23 / 82
射抜かれた心
しおりを挟む
声のする方を見ると、複雑そうな顔のユーズ様とランス様がいる。そういえば、私もベル様もそれぞれ人の姿をした白龍様に肩を抱かれている状態だ。
「ダメだったかい?お互いに白龍から自分の聖女を守っているだけなのだけれどね」
ユイン様の言葉にミゼル様もうんうんと首を縦に振る。そのままお二方とも肩に回した腕は解くつもりはないようだ。
ランス様の方を見ると、明らかに機嫌が悪そう。えぇと、こういう場合どうしたらいいんだろう。
「自分の聖女を守るのは白龍として当然のことだろうな。それはわかる。でも我々がこうして到着したのだから、ベルとセシルの肩に回した手はそろそろ退けてくれないかな。我々の心が平穏でいられない」
ひきつるような笑顔でユーズ様がそう言うと、ユイン様とミゼル様は目を合わせてからにっこりと微笑み肩から手を退けた。
「ユーズもランスも嫉妬深いんだねぇ。そんなところは好感が持てるけれど」
「ユインもミゼルもわざとやってるだろ」
「さぁ、なんのことかな」
ユーズ様はユイン様とベル様の間に割って入り、ベル様の肩にそっと手をかけベル様を見つめる。ベル様はそんなユーズ様を嬉しそうに見つめて微笑み、そんなベル様を見てユーズ様も嬉しそうだ。
ふと、自分の肩にまた体温を感じて目を向けると、すぐ隣にランス様がいる。あれ、いつの間に?!そう思っているとランス様も私の肩に手を回してきた。えっ、えっ、どういうことですか?!
思わずランス様の顔を見ると、ランス様が戸惑うような顔でこちらを見つめている。
「俺にこうされるのは嫌、かな」
えっ、えっ?!そんな?!
「い、嫌だなんてそんな、そんなことないです」
顔が熱い。なんならランス様の手がある肩もじんわりと熱い。どうしよう、恥ずかしくて思わず俯いてしまう。
「セシルは本当に素直で可愛らしいね」
ふふ、とミゼル様の声がする。あぁ、恥ずかしい!!
「セシル、俯いてばかりではランスは嫌われていると勘違いしてしまうわよ」
「そうそう、そいつは悪い方に勝手に考え込んでしまう癖があるからな。もうちょっとわかりやすく好意を表してやってくれ」
ベル様とユーズ様からそう言われて思わず顔をあげると、少し困ったような悲しげなランス様のお顔があった。
「あっ、あの……」
ランス様を見つめると、ダークブルーの髪の毛がサラサラと風に靡いてアメジスト色の瞳が私を射抜く。どうしよう、顔が熱くなってきた。もう目を反らしたい!反らしたいのだけれど……。
「わ、私はランス様に触れられたりするのは嫌ではありません。ランス様のことはとても素敵な方だと思っていますし、むしろ嬉しい、です……」
勇気を振り絞ってそう言うと、困ったような悲しそうな顔をしていたランス様の瞳が大きく開かれる。あぁ、瞳がキラキラしていてキレイ。
「本当に?そうだとしたら嬉しいよ、セシル。俺も君のことは素敵だと思っているし、これからずっと大切にしたい。まだ会って間もない男にこんなこと言われるのは気持ち悪いかもしれないけれど」
「気持ち悪くなんてありません!ランス様はむしろ私になんて勿体ないくらい素敵です。かっこいいし優しいしお強いですし」
思わず捲し立てるように言ってから、我に返る。
目の前には顔を真っ赤にしたランス様、近くにいるベル様はとっても嬉しそうだし、ユーズ様はニヤニヤしている。
ミゼル様とユイン様は微笑んでいる姿がまるで絵画のよう。
あぁぁぁどうしよう、思わず言ってしまったけれどめちゃめちゃ恥ずかしい!!!!
