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初夜と幸せな未来
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「義父上たちに言った言葉は一時的なものでもなんでもない。俺の本心だ」
ルードはソフィアの両手をぎゅっと握りしめて言う。そんなルードをソフィアは不思議そうに見つめる。
(ルード様のさっきの言葉が本心?まさか、ルード様は私なんかと本当に一緒になりたいと……?)
ルードの言葉を思い出し、ソフィアは途端に赤面する。そんなソフィアをルードは嬉しそうに見て微笑んだ。
「俺は本心から君を愛し、一緒になりたいと思っている。一生涯かけて君を守りたいし、愛したい。こんな気持ちになるのはたった一人君だけなんだ」
「ま、待ってください」
ルードの話を遮るように言うソフィアの様子に、ルードは困惑する。
「わ、私のような人間はルード様のような素敵な方のそばにいる人間ではありません。それにルード様はもう両目で世界をご覧になれます。これからももっともっと広い世界を見て、いろいろな方と出会うでしょう。私なんかよりも遥かに美しく気品がある素敵なご令嬢にだって……そんな時、私がそばにいては迷惑になってしまいます。そうなる前に、どうか今一度冷静になって考え直してください」
慌てたように言うソフィアを、ルードは悲しげな表情で見つめていた。
「俺はいたって冷静だ。確かに俺はこれからもっともっと広い世界を見てさまざまな人間に出会うだろう。だが、そうだとしても君以上に素敵な令嬢に出会うとは思えない。俺は君が思う以上に君の素敵なところをたくさん知っている。君が自分を卑下してしまうような悪いところも、ね。でもそんな君の全てを俺は愛している。もしこれからどんな素敵な令嬢に出会おうとも、この気持ちが変わることはない。それとも、君は俺がそんなに簡単に心変わりするような男だとでも思っているのか?」
悲しそうにそう言われてしまえばソフィアは何も反論できない。
「俺がこれから見る世界を、ソフィアにも一緒に見てほしい。これからの人生を共に歩んでほしいんだ。ソフィア、どうか俺と結婚してください」
ソフィアの両手を握り、じっとソフィアの目を見つめながらルードは言う。そんなソフィアを見つめるルードの瞳は本当に甘く蕩けるような、そして熱さを秘めた愛おしさを含んでいるのだ。
「……本当に、本当に私なんかでいいのですか?」
「君がいいんだ。君じゃなきゃだめだ」
ルードの返答に、ソフィアは息を呑む。そして涙を両目一杯に浮かべながら、静かに頷いた。
「わ、私も、ルード様のそばにいたいです。ずっとずっと、これからの人生全てでルード様と一緒に、色々な世界を見たいです」
ソフィアの言葉を聞いた瞬間、ルードはソフィアを抱きしめた。ルードの中でソフィアは泣きじゃくる。
「絶対幸せにするよ、ソフィア」
ルードは希望に満ちた瞳で前を向き、ソフィアをしっかりと抱きしめていた。
◇◆◇
その後ルードとソフィアの結婚話はあっという間に進み、屋敷内はおろか領地内の全ての人々に祝福された。氷結辺境伯の氷の瞳の力を消し、氷結辺境伯の心まで溶かした女性だと領地内はお祭り騒ぎだったそうだ。
そうして皆に祝福された結婚式は無事に終わり、二人の初夜を迎えたのである。
(ど、ど、ど、どうしましょう、胸の高鳴りが治らない)
先に湯浴みを済ませたソフィアは、湯浴み中のルードを一人待ちながらソワソワしていた。
(こんなに上質なネグリジェを着るのは初めてだし下着も紐で結ぶだけだなんて、どこもかしこも涼しくてなんだか頼りないわ)
不安と期待で胸いっぱいなソフィアは寝室の中を歩き回るが、気持ちはいっこうに落ち着きそうにない。そんなソフィアをよそに、寝室の扉が軽快にノックされる。
「ソフィア、俺だ。入るよ」
「は、はい」
ガチャ、と扉を開けて入ってきたルードを見て、ソフィアは思わずぼうっとしてしまう。サラサラの銀髪の髪、シルクのような上質な寝巻きに通された体は前が少しはだけて鍛えられた胸元がチラリと見えている。
(す、すごい色気……!)
