその巫女達が抱いているアイリスへの悪印象の度合いが全く分からないので、対策を立てようにも情報不足なのだ。
 そんな状況を思い、思わずため息が出てしまったアイリスの手元には、巫女の家系の計六家の令嬢達の名前が書かれた紙があるのだが……名前以外は何も書かれていない。

 現状では六家中、自身の家であるスコール家と全面的に協力してくれそうなティアドロップ家の面々に関しては、すでに攻略済と考えていい状況だ。そうなると残りは四家との関係醸成が、今回の課題となってくる……。
 風巫女の一族は三家全てで、ブレスト家、エアリズム家、ストーム家。
 雨巫女の一族では、レイニーブルー家、現在はこの四家との関係醸成をアイリスは迫られている。

 だが、ここで問題になってくるのは、これらの令嬢達の情報を一体どうやって入手するかだ……。
 アイリスは姉や妹達から聞き出す事も考えたが、身内の力を借りる事はアレクシスが求めている課題の取り組み方に反する事になるので、後でこの部分を突っ込まれて登城滞在期間を延ばす言いがかり材料にされかねない。
 そうなるとやはり一番手っ取り早いのが、ティアドロップ家の4姉妹から情報収集をする事になる。

「セラフィナ様にお茶席を設けて頂くしかないのかしら……」

 しかし、ティアドロップ家の令嬢達は、この間の夜会の雰囲気からでは、そう言った派閥争い的な感じの事とは無縁な気がした。彼女達は通称「姫巫女」と呼ばれるだけあって、深窓のお姫様という感じで下世話な噂話などをする感じが一切しなかったからだ。そうなると恐らくアイリスが欲しい情報は、そこまで引き出せないだろう。

 巫女会合まであと10日……。
 もう少し他の巫女達の情報が欲しいアイリスだが、その方法が思いつかない……。
 そんな状態でいつの間にか眉間にシワを刻み考え込んでいると、自室の扉がノックされる。

「パール、カルミア。開けて」

 アイリスの指示で二人が扉を開けると、王妃セラフィナが室内に入って来た。

「セラフィナ様? 本日は夫人会の会合でお忙しいのでは?」
「そうなのだけれど、少し気になって抜けてきたの」
「気になる?」

 するとセラフィナは、キョロキョロとアイリスの部屋の中を見回した。

「あら、まだわたくしが手配しておいた助っ人さんは来ていないようね?」
「それは……以前おっしゃっていたフィーネの代わりの?」
「ええ。今日こちらに来ると言っていたのだけれど……。あの子、結構気まぐれな性格だから、寄り道でもしているのかしら? アイリス、悪いのだけれど少しここで待っていてあげてね?」
「それは構いませんが……。それならば客間のご用意を……」
「それには心配及ばなないわ。恐らくここへ直接入って来る・・・・・と思うから」
「ここに直接ですか?」
「ええ。だからもう少し待ってあげて? それではわたくしは一端、会合に戻るわね」
「お忙しいのにわざわざお気遣い頂きまして、ありがとうございました」
「いいのよ! だってその分、あなたの歌を聴く権利が得られるもの!」
「セラフィナ様ぁ……」
「アイリス。 世の中、ギブアンドテイクよ?」
「心に深く刻んでおきます……」

 セラフィナがアイリスに甘い理由の8割は、恐らく歌目当てだ。
 もはやお馴染みとも言える歌の催促をしながら部屋を出ようとしたセラフィナだが、急に何かを思い出した様にパールとカルミアの方へ目を向けた。

「そうそう、あなた達。そこのバルコニー付きの窓なのだけれど、出来れば全開しておいて頂戴ね」
「「か、かしこまりました!」」
「セラフィナ様? 窓がどうかされましたか?」
「アイリス。今日は窓を開けておくと、とっても良い風が入ってくるわよ?」

 そう意味ありげな言葉を残し、アイリスの部屋から出て行ったセラフィナ。
 すると早速、パールとカルミアが窓を開けにかかる。

「アイリス様。窓の方は、このぐらい開けておけばよろしいでしょうか?」
「うーん……。全開とおっしゃっていたから、もっと思い切って……」

 そうアイリスが言いかけたと同時に急に窓から突風が吹き込んで来た。

「「きゃぁぁぁー!!!!」」

 なだれ込むように吹き込んで来た風にパールとカルミアが悲鳴を上げる。
 アイリスも思わずその突風から庇う様にして顔の前に両腕をかざした。
 テーブルの上にあった空白だらけの対策資料は、その所為で部屋中に散らばる。
 すると――――。

「ごめんなさい! タイミングよく窓が開いたから思わず入っちゃった……」

 ここに居るはずのない懐かしい声がして、アイリスが両腕を下ろし、その人物に視線を向ける。
 すると肩くらいの長さの淡いラベンター色の髪を黒いリボンで一つに結んだ綺麗な顔立ちの12~13歳くらいの少年が、アイリスの部屋に笑顔を浮かべながら佇んでいた。

