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婚姻の儀式
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け、結婚って一体どういうこと?まさか私とランス様が、結婚……するわけじゃないよね???
「あぁ、すまない。その話もちゃんとすべきだな。いつも説明していることだからつい端折ってしまう。すまんすまん」
騎士団長が苦笑しながら謝る姿をランス様はやれやれという顔で眺めている。まさか、ランス様は結婚するってことをわかっているの?
「白龍使いの騎士と選ばれた聖女は婚姻の契約を結ばなければいけない。契約することによってその力を自由に分けることができるんだ」
つまり、婚姻の契約をしなければ私の聖女の力はミゼル様にもランス様にも分け与えることができないっていうことなのか……。
「……も、もし、もしもの話ですが、その契約をお断りした場合は?」
「断ることはできる。できるが、白龍に選ばれた聖女が契約を断れば聖女の力は失われ、そのまま命を落とすことになる、らしい。実際見たことはないし、歴史書に書いてあるだけだからな。過去に騎士が気に食わないから交換しろと騒いだ聖女達はそのまま力を失って亡くなったらしい」
わかんないことが一番怖いことなんですけど……。でも、断ったら死ぬ確率の方が高いってことだ。はぁ~、思わずため息が出ちゃう。
「俺なんかと結婚するのは嫌だよね。なんだかごめん」
私のため息を聞いてランス様が申し訳なさそうに謝ってくる。わぁ、美しい顔立ちの方が申し訳なさそうな顔になるのもそれはそれでやっぱり美しいんだわ……じゃ、な・く・て!
「いえいえいえいえいえ、そんなことないです!むしろ、私なんかとランス様のような素敵な男性が結婚しなきゃいけないなんて申し訳ないです!私みたいな者にランス様は勿体無いですから!」
思わず大声で言ってしまい、目の前のお二人の驚く顔に気づいて恥ずかしくなってしまう。何を私は勢い余ってこんなこと言ってしまったんだろう、めちゃめちゃ恥ずかしい!
顔、赤くなってないかな。チラッとランス様を見ると、なんだかちょっと嬉しそうに微笑んでるし、騎士団長はなぜかニヤニヤしてる。とりあえず失礼なことは言ってないみたい。
「君はじゅうぶん魅力的な女性だよ。そんなに否定しなくても大丈夫」
ふふっと微笑みながらそんなこと言われたら、世の女性はみんな落ちてしまいますよランス様!さらに自分の顔が赤くなっていくのがわかる。どうしよう!
「この様子だと結婚については双方問題なさそうだが、いいか?」
騎士団長に最終確認を取られてしまう。ここで決断しなければいけないんだろうけれど、いいのかな。
両手を見つめて考える。ずっとずっとこんな力のせいで生贄になって食べられてしまうのだと嘆いていたけれど食べられるわけではなかったし、この力を白龍様や騎士様に分け与えるという役目はとてつもなく重大なことだと思う。この力が、実際にこの国のためになるんだ。
ふうっ。緊張した時も、大きな決断をする時も、とにかく大きく深呼吸。
「わかりました。ここに来るまでずっと生贄で食べられるのだと思っていたんですから、むしろ生きて白龍様や騎士様、この国に貢献できるのであればとても誇らしいことだと思います。だから、婚姻の契約を結びます」
私の決意を聞いてランス様と騎士団長は目を合わせて喜んでいる。
よかった、んだよね。これで、きっとよかったんだ。
「よし、それじゃ早速だが契約の儀式をする。俺が立会人だ。場所を変えるからランスと聖女様は一緒に来てくれ」
騎士団長は鍵のかかった机の引き出しを開けて何かを取り出すと、部屋を出るよう促した。
騎士団長に連れられてきた場所は、騎士団本部の中の一角にある、大聖堂のような場所だった。奥には大きな龍の白い銅像が建っている。
ステンドグラスが夕日に照らされてとても綺麗。私がいた教会より少しこじんまりしているけれど、それでも神聖さを感じる素敵な場所だ。
「ランスと聖女様はここに横並びで立ってくれ」
騎士団長に指示された足元には、うっすらと魔法陣が描かれている。
「よし、それじゃ始めるぞ」
騎士団長が手に持っていた小さな箱を掲げると、その小箱は突然光って中に浮いた。