ソフィアがルードの姿を見てうっとりしている間、ルードもまたソフィアの姿を見て胸を高鳴らせていた。
(ああ、なんて魅惑的な姿なんだ。ネグリジェから見える素肌は真っ白で滑らかでとても柔らかそうだし、ソフィアは着痩せするタイプなのか?気づかなかったが意外と胸もあるんだな)
少し顔を赤らめながらじっとソフィアを見つめるルードの姿に気づき、ソフィアは思わず体を隠して顔を真っ赤にする。そんな姿が余計にルードの心を掻き乱してしまうとは知らずにだ。
コホン、と一つ咳払いをしてルードはソフィアの目の前に立ち、優しく髪の毛を撫でた。
「ソフィア、結婚式の後で疲れていないか?」
「大丈夫です。みなさんがあんなに祝福してくださって、とてもとても嬉しくて……こんな気持ちになれたのもルード様のおかげです。ありがとうございます」
嬉しそうに微笑むソフィアの笑顔に、ルードの胸はまた大きく高鳴り体の奥底から熱が湧き上がる。
「礼を言うのは俺の方だ。氷の瞳を恐れることなく俺と接し、俺に人と共に過ごす喜びを教えてくれた。瞳が治ってからも俺とこうして共に生きていくことを望み一緒になってくれた。本当にありがとうソフィア」
ルードがそっとソフィアの頬に手を添える。
「ソフィア、俺は今までこの瞳のおかげで女性と親しい話はおろか深く接したことがない。お互いに初めてだからなるべく優しく大切にしたいと思っているが、加減ができなくなってしまったらすまない。その時はどうか殴るなり蹴るなりして止めてくれ」
ルードの気遣いに、ソフィアは嬉しそうに微笑み静かに首を横に振った。
「大丈夫です、ルード様にだったらどんなことをされても構いません」
じっと熱のある瞳でルードを見つめると、ルードはそんなソフィアの様子を見て両目を見開き、すぐにソフィアを抱えてベットに押し倒した。
「そんなに煽るようなことを言われてしまったら歯止めが効かなくなるだろう。これは覚悟をしてもらわないといけないようだ」
こうして、二人の熱く激しい、蕩けるような初夜は始まった。
◇◆◇
(瞼の裏が明るい……朝になったのかしら)
静かにゆっくりと目を開けると、カーテンの隙間から日差しが見える。
ふと横を見ると、こちらを見て微笑んでいるルードがいた。
「おはよう、ソフィア」
「ル、ルード様!おはようございます」
(び、びっくりした!ルード様はいつから起きていらしたのだろう)
ソフィアはドキマギしながらルードの顔を眺めると、昨晩のことが急に思い出されて途端に顔が赤くなる。そんなソフィアの様子をルードは嬉しそうに見つめ、声をかけた。
「喉が渇いていないか?」
「あ、はい、少し」
「今水をあげるよ」
そう言ってルードは体を起こし、ベッドサイドに置いてあった水差しから水をコップに移した。そのコップをソフィアに渡すのかと思えば渡すことはせずになぜか自分の口に含む。
不思議そうにそれを眺めているソフィアの後頭部に手を当て、ルードはそのままソフィアへ口付けた。
(!?)