「ア、アズリルっ!? あなた……なんて所から入って来くるのよ!」
「アイリス姉様、お久しぶり~!」
「『お久しぶり~』じゃないでしょう!! 護衛に見つかったら怒られるわよ!?」
「大丈夫だよー。ほら、僕、特別に空から登城する許可貰っているから!」

 突風と共に現れたのは、少年令息の様な格好をした美少年……ではなく、風巫女の一族であるエアリズム家の次女アズリエールだ。彼女は意識を集中し、自身の体の周りに強力な風を纏って空を舞いながら風を起こす少し変わったスタイルの風巫女だ。

 彼女の風の力は、現風巫女の中では一番力が強いブレスト家のエリアテールと同じくらいなのだが、風を起こせる範囲が極端に狭い。例えるならピンポイントで圧縮した高圧の風を放つような……そんな風だ。
 現在は貿易が盛んなこの大陸の玄関口的な国であるマリンパールの第二王子と婚約中で、近々この風を使ってマリンパールに入港してくる船の迅速な誘導に貢献する予定となっている。

「アズリル……そんなに巫女力に頼り過ぎて空ばかり飛んでいたら、将来的に巫女力を失った時にうっかり転落死しちゃいそうで、心配なのだけれど……」
「平気平気! 今のところ巫女力失う予定なんて一切ないもん」
「でもあなた、確か三か月前にマリンパールの第二王子と、やっと婚約が決まったのではなかったかしら?」
「うん。オルク、すっごく優しくてお兄さんみたいないい人だよ?」
「お兄さんって……。オルクティス殿下って、確かあなたより一つ年上なだけで、大して年齢は変わらないはずじゃなかったかしら?」
「でもね、オルクは15歳にしては、とても落ち着いていて大人っぽいんだよ?」
「それならあなたは、少しはご婚約者様を見習ったら?」
「嫌だよ。もし二人共大人っぽくなったらメリハリなくなっちゃうよ? 僕が子供っぽいから、オルクの大人っぽさが引き立ってるのだし。そっちの方がオルクのイメージアップにもなるから、絶対お得でしょ?」
「アズリル、あなた本当にアレクに感化され過ぎているのね……」
「アレク兄様から学ばせて貰った処世術は、すっごく助かってるよ? そもそもそういうあざとさないと、こんな格好で風巫女なんて出来ないしね」

 そう言って自分の所為で部屋中に散らばった紙をアズリエールが拾い出す。

「あっ! セラフィナ様がおっしゃってた事って、この事かな? アイリス姉様……今回、かなり苦戦してるみたいだね?」

 紙に書かれた内容を見たアズリエールが、ニヤリとした顔をアイリスに向ける。

「気づいて貰えたのなら、助けて欲しいのだけれど? 助っ人さん」
「ふっふっふっ! 任せて! 僕こういう情報たくさん持ってるから!」
「でしょうね……。なんせアレク直伝の対人スキルを習得しているのだから」

 アイリスが半ば呆れ顔でそう言うと、アズリエールが侍女二人に声を掛ける。

「そこの可愛らしいお嬢さん方、申し訳ないだけれど、お茶の準備お願い出来るかな?」
「「かしこまりました!」」
「アズリル……私の侍女達に勝手に指示を出さないでくれる?」
「だってこの話、長くなるよ? そうなるとお茶は必須でしょう?」

 アズリエールは、フィーネリア繋がりで親しくなった風巫女だ。
 サンライズの巫女達は、6歳の巫女デビューを期にある昼食会に参加させられるようになる。その昼食会は表向きは派遣巫女の選別を目的という事になっているが、実際は婚約者候補の巫女を選ぶお見合いパーティーの要素が強いものだった。通常であれば、巫女達の取り合いになるほどの売れ行きを見せるそのお見合い昼食会なのだが……。フィーネリアは8歳まで今とは違った容姿の所為で、アズリエールはこの少年令息風の服装を好む変わった令嬢という事が原因で、売れ残り仲間として段々と親しくなっていったそうだ。

 特にアズリエールなど、幼少期からの婚約者から婚約破棄された経験があり、それから6年以上婚約が決まらず、最近やっとマリンパールの第二王子からの申し入れで決まったくらいだ。そんな売れ残りの原因であるアズリエールのこの少年令息風スタイルには、なかなか複雑な理由があるのだが……。本人はそんな事を微塵も感じさせない程、明るい性格をしている。

「これを見ると……ああ、ティアドロップ家はもう攻略済なんだね! まぁ、あそこは家族全員がアイリス姉様の大ファンだからね……。フィーネがいっつもお姉様達にアイリス姉様に会わせて欲しいってせがまれてて困っていたし」
「そ、そうなの!?」
「うん。でもアイリス姉様、自分の歌声があまり好きじゃないでしょう? 会わせちゃうと、どうしてもその話題になっちゃうから、フィーネも気を使ってお姉様方と会わせる事を控えていたんだよ」
「別に……自分の歌声が嫌いな訳じゃ……」
「その辺の事情は、アレク兄様がやらかした人生最大の大失態だと思うけれどね」
「アズリル……あなた10年前の事、アレクから何て聞いているの?」
「えへへ~。内緒~」