「ありがとうセシル。そんな風に言ってもらえて本当に嬉しいよ」
ランス様が嬉しそうに頬笑む。その頬笑みは向日葵が咲いたような、太陽の光のような、その位眩しくてクラクラする頬笑み。その頬笑みを見た瞬間、私の心臓は
完全にランス様に射抜かれてしまった。
「ダメだったかい?お互いに白龍から自分の聖女を守っているだけなのだけれどね」
ユイン様の言葉にミゼル様もうんうんと首を縦に振る。そのままお二方とも肩に回した腕は解くつもりはないようだ。
ランス様の方を見ると、明らかに機嫌が悪そう。えぇと、こういう場合どうしたらいいんだろう。
「自分の聖女を守るのは白龍として当然のことだろうな。それはわかる。でも我々がこうして到着したのだから、ベルとセシルの肩に回した手はそろそろ退けてくれないかな。我々の心が平穏でいられない」
ひきつるような笑顔でユーズ様がそう言うと、ユイン様とミゼル様は目を合わせてからにっこりと微笑み肩から手を退けた。
「ユーズもランスも嫉妬深いんだねぇ。そんなところは好感が持てるけれど」
「ユインもミゼルもわざとやってるだろ」
「さぁ、なんのことかな」
ユーズ様はユイン様とベル様の間に割って入り、ベル様の肩にそっと手をかけベル様を見つめる。ベル様はそんなユーズ様を嬉しそうに見つめて微笑み、そんなベル様を見てユーズ様も嬉しそうだ。
ふと、自分の肩にまた体温を感じて目を向けると、すぐ隣にランス様がいる。あれ、いつの間に?!そう思っているとランス様も私の肩に手を回してきた。えっ、えっ、どういうことですか?!
思わずランス様の顔を見ると、ランス様が戸惑うような顔でこちらを見つめている。
「俺にこうされるのは嫌、かな」
えっ、えっ?!そんな?!
「い、嫌だなんてそんな、そんなことないです」
顔が熱い。なんならランス様の手がある肩もじんわりと熱い。どうしよう、恥ずかしくて思わず俯いてしまう。
「セシルは本当に素直で可愛らしいね」
ふふ、とミゼル様の声がする。あぁ、恥ずかしい!!
「セシル、俯いてばかりではランスは嫌われていると勘違いしてしまうわよ」
「そうそう、そいつは悪い方に勝手に考え込んでしまう癖があるからな。もうちょっとわかりやすく好意を表してやってくれ」
ベル様とユーズ様からそう言われて思わず顔をあげると、少し困ったような悲しげなランス様のお顔があった。
「あっ、あの……」
ランス様を見つめると、ダークブルーの髪の毛がサラサラと風に靡いてアメジスト色の瞳が私を射抜く。どうしよう、顔が熱くなってきた。もう目を反らしたい!反らしたいのだけれど……。
「わ、私はランス様に触れられたりするのは嫌ではありません。ランス様のことはとても素敵な方だと思っていますし、むしろ嬉しい、です……」
勇気を振り絞ってそう言うと、困ったような悲しそうな顔をしていたランス様の瞳が大きく開かれる。あぁ、瞳がキラキラしていてキレイ。
「本当に?そうだとしたら嬉しいよ、セシル。俺も君のことは素敵だと思っているし、これからずっと大切にしたい。まだ会って間もない男にこんなこと言われるのは気持ち悪いかもしれないけれど」
「気持ち悪くなんてありません!ランス様はむしろ私になんて勿体ないくらい素敵です。かっこいいし優しいしお強いですし」
思わず捲し立てるように言ってから、我に返る。
目の前には顔を真っ赤にしたランス様、近くにいるベル様はとっても嬉しそうだし、ユーズ様はニヤニヤしている。
ミゼル様とユイン様は微笑んでいる姿がまるで絵画のよう。
あぁぁぁどうしよう、思わず言ってしまったけれどめちゃめちゃ恥ずかしい!!!!
「ありがとうセシル。そんな風に言ってもらえて本当に嬉しいよ」
ランス様が嬉しそうに頬笑む。その頬笑みは向日葵が咲いたような、太陽の光のような、その位眩しくてクラクラする頬笑み。その頬笑みを見た瞬間、私の心臓は
完全にランス様に射抜かれてしまった。
15
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~
白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。
国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。
幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。
いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。
これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる