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5.ジョセフとエミール(エミール)
しおりを挟む私は伯爵令嬢エミール。
婚約者のジョセフも同じく伯爵家の息子だ。
小さい頃から親同士が仲良く、よく一緒に過ごした。
ジョセフの事を男性として好きかと言われれば悩ましい所だが、手のかかる弟のように大切に思っていた。
婚約も、当たり前のように決まり私もジョセフと結婚するのが当たり前だと思っていた。
ジョセフも恋愛感情は別としても、私と同じように私の事を大切に思っていると思っていた。
しかし、近頃ジョセフがおかしくなってきたのだ。
子爵令嬢のリリアン様と一緒に過ごしている姿が多く見られるようになった。
幼い頃から一緒にいるが、ジョセフが他の女性と親しくしている姿など見た事が無かった。
少し胸騒ぎを覚え、それとなく聞いてみる。
「ジョセフ様?最近リリアン様と仲が良いそうですね…?」
「ん?そうかな…。なんだか、最近変な男に付き纏われているようで相談に乗っているだけなんだけど…。仲良さそうに見えるかな?ふーん…。そうか。で、何?エミールは嫉妬したのかい?」
「嫉妬…と言いますか…。」
なんだか嬉しそうに答えるジョセフに軽い苛立ちを覚える。
「良いんだ、良いんだ。エミールの気持ちはよくわかったからさ。」
「あまり特定の女性と仲良くなる事は良くないと思いますよ、ジョセフ様。」
ジョセフの為にも忠告する。
「はいはい!わかりましたよ~!」
「もう、ジョセフ様ったら聞いているのかしら…。」
こう会話した日から、ジョセフの態度はどんどん変わっていった。
「あ、今日の放課後の勉強はリリアンとする事にしたからエミールは来ないで欲しい。」
「明日の昼休みはリリアンと過ごす事にしたから、エミールは友人と過ごしたら?」
「リリアンって可愛いよな…。エミールより甘え上手でさ…。」
「リリアンが、"ジョセフ様しかこんな事相談する事ができなくって…。"なんて言ってさ…。可愛いだろ~?」
このような事ばかりを言うようになってきた。
初めの方は、嫌な顔をしたり、諫めたりしていたが、段々と疲れてしまい、何も言い返さずに聞き流すようになっていた。
すると、どんどんジョセフは不機嫌になっていった。
(流石に、幼馴染のよしみで面倒を見ていたけれど、もう面倒を見きれませんわ…。)
ジョセフへの情がどんどん薄れていく。
しかし、泣いても笑ってもジョセフは私の婚約者なのだ。支え続けるしか無い。
そう自分に言い聞かせていた。
そのような時に、
ある昼休みにまたリリアンを連れて私に何かを言ってきた。
(またいつものリリアン様話ね…。)
そう思ったが、この日のジョセフは言ってはいけない言葉を口にした。
「婚約破棄しても良いんだぞ?」
プツンッ
私の中で何かが切れた瞬間だった。
(婚約破棄…?こちらから願い出たい所でしたわ……??)
そして、ジョセフの顔を見て、
(さようなら。ジョセフ…。)
心の中で呟くのだった。
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