驚いて口を開いたソフィアの口内にルードの口から水が流れ込む。驚きながらもそのままコクコクと水を飲むと、ルードは口を離して微笑んだ。
「すまない、こぼしてしまったようだ」
ソフィアの口の端から一筋の水が流れているのが見えると、ルードは何を思ったのかまた顔を近づけその水を舐めとる。
「よし、これでいいな」
ルードは水を舐めとり満足そうにそう言ってソフィアの顔を見ると、ソフィアは顔を真っ赤にしながらも蕩けたような顔をしている。
(自分でやっておいてなんだがこれはまずいな、やりすぎた)
ドクドクと全身の血が流れ始めるのを感じ、ルードは頭をブンブンと振って無理やり切り替える。
「ソフィア、今日はゆっくり休むといい。俺はちょっと外に出て頭を冷やして来る」
ルードの言葉にソフィアはぼんやりしながらキョトンとする。そんなソフィアを見てルードは苦笑した。
「俺の頭が冷えたら一緒に朝食を食べよう。ここに朝食を持って来させるからソフィアはそれまでゆっくり寝ていればいい」
そう言ってルードはソフィアの頬に優しくキスをすると、嬉しそうに寝室を後にした。
(行ってしまった……)
ルードをぼんやりと見送りながら、静かになった寝室でソフィアは結婚式のことを思い出し嬉しさで自然と笑顔になっていた。さらに昨晩と先ほどのことを急に思い出して恥ずかしくなり、思わず両手で顔を覆う。
(ルード様とついに夫婦になったんだわ!それにあんなことまで……それにさっきのは一体なんだったのかしら……ルード様ったら突然積極的になるから驚いてしまう)
静かにため息をついてソフィアは立ち上がり、カーテンを開けて窓を開いた。窓の外には青空が広がり、心地よい風がソフィアを包み込む。
(本当に私はここでこれからもルード様と一緒に生きていくんだわ。ルード様に出会ってこんな風になるなんて、義父の家にいた頃には思いもしなかった。私は本当に幸せ者だわ。ルード様にいただいたこの幸せをずっとずっと大切に、ルード様と一緒にこれからも育んでいこう)
暖かな日差しを身体中に感じながら、ソフィアは決意を胸に澄んだ瞳で青空を見上げた。
◇◆◇
ソフィアの部屋の本棚に、一冊の古びた本がある。それはありとあらゆる古代の魔法が記された古文書でソフィアの実家に代々受け継がれてきたものだ。ソフィアは義父の家にいる間外に出るのを禁止されるのと同時に本を読むことも禁止され、その本は開かれることもなく荷物のずっと奥底に眠っていた。
ルードの家に来てからも毎日が忙しく充実した日々で、本のことはすっかり忘れて本棚に放置したままになっていた。
ルードとソフィアが結婚して数年後、二人の間には玉のように可愛らしく好奇心旺盛な子供が誕生する。その子供がすくすくと成長しソフィアの部屋の本棚でその古文書を見つけ、ソフィアにはなぜルードの氷の瞳の力が効かなかったのか、なぜルードの紋様が消え氷の瞳の力がなくなったのか、その理由を知ることになるのはまだ少し先の話だ。
ルードはソフィアの両手をぎゅっと握りしめて言う。そんなルードをソフィアは不思議そうに見つめる。
(ルード様のさっきの言葉が本心?まさか、ルード様は私なんかと本当に一緒になりたいと……?)
ルードの言葉を思い出し、ソフィアは途端に赤面する。そんなソフィアをルードは嬉しそうに見て微笑んだ。
「俺は本心から君を愛し、一緒になりたいと思っている。一生涯かけて君を守りたいし、愛したい。こんな気持ちになるのはたった一人君だけなんだ」
「ま、待ってください」
ルードの話を遮るように言うソフィアの様子に、ルードは困惑する。
「わ、私のような人間はルード様のような素敵な方のそばにいる人間ではありません。それにルード様はもう両目で世界をご覧になれます。これからももっともっと広い世界を見て、いろいろな方と出会うでしょう。私なんかよりも遥かに美しく気品がある素敵なご令嬢にだって……そんな時、私がそばにいては迷惑になってしまいます。そうなる前に、どうか今一度冷静になって考え直してください」
慌てたように言うソフィアを、ルードは悲しげな表情で見つめていた。
「俺はいたって冷静だ。確かに俺はこれからもっともっと広い世界を見てさまざまな人間に出会うだろう。だが、そうだとしても君以上に素敵な令嬢に出会うとは思えない。俺は君が思う以上に君の素敵なところをたくさん知っている。君が自分を卑下してしまうような悪いところも、ね。でもそんな君の全てを俺は愛している。もしこれからどんな素敵な令嬢に出会おうとも、この気持ちが変わることはない。それとも、君は俺がそんなに簡単に心変わりするような男だとでも思っているのか?」
悲しそうにそう言われてしまえばソフィアは何も反論できない。
「俺がこれから見る世界を、ソフィアにも一緒に見てほしい。これからの人生を共に歩んでほしいんだ。ソフィア、どうか俺と結婚してください」
