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11話
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学園にとって年に一度の大行事――学園祭の日がやってきた。
華やかな装飾が施され、各クラスが趣向を凝らした出し物を披露する。王族や貴族たちも揃い、学園全体が祝祭の熱気に包まれていた。
リリナは長机に並べられた薬草や香草を前に、落ち着いた笑みを浮かべていた。
「ふふ、庶民的な薬草喫茶なんて貴族の嗜みに合うか心配だったけれど……思った以上に好評ね」
彼女の提案で、クラスは「薬草茶と軽食の喫茶店」を出すことになった。最初は「泥臭い」「貴族らしくない」と反対されたが、試飲会で評判が良く、一気に賛成に傾いたのだ。
実際、店は大盛況だった。
「この香草茶、体が温まるわ!」
「頭痛が和らいだ気がする」
「リリナ様、まるで本職の薬師のようですわ!」
周囲の令嬢や子爵家の夫人までもが絶賛し、リリナは自然と輪の中心に立っていた。
その様子を遠くから見守るのは王太子レオンと、物語のヒロインである侯爵令嬢エミリアだ。
「……リリナが、あんなにも人気を集めているとは」
レオンは思わず呟いた。
本来なら、この学園祭は「リリナがエミリアを貶め、王子の怒りを買って破滅する」大きなフラグイベントのはずだった。
だが現実は真逆。エミリアの姿は影に隠れ、注目を浴びているのはリリナなのだ。
苛立ちを隠せないエミリアは、わざと客の前で声を張った。
「まあリリナ様、そんな庶民じみたものを出して……殿下にふさわしくありませんわ!」
空気が一瞬、張り詰める。破滅フラグの匂いが漂った。
だがリリナは慌てず、涼やかな声で返す。
「まあ、エミリア様。庶民じみているからこそ意味があるのですわ。誰しも体調を崩すことはありますもの。薬草茶は身分を問わず、誰の助けにもなりますわ」
その言葉に、周囲の令嬢たちは深く頷いた。
「確かに……」
「リリナ様のおっしゃる通りですわね」
逆にエミリアは「意地悪をした」と周囲に受け止められ、居心地悪そうに俯いた。
――また一つ、破滅フラグを回避成功。
やがて祭りのクライマックス、各クラスの出し物を王子自ら視察する時間が訪れた。
レオンは薬草喫茶を訪れ、席に着く。リリナ自ら茶を差し出した。
「殿下。こちらは体を温める薬草を調合した特製のお茶です。どうぞお試しくださいませ」
「……ありがとう」
香草の柔らかな香りが広がり、レオンは目を細める。
「これは……驚いたな。こんなにも飲みやすく、体が安らぐとは」
周囲の貴族たちが一斉に感嘆の声を上げた。
「殿下がお認めになった!」
「リリナ様の先見の明だわ!」
その光景を、エミリアは歯ぎしりしながら見つめていた。
視線を受け止めながらも、リリナは内心で小さくガッツポーズを取った。
――破滅フラグの大イベント、完全回避成功!
王宮へ戻る馬車の中、レオンは考え込んでいた。
(彼女は一体、いつからこんなに変わったのか……? 少なくとも今の彼女は、俺が知っている誰よりも堂々として、美しい)
その胸に芽生えた感情を自覚するには、もう少し時間が必要だった。
華やかな装飾が施され、各クラスが趣向を凝らした出し物を披露する。王族や貴族たちも揃い、学園全体が祝祭の熱気に包まれていた。
リリナは長机に並べられた薬草や香草を前に、落ち着いた笑みを浮かべていた。
「ふふ、庶民的な薬草喫茶なんて貴族の嗜みに合うか心配だったけれど……思った以上に好評ね」
彼女の提案で、クラスは「薬草茶と軽食の喫茶店」を出すことになった。最初は「泥臭い」「貴族らしくない」と反対されたが、試飲会で評判が良く、一気に賛成に傾いたのだ。
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「頭痛が和らいだ気がする」
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本来なら、この学園祭は「リリナがエミリアを貶め、王子の怒りを買って破滅する」大きなフラグイベントのはずだった。
だが現実は真逆。エミリアの姿は影に隠れ、注目を浴びているのはリリナなのだ。
苛立ちを隠せないエミリアは、わざと客の前で声を張った。
「まあリリナ様、そんな庶民じみたものを出して……殿下にふさわしくありませんわ!」
空気が一瞬、張り詰める。破滅フラグの匂いが漂った。
だがリリナは慌てず、涼やかな声で返す。
「まあ、エミリア様。庶民じみているからこそ意味があるのですわ。誰しも体調を崩すことはありますもの。薬草茶は身分を問わず、誰の助けにもなりますわ」
その言葉に、周囲の令嬢たちは深く頷いた。
「確かに……」
「リリナ様のおっしゃる通りですわね」
逆にエミリアは「意地悪をした」と周囲に受け止められ、居心地悪そうに俯いた。
――また一つ、破滅フラグを回避成功。
やがて祭りのクライマックス、各クラスの出し物を王子自ら視察する時間が訪れた。
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「殿下。こちらは体を温める薬草を調合した特製のお茶です。どうぞお試しくださいませ」
「……ありがとう」
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「これは……驚いたな。こんなにも飲みやすく、体が安らぐとは」
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――破滅フラグの大イベント、完全回避成功!
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