 思わせぶりな事を言いながら、無邪気な笑みを浮かべて誤魔化すアズリエールにアイリスがため息をつく。基本的にアズリエールは、アレクシスから毒気を抜いたような感じなので、策士的な要素が強いタイプでもあるのだ。

「まぁ、いいわ。それよりも今は巫女会合対策の方を優先させないと……」
「そうだね。とりあえず……六家中二家は問題ないよね。あと……ブレスト家も」
「ブレスト家って……風巫女エリアテール様のご実家よね?」
「うん。ここもエリア姉様の影響で姪っ子全員アイリス姉様のファンだから」

 さらりとそう言って、アズリエールが淹れて貰った紅茶に手を付ける。
 その言葉にアイリスは一瞬、時が止まった。

「はぁ!? それ、どういう事よっ!」
「あれ? 知らなかったんだ。エリア姉様、アイリス姉様の大ファンで、ずっと巫女会合で会えるの楽しみにしてたんだよ? でも結局はその前に急遽本格的に婚礼の話が進んじゃって、会えずじまいになっちゃったけれど……」
「私、その事を全く聞いていないのだけれど! 何故アレクはその事を隠蔽してんのよ!」
「隠蔽というか……あれだけ自分が拒絶されてたら言い出せないと思うけれど?」
「だからってエリアテール様は関係ないでしょ! ああ! 私も同じ歌巫女としてお話してみたかったのにぃ!」
「じゃあ、今からでもアレク兄様に頼めば? アレク兄様、イクレイオス殿下とは親友だし、言えばすぐにコーリングスターにアイリス姉様を連れて行ってくれるよ?」
「アレクに頼むのは絶対に嫌っ! 長距離を一緒に移動する事は、もっと嫌っ!」
「うわぁー。少しは改善されたかと思ったのだれけどアレク兄様、相変わらず嫌われているね……」

 アイリスの反応に若干引き気味な表情を浮かべるアズリエールだったが、気を取り直して話を進める。

「あとは……うちのエアリズム家も大丈夫かな。チビ助達は私とアイリス姉様が親しいの知ってるし、ユリーは今回も巫女会合不参加だから……」

 ユリーと聞いて、アイリスの表情がやや曇った。
 ユリー事、ユリアエールはアズリエールとは一卵性双生児で彼女の姉だが、幼少期にあったある事件が切っ掛けで、人が大勢いる場所に出て来れなくなった……と表向きはではなっている。しかし、実際は心身ともに何の問題もなく元気だ。
 しかしアズリエールに対するある行動で、アイリスは彼女に良い印象を抱いていなかった。

「アズリル……。今回のオルクティス殿下との婚約は……大丈夫なの?」

 その瞬間、先程まで天真爛漫であどけなかったアズリエールの表情が一変した。
 アイリスの言葉に目を見開いたかと思うと、ゆっくり綺麗な笑みを作り出す。

「アイリス姉様? どうしてそこでオルクの名前が出てくるの?」

 そしてアズリエールは、これ以上は踏み込ませないという強い意思を瞳に宿し、アイリスに向かって綺麗な微笑みを向ける。そのあまりにも頑ななアズリエールの様子にアイリスは、そっと目を伏せる。

「ごめんなさい……。余計な事を聞いてしまったわ。忘れて……」
「こっちこそ、ごめんなさい。アイリス姉様が僕の事を凄く心配してくれている事は伝わってきたから……。でもね、今回は本当に大丈夫!」

 そう言って、またいつも通りのあどけない表情に戻ったアズリエールは、仕切り直すようにコホンと咳ばらいをする。

「さてと! ここまで問題ないと言い続けてきた僕だけど……。アイリス姉様、残念な事にここからは問題しかないからね?」
「どういう事?」
「実は残りの二家である風巫女ストーム家と雨巫女レイニーブルー家に関しては、アイリス姉様の事をかなり・・・良く思っていないんだよね……」

 に~っこりしながら面白がる様に告げてきたアズリエールの言葉にアイリスは「やっぱり……」と心の中で呟いた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

笑い方を忘れた令嬢

Blue
恋愛
 お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。

背徳の恋のあとで

ひかり芽衣
恋愛
『愛人を作ることは、家族を維持するために必要なことなのかもしれない』 恋愛小説が好きで純愛を夢見ていた男爵家の一人娘アリーナは、いつの間にかそう考えるようになっていた。 自分が子供を産むまでは…… 物心ついた時から愛人に現を抜かす父にかわり、父の仕事までこなす母。母のことを尊敬し真っ直ぐに育ったアリーナは、完璧な母にも唯一弱音を吐ける人物がいることを知る。 母の恋に衝撃を受ける中、予期せぬ相手とのアリーナの初恋。 そして、ずっとアリーナのよき相談相手である図書館管理者との距離も次第に近づいていき…… 不倫が身近な存在の今、結婚を、夫婦を、子どもの存在を……あなたはどう考えていますか? ※アリーナの幸せを一緒に見届けて下さると嬉しいです。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

処理中です...