「新しき白龍使いの騎士ランスとその聖女セシルの婚姻の儀を行う。聖女はいかなる時もその力を白龍と騎士に捧げ、騎士は聖女を全ての災いから守る。最期のその時まで愛を持ってお互いを支え合うことが契約の条件となる」
騎士団長が言い始めると、魔法陣が青白く光だして光が私とランス様を包み込む。小箱がランス様の目の前に来ると、ランス様はその小箱を開けた。そこには、青く輝く小さな石が嵌め込まれた指輪が2つ入っている。
ランス様はその指輪を1つ取り出して、私の左手薬指にゆっくりとはめた。魔法で調整されるのだろうか、驚くことに大きく見えた指輪はピッタリと私の指にはまった。
もしかして残りの1つも同じように私がランス様に指輪をはめるのだろうか。ランス様を見ると、そうだよと言う顔で頷いてくる。指輪を取ってランス様の左手薬指にゆっくりはめると、やはりその指輪はピッタリとランス様の指にはまった。
「白龍使いの騎士ランス、生涯をかけて聖女を愛し守り抜くことを誓うか」
「誓います」
騎士団長がランス様に問うと、ランス様がしっかりとした声で宣誓した。なるほど、これも儀式の一つなのね。
「聖女セシル。生涯をかけてその力を白龍と騎士へ捧げ、騎士を愛し抜くことを誓うか」
「誓います」
ランス様と同じように宣誓すると、ランス様は嬉しそうに微笑んでくれている。よかった、嫌がられてはいないみたい。
二人の宣誓が終わった瞬間に指輪のキラキラした青い石が大きく光った。
「よし、儀式は無事に終了だ」
騎士団長の声と共に、指輪の光も魔法陣の光も小さくなって消えていった。
「さて、一般的な結婚式だと誓いのキスをするんだろうが、するか?まだ会って間もない二人だから強制はしないが」
騎士団長がニヤリとしながら言う。えっ、誓いのキス?するの?ランス様の方を見るとランス様もなぜか少し顔が赤い。
「え、いや、俺はいいけど、セシルが困るだろうからやめておきます」
俺はいいって、ランス様は私とキスしても構わないってこと?えっ、何それどういうこと??と、とにかく顔が熱くなってきちゃった……!
ランス様の返事を聞いて騎士団長はずっとニヤニヤしてるし、絶対に揶揄からかってると思う。あぁ、やっぱり逃げ出したい!
「あぁ、すまない。その話もちゃんとすべきだな。いつも説明していることだからつい端折ってしまう。すまんすまん」
騎士団長が苦笑しながら謝る姿をランス様はやれやれという顔で眺めている。まさか、ランス様は結婚するってことをわかっているの?
「白龍使いの騎士と選ばれた聖女は婚姻の契約を結ばなければいけない。契約することによってその力を自由に分けることができるんだ」
つまり、婚姻の契約をしなければ私の聖女の力はミゼル様にもランス様にも分け与えることができないっていうことなのか……。
「……も、もし、もしもの話ですが、その契約をお断りした場合は?」
「断ることはできる。できるが、白龍に選ばれた聖女が契約を断れば聖女の力は失われ、そのまま命を落とすことになる、らしい。実際見たことはないし、歴史書に書いてあるだけだからな。過去に騎士が気に食わないから交換しろと騒いだ聖女達はそのまま力を失って亡くなったらしい」
わかんないことが一番怖いことなんですけど……。でも、断ったら死ぬ確率の方が高いってことだ。はぁ~、思わずため息が出ちゃう。
「俺なんかと結婚するのは嫌だよね。なんだかごめん」
私のため息を聞いてランス様が申し訳なさそうに謝ってくる。わぁ、美しい顔立ちの方が申し訳なさそうな顔になるのもそれはそれでやっぱり美しいんだわ……じゃ、な・く・て!
「いえいえいえいえいえ、そんなことないです!むしろ、私なんかとランス様のような素敵な男性が結婚しなきゃいけないなんて申し訳ないです!私みたいな者にランス様は勿体無いですから!」
思わず大声で言ってしまい、目の前のお二人の驚く顔に気づいて恥ずかしくなってしまう。何を私は勢い余ってこんなこと言ってしまったんだろう、めちゃめちゃ恥ずかしい!
顔、赤くなってないかな。チラッとランス様を見ると、なんだかちょっと嬉しそうに微笑んでるし、騎士団長はなぜかニヤニヤしてる。とりあえず失礼なことは言ってないみたい。
「君はじゅうぶん魅力的な女性だよ。そんなに否定しなくても大丈夫」
ふふっと微笑みながらそんなこと言われたら、世の女性はみんな落ちてしまいますよランス様!さらに自分の顔が赤くなっていくのがわかる。どうしよう!
