辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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10話

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 ガイウスの過去のトラウマを癒やした後、ミサキは彼の支配的な愛が、孤独と喪失への恐れから来ていることを完全に理解した。彼に対する恐怖は消え、代わりに深い愛情と、彼を支えたいという決意が芽生えていた。

 翌朝、ガイウスはいつもより早い時間にミサキを起こした。

「ミサキ。朝食だ」

 ミサキが厨房に向かうと、ガイウスがすでに火を起こし、食材を並べていた。彼はミサキに料理を強要するのではなく、共に料理をしようと促していた。

「この鶏肉は、昨夜の山で捕れた新鮮なものだ。君の指示通り、血抜きを完璧に行った。この肉の最高の味を、どう引き出すべきか教えてくれ」

 ミサキは微笑んだ。

「分かっています。最高の食材は、団長との共同作業で最高の味になります」

 二人は並んで料理を始めた。ミサキはガイウスに、油の温度や焼き加減の重要性を指導し、ガイウスは騎士団長としての高い集中力と完璧な手先の器用さで、ミサキの指示に正確に従った。

 完成したのは、極上のローストチキン。外はパリッと、中はジューシーに仕上がり、ミサキが作ったハーブとバターのソースが、その風味を最大限に引き出していた。

 二人は食卓につき、ローストチキンを切り分けた。

 ガイウスは一口食べ、ゆっくりと目を閉じた。彼の瞳からは、もはや冷酷さや支配欲は消え失せ、穏やかで、満たされた愛が溢れていた。

「ミサキ」

 ガイウスは、ミサキの手をテーブルの上で握りしめた。彼の騎士団長としての硬い手が、ミサキの手に温もりを伝えた。

「君の料理は、私の命そのものだ。君が私の傍にいることで、私の味覚は救われ、私の魂は安寧を得た」

 ガイウスは立ち上がり、ミサキの目の前に跪いた。彼の行動は、冷酷な騎士団長のそれではなく、純粋な愛を捧げる一人の男の姿だった。

「ミサキ。私は、君の才能に執着した。それは事実だ。だが、今は違う。君の心が、私の孤独を埋めた。君の全てが、私の光だ」

 彼はミサキの手に口づけを落とし、まっすぐ彼女を見つめた。

「君は、私にスローライフを奪われたと嘆いた。だが、私にとって君との生活こそが究極のスローライフだ。君がいなければ、私は再び、闇の中で孤独に生きる鉄の塊に戻るだろう」

「ミサキ・アズマ。どうか、私の傍で、私の命の源として生き続けてくれないか?君の望む静かな生活を、私が命を懸けて守る。君の料理も、君の自由も、君の安全も、全て私の愛と庇護の下にある」

 ガイウスは、騎士団長としての誇りを捨てて、ミサキに求愛した。それは、支配ではなく、絶対的な愛の誓いだった。

 ミサキは、涙が込み上げてくるのを感じた。孤独なこの異世界で、自分の全てを必要としてくれる、唯一無二の存在を見つけたのだ。

「ガイウス団長……」

 ミサキは、彼の硬い頬にそっと触れた。

「私を選んでくれて、ありがとう。わたくし、団長を支えたい。団長と一緒に、このログハウスで、美味しい料理を作り続けたいです」

 ミサキの返答に、ガイウスの冷徹な顔に初めて満面の笑みが浮かんだ。彼はミサキを抱きしめ、二人の愛は、料理と独占欲から、真実の絆へと昇華したのだった。
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