気づいたら悪役令嬢でしたが、破滅フラグは全力で避けます!

腐ったバナナ

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15話

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 舞踏会から数日後、宮廷は静かな日常を取り戻しつつあった。しかし、リリナの心の中は決して静かではなかった。これまで避けてきた破滅フラグ、誤解、嫉妬……すべてを乗り越えた先に、ようやく自分の立場と未来を手に入れられると実感していた。

「お嬢様、今日もお食事の準備は万全です」

 侍女マリーの声に、リリナは微笑みながら頷く。

「ありがとう、マリー。今日は殿下も庭園で私と過ごすと言っていたわね」

「ええ、でも少し驚きましたわ。殿下がご自分から庭園での散策を望むなんて」

 リリナはゆっくりと窓の外を見やる。秋の柔らかな陽光が庭を包み、色とりどりの落ち葉が風に舞っている。静かで平和な景色――これこそ、自分が望んでいた日常だった。

 庭園に着くと、レオンはすでに待っていた。

「リリナ、今日も美しい」

「殿下、またそんなことを言って……でも、嬉しいです」

 彼女は微笑みながら手を差し出す。レオンはその手を優しく取った。

「僕は、君が宮廷内でどう見られるかなんて気にしない。君がどう生きたいか、それだけを知りたい」

 リリナは少し驚き、そして静かに頷く。

「ありがとう、殿下。私も……自分の意思で生きると決めたの。宮廷の人々の評価に左右されず、自分の価値を信じて」

 二人は手を取り合い、庭園の小道をゆっくりと歩く。道すがら、先日舞踏会で孤立していた令嬢や宮廷の重臣たちも、リリナを敬意を込めて見守る視線を送っていた。だが、リリナは気にせず穏やかな笑みを浮かべる。

「ねえ、リリナ」

 レオンの声に振り向くと、彼は真剣な眼差しで見つめていた。

「これからも、君のそばにいていいか?」

 リリナは少し微笑み、そして答えた。

「ええ、殿下。私の人生は私のもの。そして、あなたと共に歩むなら、それは幸せな人生になるわ」

 夕暮れの光が二人を包み、まるで世界が祝福しているかのように感じられた。リリナは胸の中で、小さく心の声をつぶやく。

(破滅フラグはもうない。私は自分の未来を、自分で選んだ。これからは誰にも左右されない)

 その夜、リリナの部屋には柔らかな灯がともり、マリーがそっと差し出した手紙に目を通す。手紙は近隣の村や町からの感謝の言葉で溢れていた。薬師として、人として、人々の信頼を勝ち取った証だった。

「リリナ様、本当に素晴らしいですわ……皆、貴女を頼りにしています」

「ありがとう、マリー。私たちの努力が報われたのね」

 リリナは深呼吸し、窓の外に広がる星空を見上げる。澄んだ夜空に星が瞬き、未来が無限に広がっているように感じられた。

 静かな夜、庭園で過ごした幸福な時間を胸に、リリナは安心してベッドに横たわる。

 心の中で誓う――これからも、破滅フラグを避けながら、自分の信じる道を歩み続けると。そして、レオンと共に、自由で幸せな日々を築いていくのだと。

 朝日が差し込む部屋で、リリナは目を覚ます。窓の外の世界は昨日よりも輝き、彼女の胸には温かさが広がっていた。破滅の影はもうなく、残るのは希望と愛、そして自由だけ。

 そしてリリナは笑顔でつぶやく。

「さあ、新しい一日の始まりね」
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