聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

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聖女誘拐事件の目的

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 討伐祭が終わって数日が経ち、白龍騎士団本部から招集がかかった私とランス様、ミゼル様はそろって白龍使いの騎士団本部にいる。

 本部の会議室には以前集まった時のように白龍使いの騎士様と聖女様、そして白龍様たちが集まっていた。

「よう、こうして元気にしてるってことはあの後は大丈夫だったってことだな」
 ロイ様が明るく声をかけてきた。横にはリラがロイ様の服の裾を掴みながらちょこんと立っている。前はロイ様の後ろに隠れるようにしていたけれど、今はちゃんとロイ様の隣にいるんだ。

「セシル、ランス様も、無事でよかったの」
「ありがとう、リラ。リラも変わらず元気そうでよかったわ」
 そう返事をすると、リラは嬉しそうに笑った。その笑顔の可愛いこと!

 ロイ様の方をみるとロイ様もリラの笑顔を見て嬉しそうだ。わかります、とても可愛いですもんね。
 それにここまで感情豊かになってくれたらずっと一緒にいてその変化を見てきたロイ様にとってはきっと感無量だろうな。

 討伐祭の後、ランス様に初めて体の交わりで力わけを行ってから、ランス様の様子がおかしい。いや、おかしいわけではなくて、なんというか今まで以上にすごく大切に扱ってくれるというか……。
 とにかく、言動も行動も甘いのだ。嬉しいのだけれど、人前でもそうだと正直恥ずかしくてどうしようもない。今日もそうだったらどうしようと実はドキドキしている。

「セシル、大丈夫?」
 今も席に座ってからそう言って私の腰に手を当てて引き寄せてくる。今までは手を繋ぐだけだったのに!あぁ、どうしようすごく恥ずかしい!ランス様と密着してるからすごくドキドキしてしまう。なんならあの日のことをつい思い出してしまって……あぁ、ダメダメ!会議なんだから集中しないと!

「相変わらずお熱い事で」
 近くに座っていたガイル様からヤジが飛んでくる。隣のシキ様は相変わらず無表情でこちらを見て、すぐ前を向いた。あぁ、なんて思われたんだろう、顔から火が出そう!クロウ様たちは優しく微笑んでくれてるけど……。


「よし、全員そろったようだな。会議を始めたいと思う」

 ユーズ団長の一声で、雑談していた騎士様や聖女様たちは一斉に静かになった。

「先日、討伐祭において討伐祭に参加していた聖女たちの左腕に得たいの知れない黒い物体が執着するという事態がおきた。どうやら指輪を狙っていたらしく、虹の力についても言葉を発していた」

 ユーズ団長の言葉に会議室内がざわついた。あの時のことを思い出すと今でもゾッとする。

「このことについて、白龍ギールから詳しい話があるそうだ」

 ユーズ団長がそう言ってギール様の方を向くと、ギール様が席から立ちあがり全員を見渡せる位置に移動した。ただ歩くだけなのに、その姿は神々しさを隠し切れない。

「先日の黒い塊の正体は、恐らく瘴気によって出来たもの。その土地の近くに残留する念のようなものが集まって出来たものだろう。そしてその念のようなものは、過去に聖女だった人間の執着心だ」

 過去に聖女だった人間の執着心!?それって一体どういうことなのかしら……?

「聖女の中には騎士と良好な関係を築けなかった者や騎士にないがしろにされたもの、さらに過去に遡れば騎士を聖女が勝手に選別しようとして虹の力そのものを無くした者もいる。それらは結果的に聖女としての役目を果たせぬまま命も無くした」

 ギール様は表情をかえずに淡々とそう告げるけれど、その内容に会議室内全体が動揺する。
 過去に虹の力を失ったあげくに命まで失ってしまった聖女たちの念の集まりがあの姿……?

「聖女として騎士と信頼関係を構築することができず、愛されることもなく死んでいった者たちの、愛されたいというただその一念が恐らくはあの土地の近くに多く残留していたのだろう」

 その言葉にその場が一瞬静かになる。愛されることのなかった聖女たちの愛されたいという強い念。それは果たしていかほどのものだったのだろう。

「たまたまあの場に強い念がたくさん集まりあのような姿になってしまった。瘴気の影響もあってそれは大きく膨れ上がり、周りの魔物にまで影響したと思われる」

 騎士様や聖女様たちにはさらに動揺が走るけど、白龍様たちは皆いたって冷静だ。もしかしたらギール様から先になんらかの情報が伝わっていたのかもしれない。
 もちろんミゼル様も表情ひとつ変えずにただ話を聞いている。

「あの塊は聖女誘拐事件とは別なものと考えて良いだろう。ただ、聖女誘拐事件を起こしている者による影響で起こったことではある」

 そう言って、ギール様は静かにまぶたを閉じた。

「聖女誘拐事件の目的は、ここにはいないひとりの聖女による虹の力を奪うためであり、それはその聖女が自分の白龍を助けるために行ったことだ」


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