ソフィアの両手を握り、じっとソフィアの目を見つめながらルードは言う。そんなソフィアを見つめるルードの瞳は本当に甘く蕩けるような、そして熱さを秘めた愛おしさを含んでいるのだ。
「……本当に、本当に私なんかでいいのですか?」
「君がいいんだ。君じゃなきゃだめだ」
ルードの返答に、ソフィアは息を呑む。そして涙を両目一杯に浮かべながら、静かに頷いた。
「わ、私も、ルード様のそばにいたいです。ずっとずっと、これからの人生全てでルード様と一緒に、色々な世界を見たいです」
ソフィアの言葉を聞いた瞬間、ルードはソフィアを抱きしめた。ルードの中でソフィアは泣きじゃくる。
「絶対幸せにするよ、ソフィア」
ルードは希望に満ちた瞳で前を向き、ソフィアをしっかりと抱きしめていた。
◇◆◇
その後ルードとソフィアの結婚話はあっという間に進み、屋敷内はおろか領地内の全ての人々に祝福された。氷結辺境伯の氷の瞳の力を消し、氷結辺境伯の心まで溶かした女性だと領地内はお祭り騒ぎだったそうだ。
そうして皆に祝福された結婚式は無事に終わり、二人の初夜を迎えたのである。
(ど、ど、ど、どうしましょう、胸の高鳴りが治らない)
先に湯浴みを済ませたソフィアは、湯浴み中のルードを一人待ちながらソワソワしていた。
(こんなに上質なネグリジェを着るのは初めてだし下着も紐で結ぶだけだなんて、どこもかしこも涼しくてなんだか頼りないわ)
不安と期待で胸いっぱいなソフィアは寝室の中を歩き回るが、気持ちはいっこうに落ち着きそうにない。そんなソフィアをよそに、寝室の扉が軽快にノックされる。
「ソフィア、俺だ。入るよ」
「は、はい」
ガチャ、と扉を開けて入ってきたルードを見て、ソフィアは思わずぼうっとしてしまう。サラサラの銀髪の髪、シルクのような上質な寝巻きに通された体は前が少しはだけて鍛えられた胸元がチラリと見えている。
(す、すごい色気……!)
ソフィアがルードの姿を見てうっとりしている間、ルードもまたソフィアの姿を見て胸を高鳴らせていた。
(ああ、なんて魅惑的な姿なんだ。ネグリジェから見える素肌は真っ白で滑らかでとても柔らかそうだし、ソフィアは着痩せするタイプなのか?気づかなかったが意外と胸もあるんだな)
少し顔を赤らめながらじっとソフィアを見つめるルードの姿に気づき、ソフィアは思わず体を隠して顔を真っ赤にする。そんな姿が余計にルードの心を掻き乱してしまうとは知らずにだ。
コホン、と一つ咳払いをしてルードはソフィアの目の前に立ち、優しく髪の毛を撫でた。
「ソフィア、結婚式の後で疲れていないか?」
「大丈夫です。みなさんがあんなに祝福してくださって、とてもとても嬉しくて……こんな気持ちになれたのもルード様のおかげです。ありがとうございます」
嬉しそうに微笑むソフィアの笑顔に、ルードの胸はまた大きく高鳴り体の奥底から熱が湧き上がる。
「礼を言うのは俺の方だ。氷の瞳を恐れることなく俺と接し、俺に人と共に過ごす喜びを教えてくれた。瞳が治ってからも俺とこうして共に生きていくことを望み一緒になってくれた。本当にありがとうソフィア」
ルードがそっとソフィアの頬に手を添える。
「ソフィア、俺は今までこの瞳のおかげで女性と親しい話はおろか深く接したことがない。お互いに初めてだからなるべく優しく大切にしたいと思っているが、加減ができなくなってしまったらすまない。その時はどうか殴るなり蹴るなりして止めてくれ」
ルードの気遣いに、ソフィアは嬉しそうに微笑み静かに首を横に振った。
「大丈夫です、ルード様にだったらどんなことをされても構いません」
じっと熱のある瞳でルードを見つめると、ルードはそんなソフィアの様子を見て両目を見開き、すぐにソフィアを抱えてベットに押し倒した。
「そんなに煽るようなことを言われてしまったら歯止めが効かなくなるだろう。これは覚悟をしてもらわないといけないようだ」
こうして、二人の熱く激しい、蕩けるような初夜は始まった。
◇◆◇
(瞼の裏が明るい……朝になったのかしら)
静かにゆっくりと目を開けると、カーテンの隙間から日差しが見える。
ふと横を見ると、こちらを見て微笑んでいるルードがいた。
「おはよう、ソフィア」
「ル、ルード様!おはようございます」
(び、びっくりした!ルード様はいつから起きていらしたのだろう)
ソフィアはドキマギしながらルードの顔を眺めると、昨晩のことが急に思い出されて途端に顔が赤くなる。そんなソフィアの様子をルードは嬉しそうに見つめ、声をかけた。
「喉が渇いていないか?」
「あ、はい、少し」
「今水をあげるよ」
そう言ってルードは体を起こし、ベッドサイドに置いてあった水差しから水をコップに移した。そのコップをソフィアに渡すのかと思えば渡すことはせずになぜか自分の口に含む。
不思議そうにそれを眺めているソフィアの後頭部に手を当て、ルードはそのままソフィアへ口付けた。
(!?)