「この様子だと結婚については双方問題なさそうだが、いいか?」
騎士団長に最終確認を取られてしまう。ここで決断しなければいけないんだろうけれど、いいのかな。
両手を見つめて考える。ずっとずっとこんな力のせいで生贄になって食べられてしまうのだと嘆いていたけれど食べられるわけではなかったし、この力を白龍様や騎士様に分け与えるという役目はとてつもなく重大なことだと思う。この力が、実際にこの国のためになるんだ。
ふうっ。緊張した時も、大きな決断をする時も、とにかく大きく深呼吸。
「わかりました。ここに来るまでずっと生贄で食べられるのだと思っていたんですから、むしろ生きて白龍様や騎士様、この国に貢献できるのであればとても誇らしいことだと思います。だから、婚姻の契約を結びます」
私の決意を聞いてランス様と騎士団長は目を合わせて喜んでいる。
よかった、んだよね。これで、きっとよかったんだ。
「よし、それじゃ早速だが契約の儀式をする。俺が立会人だ。場所を変えるからランスと聖女様は一緒に来てくれ」
騎士団長は鍵のかかった机の引き出しを開けて何かを取り出すと、部屋を出るよう促した。
騎士団長に連れられてきた場所は、騎士団本部の中の一角にある、大聖堂のような場所だった。奥には大きな龍の白い銅像が建っている。
ステンドグラスが夕日に照らされてとても綺麗。私がいた教会より少しこじんまりしているけれど、それでも神聖さを感じる素敵な場所だ。
「ランスと聖女様はここに横並びで立ってくれ」
騎士団長に指示された足元には、うっすらと魔法陣が描かれている。
「よし、それじゃ始めるぞ」
騎士団長が手に持っていた小さな箱を掲げると、その小箱は突然光って中に浮いた。
「新しき白龍使いの騎士ランスとその聖女セシルの婚姻の儀を行う。聖女はいかなる時もその力を白龍と騎士に捧げ、騎士は聖女を全ての災いから守る。最期のその時まで愛を持ってお互いを支え合うことが契約の条件となる」
騎士団長が言い始めると、魔法陣が青白く光だして光が私とランス様を包み込む。小箱がランス様の目の前に来ると、ランス様はその小箱を開けた。そこには、青く輝く小さな石が嵌め込まれた指輪が2つ入っている。
ランス様はその指輪を1つ取り出して、私の左手薬指にゆっくりとはめた。魔法で調整されるのだろうか、驚くことに大きく見えた指輪はピッタリと私の指にはまった。
もしかして残りの1つも同じように私がランス様に指輪をはめるのだろうか。ランス様を見ると、そうだよと言う顔で頷いてくる。指輪を取ってランス様の左手薬指にゆっくりはめると、やはりその指輪はピッタリとランス様の指にはまった。
「白龍使いの騎士ランス、生涯をかけて聖女を愛し守り抜くことを誓うか」
「誓います」
騎士団長がランス様に問うと、ランス様がしっかりとした声で宣誓した。なるほど、これも儀式の一つなのね。
「聖女セシル。生涯をかけてその力を白龍と騎士へ捧げ、騎士を愛し抜くことを誓うか」
「誓います」
ランス様と同じように宣誓すると、ランス様は嬉しそうに微笑んでくれている。よかった、嫌がられてはいないみたい。
二人の宣誓が終わった瞬間に指輪のキラキラした青い石が大きく光った。
「よし、儀式は無事に終了だ」
騎士団長の声と共に、指輪の光も魔法陣の光も小さくなって消えていった。
「さて、一般的な結婚式だと誓いのキスをするんだろうが、するか?まだ会って間もない二人だから強制はしないが」
騎士団長がニヤリとしながら言う。えっ、誓いのキス?するの?ランス様の方を見るとランス様もなぜか少し顔が赤い。
「え、いや、俺はいいけど、セシルが困るだろうからやめておきます」
俺はいいって、ランス様は私とキスしても構わないってこと?えっ、何それどういうこと??と、とにかく顔が熱くなってきちゃった……!
ランス様の返事を聞いて騎士団長はずっとニヤニヤしてるし、絶対に揶揄からかってると思う。あぁ、やっぱり逃げ出したい!
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