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17.長い道のり1(リリアン視点)
しおりを挟む明日は卒業式。
学園であの人を一目見てから今日まで本当に長かった。
私はダーソン子爵令嬢リリアン。
私の運命の相手、クロード・タバリア様に出逢ったのは入学式。
入学式の入り口で緊張する私に、
"新入生の入り口はあちらですよ"
と笑顔で声をかけてくださった。
私は一目でその笑顔に心奪われた。
運命だと思った。
しかし、素敵なクロード様には群がる女がたくさんいた。
「負けてられないわ…!」
しかし、ファンクラブの女達が邪魔で中々近づけやしない…。
(うかうかしていたら誰かに取られてしまう…!)
毎日毎日クロード様を見守る。
しかしその中で気付いた事がある。
ミレイユ・ハーブス……!!
クロード様はあの女ばかり見つめているのだ…!!
(どうして!?私を見て…!?あの女どんな手を使ったのよ…。)
ギリッと歯を噛み締める。
(何とか……!何とかしないと…!!私の方がクロード様の事を知っているわ…!!クロード様の食の好み、家族、文字の癖……何でも知っている。あんな女に負けないわ!!)
焦った私は家に帰り、父に掛け合うことにした。
「お父様!!」
「やぁ、リリアンお帰り。どうしたんだい?そんなに慌てて…。」
「何とか私をクロード様の婚約者にして!!」
「タバリア侯爵のか…。我が家は子爵家で特段裕福な訳でも無いし…厳しいな…。」
「そんな事は分かっているのよっ!だからそれを何とかするのが父親ってものでしょう!?」
「リ、リリアン、子爵令嬢がそのようなはしたない態度を…。」
父を睨みつける。
「い、いや何でも無い…。何とかって言われてもこれはどうにもならないのだ…。リリアンには良い婚約者を見つけるから…な?」
「嫌よっっ!!クロード様でないと!!クロード様と結婚できなかったら、この窓から飛び降りてみせるのだから!!」
「そ、それはやめてくれ…!何でもしてやるから…。」
父はただただ、あたふたしているだけだ。
(こっの…頼りにならない…!!って…。何でも……??そうだわ…。)
「ねぇ、お父様…?」
笑みを浮かべ父に近づく。
「な、なんだいリリアン…」
反対に後退りする父…
「お父様は、私の事愛していますよねぇ…?」
「あ、あぁもちろん…。」
「私の為に何だってできるのですわよねぇ……?」
「……あ、あぁ…。」
父を壁まで追いやり、父の手を両手で掴む。
「ひいっ…」
「なら、タバリア侯爵に恩をお売りください。そうですわねぇ…。命を助けるくらいしなければならないですね。タバリア侯爵は情に熱い事で有名ですから。」
「リリアン、何を企んでいるんだ…?」
「お父様。夜道で偶然襲われたタバリア侯爵を偶然助けてください。いつが良いですかねぇ…。ちょうど3週間後の週末、夜会がありますよね。しかも、タバリア侯爵夫人が帰省されていらっしゃらないようですねっ!侯爵夫人は中々鋭い方なのでラッキーですわ!」
「リリアン、なぜ侯爵夫人の予定まで知っているのだ…!?」
父が怯えながら私に問う。
でも、好きな人の家族の予定くらい知っていて当たり前だ。
父は何を言っているのだろうか。
「??当たり前ですわ。クロード様の事に関する事ならなんでも知っていますわ。侯爵夫人の予定は、クロード様の寮に届いた侯爵夫人からの手紙に書いてありましたし…。」
「人の手紙を勝手に見るなんて…!いや、それよりも私にタバリア侯爵を襲わせる気だな…!?そのような事はさすがにリリアンの為と言ってもできない…!そのようは事がバレたら…大変な事になる!」
「マリアーナ。」
「なっっっ!!!!」
父がその名前を聞き大きく動揺する。
「マリアーナでしたっけ?可愛い方ですわねぇ。父のお気に入りの娼婦は。でも~父が赤ん坊の格好をしてバブバブ言いながらマリアーナに甘えている姿は、娘の私からしたら目を覆いたくなりましたわ…。その上、もの凄いお金を彼女に貢いでるとか…。一体どこにそのようなお金があるのですかねぇ?この事、お母様が知ったら…………。どうでしょう……??」
このような事もあろうかと、父の弱みもしっかり握っておいたのだ。
こんな時に役に立つとは…。
「なっっなぜお前がそんな事をっっ!!やめてくれっやめてくれっ!お前の母にそんな事を知られたら…!彼女の実家からの支援も打ち切られるし、何より私は追い出されてしまう!!!」
父は婿養子としてこの子爵家に来た。
その上父の方が歳下で気が弱く、母は物凄く気が強い。
母に頭が上がらないのは昔からだ。
その場に座り込む父の顔に近づき、父の顎をクイっと指で持ち上げる。
「なら、決まりましたね。必ず成功させて、可愛い可愛い娘を侯爵家のお嫁さんにしてくださいね。」
父はただ真っ青のまま、こくりと頷くのだった。
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