驚いて口を開いたソフィアの口内にルードの口から水が流れ込む。驚きながらもそのままコクコクと水を飲むと、ルードは口を離して微笑んだ。
「すまない、こぼしてしまったようだ」
ソフィアの口の端から一筋の水が流れているのが見えると、ルードは何を思ったのかまた顔を近づけその水を舐めとる。
「よし、これでいいな」
ルードは水を舐めとり満足そうにそう言ってソフィアの顔を見ると、ソフィアは顔を真っ赤にしながらも蕩けたような顔をしている。
(自分でやっておいてなんだがこれはまずいな、やりすぎた)
ドクドクと全身の血が流れ始めるのを感じ、ルードは頭をブンブンと振って無理やり切り替える。
「ソフィア、今日はゆっくり休むといい。俺はちょっと外に出て頭を冷やして来る」
ルードの言葉にソフィアはぼんやりしながらキョトンとする。そんなソフィアを見てルードは苦笑した。
「俺の頭が冷えたら一緒に朝食を食べよう。ここに朝食を持って来させるからソフィアはそれまでゆっくり寝ていればいい」
そう言ってルードはソフィアの頬に優しくキスをすると、嬉しそうに寝室を後にした。
(行ってしまった……)
ルードをぼんやりと見送りながら、静かになった寝室でソフィアは結婚式のことを思い出し嬉しさで自然と笑顔になっていた。さらに昨晩と先ほどのことを急に思い出して恥ずかしくなり、思わず両手で顔を覆う。
(ルード様とついに夫婦になったんだわ!それにあんなことまで……それにさっきのは一体なんだったのかしら……ルード様ったら突然積極的になるから驚いてしまう)
静かにため息をついてソフィアは立ち上がり、カーテンを開けて窓を開いた。窓の外には青空が広がり、心地よい風がソフィアを包み込む。
(本当に私はここでこれからもルード様と一緒に生きていくんだわ。ルード様に出会ってこんな風になるなんて、義父の家にいた頃には思いもしなかった。私は本当に幸せ者だわ。ルード様にいただいたこの幸せをずっとずっと大切に、ルード様と一緒にこれからも育んでいこう)
暖かな日差しを身体中に感じながら、ソフィアは決意を胸に澄んだ瞳で青空を見上げた。
◇◆◇
ソフィアの部屋の本棚に、一冊の古びた本がある。それはありとあらゆる古代の魔法が記された古文書でソフィアの実家に代々受け継がれてきたものだ。ソフィアは義父の家にいる間外に出るのを禁止されるのと同時に本を読むことも禁止され、その本は開かれることもなく荷物のずっと奥底に眠っていた。
ルードの家に来てからも毎日が忙しく充実した日々で、本のことはすっかり忘れて本棚に放置したままになっていた。
ルードとソフィアが結婚して数年後、二人の間には玉のように可愛らしく好奇心旺盛な子供が誕生する。その子供がすくすくと成長しソフィアの部屋の本棚でその古文書を見つけ、ソフィアにはなぜルードの氷の瞳の力が効かなかったのか、なぜルードの紋様が消え氷の瞳の力がなくなったのか、その理由を知ることになるのはまだ少し先の話だ。
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