聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

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「……ケインズ団長は一体どう思っているんだろう」

 聖女ニオ様と幼馴染だというケインズ団長。小さい頃とても仲が良くいつも一緒にいたけれど、突然聖女としてニオ様がいなくなってしまう。
 生贄にされて死んだとばかり思っていたその相手に、ある日ばったり出会ったけれど騎士との仲の悪さを目の当たりにし、その時に白龍様とも少しだけ会話したという。
 
 騎士団長室でケインズ団長は始終淡々としていたけれど、死んだと思っていた幼馴染が実は生きていて騎士には愛されていないことを目の当たりにしたらきっと何かしら思っただろう。
 そして今回の誘拐事件に関わっていてそれが愛する白龍様のためだと知ったら、あのケインズ団長のことだ、きっと内心は嵐のように激しいんじゃないのかしら。

 ケインズ団長と初めて会った時、ケインズ団長はランス様や私を揶揄うような態度をとった。
 その時はなんて性根の悪そうな人なのだろうと思ったけれど、もしかしたらニオ様のことがあって白龍使いの騎士と聖女の仲を良く思っていなかったのかもしれない。そうだとしたら、やっぱりケインズ団長はニオ様のこと……。

「白龍様がいなくなっても、ニオ様にはケインズ団長がいてくれるかもしれないですよね」
「そうだね、それをニオ様が受け入れるかどうかはわからないけれど。……それに、白龍だってそれを良しとするかどうかわからない」

 ランス様の言葉を聞いて複雑な気持ちになる。考えても考えてもやっぱりわからない。それはそうなのだ、だってその人たちの本当の気持ちは、その人たちにしかわからないのだから。

「セシル、君には絶対そんな風になってほしくない。こんな時にこんなことを思うのはおかしいのかもしれないけれど、もし君とミゼルが愛し合うようなことになってしまったら、俺は気が狂ってしまう」
 辛そうな顔でそう言って、ランス様は私をそっと抱きしめた。

「……ランス様は私のことをいつだって愛してくれているじゃないですか。それに私はランス様のことしか愛していません」
 私の返事を聞いて、ランス様の抱きしめる力が強くなる。

「まだお互いにお互いの気持ちを打ち明けていない頃、すれ違いそうになったことがあっただろう。もしあのままだったら、俺たちだってどうなっていたかわからない。そう思うと、本当に苦しくて……。セシルと今こうして一緒にいられることが幸せでたまらないんだ」
 そう言ってランス様はそっと体を離して私の顔を覗き込む。綺麗な瞳がキラキラと輝いていて見惚れてしまうほどだ。

「あの時、勇気を出して俺に向き合ってくれてありがとう。セシルのおかげで今の俺たちがいるんだ」
 こんなにも素直に気持ちを伝えてくれるランス様。本当に本当に素直で純粋で素敵な騎士様。

「ランス様だって、ちゃんと私に向き合ってくれたじゃないですか。私だけじゃないです、二人でちゃんと向き合えたから、こうして一緒に笑って過ごしていられるんです。ランス様のおかげでもあるんですよ」
 ね?とにっこり微笑むと、ランス様は両目を見開いてからすごく嬉しそうに微笑んだ。そう、私の大好きなお日様のようなひまわりのような暖かくて優しい笑顔。

 ちゅ、とランス様が頬に口づけをしてくる。そのままおでこや反対の頬、首筋などありとあらゆるところに優しい口づけを何度も何度もしてくる。あぁもう、すごくくすぐったいし何だか体がじんわり熱くなる。

「好きだよ、セシル。ううん、好きだけじゃ伝えきれないほどだ。愛してるよ、心の底から愛している」
 そう言ってランス様はまた優しく微笑む。

「私も、愛しています。ランス様」

 唇にそっとランス様の唇が重なる。そのまま何度も優しく唇に降り注いでくる。

「力わけとは関係なく、今君が欲しいんだけれど、いいかな?」
 唇が離れるとそう言ってランス様が顔を覗き込んできた。遠慮がちだけれど、頬が赤らんでいるし瞳の奥には何か強い思いを感じるほどだ。

「えっと、夕飯の前ですけど……」
「セシルが嫌ならもちろん無理強いはしないよ。ごめん、気にしないで」
 申し訳なさそうに言って離れようとするランス様の腕を、思わず掴んでしまった。

「セシル?」
「い、嫌ではないのです。ただ夕飯に間に合うかなと……」
 よくわからない言い訳をすると、ランス様はくすくすと楽しそうに笑った。

「そっか、それが心配ならちゃんと間に合うように気をつけるよ。ということで、了承を得たからね」
 ランス様は私の足もとに腕を入れて、私はひょいっと持ち上げられてしまった。

 そのまま、部屋のベッドまで運ばれていく。

「ラ、ランス様!今までと違って最近なんだか距離感がおかしくないですか?」

「嫌?嫌ならもちろんやめるよ。でもセシルが嫌じゃないなら俺はもう遠慮はしないって決めたんだ。セシルといるこの一瞬一瞬を逃したくないし大切にしたいから」

 じっと見つめられてそんな風に言われたら何も言い返せない。

「嫌、じゃ、ないです」

 そう返事をすると、ランス様は満足そうな顔をしてベットに私をゆっくり降ろした。





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