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25.卒業式6(クロード視点)
しおりを挟む学園長が続ける。
「今のクロード・タバリアの話を聞く限り、リリアン・ダーソンの罪は逃れる事ができないもののようだ。試験のノートの件や、学園生活で他貴族との円満な関係も築くことができていない事などよりリリアンの信憑性は無に等しい。」
「そんなっ!!」
「リリアン・ダーソンは、自分の欲望の為だけに恐ろしい陰謀を図り、不当に婚約を結んだ。そして口封じの為に一平民を亡き者にしようとした。これは重罪だ。見せしめにした後、死刑…。軽くて奴隷市行き…いや国外追放あたりか…。」
「いやぁーーー!!」
絶叫しリリアンが泣き崩れる。
見せしめとは、1週間程最低限の食料しか与えられず、罪状の書かれた立て札の隣で地面に固定された手枷足枷をはめて城下町で立たされるもので貴族にとってはこれ以上に無い屈辱だ。
「あは、はは、可哀想だけど仕方が無いわね…。あなたも父親と同じ出来損ないだったようね。」
リリアンの母親が床に這いつくばるリリアンに向かい言い放つ。
そこに、つかつかっと1人の女性が近寄り、
パシイイィィン!!
扇で思いきり子爵夫人の頬を叩いた。
「あら失礼。大きな虫が止まっていましたの。」
「なっっ!何よあんた!野蛮ね!!」
「私はカトレアナ・タバリア。クロードとリュカの母ですわ。貴女達一家は侯爵家である私達を散々馬鹿にしてくれたようですわね。覚悟はよろしくて?あぁ、私が手を下さずとも貴女は裁かれますけどね。」
昔から強くて逞しい母だったがここまでとは…。
(父は…?)
あたりを見渡すと、後ろの方で母を見て震えている父がいた。
きっと次は我が身だと思っているのだろう…。
「な、なぜ私が裁かれないといけないの!?悪いのはリリアンで私は関係ないわ!」
リリアンはもう顔を上げる事すらできないようだ。
母は、ふーっとため息をつき扇を顔の前に広げる。
「貴女は子爵夫人である前に、母親なのです。母親は子の見本となりそして、母親だけは何があっても子を信じ守らなければならないと私は思っています。」
悔しそうに俯く子爵夫人。
「しかし、貴女は娘の悪い見本となってしまったようですわね。貴女達そっくりですもの。醜く罵り合い、一緒になって主人である夫そして父親を虐げるなんて貴族として…いえ人としてあるまじき行為ですわ!!」
「タバリア侯爵夫人の言う通りだ。ダーソン子爵夫人。自分はお咎め無しだと思ったか??」
学園長がそう言い嘲笑する。
「えっ…?」
「ここにいるダーソン子爵夫人は娘の陰謀を知りつつも止める事はせず、また夫であるダーソン元子爵に日常的に暴行を加えていた事、両方とも貴族らしく無い行いである。親娘仲良く城下町で見せしめの刑に処されるが良い。」
「そ、そんな!!あ、私、娘の陰謀は知りませんでしたの!!なので…。」
「ははっ!タバリア侯爵夫人が申した通り母娘そっくりなのだな!先程自分で、"私は止めた"と言っていたではないか!!」
悔しそうに唇を噛み締めるダーソン子爵夫人。
「さあ、もう良いだろう。衛兵達よ。この2人を連れていけ!!罰を下されるその時まで牢獄の中で反省しながら過ごすのだ!」
衛兵達が2人を捕らえ、半ば引きずるようにして2人を連れて行く。
ハッとしたように、リリアンが顔を上げ私を見た。
「クロード様…!私、待ってます…!貴方が私を救って攫ってくださるのを…!あぁ、そうよ!いつだって物語のヒロインは捕らえられて王子様が来るのを待つものなのだわ…!!」
(狂っている……。)
私はゴミを見るような目でリリアンを見下した。
「自分の行いを振り返り、たくさんの人の心を弄んだ事を深く反省するのだな…。私と君が会う事は2度と無いし、私の心に君を写した事は一度も無い。嫌悪感しかなかった。」
そう言うと、リリアンはガクッと項垂れ引きずられるように連れていかれ、会場を後にするのだった…。
「クロード様…。お疲れ様でした。」
「ミレイユ嬢…!ありがとう…。まだまだする事はたくさん残っているが、ひとまず一区切りだ…。」
ミレイユ嬢に微笑まられて、今までの緊張が一気に緩む。
これからたくさんの後処理はあるが、とりあえずミレイユ嬢への求婚ができるスタートラインに立てた事がとても嬉しい。
そう思っていると、またもや会場の入り口付近が騒々しくなった。
誰かが人をかき分け、ここに辿り着こうとしている。
(ま、まさかリリアンが逃れた…⁉︎)
と思った時……。
「ガスパルッッッ!!!お前は何をしているのだ!!!!」
息を切らし焦った様子で駆けつけたのは、
ガスパルの父、ヨーデリア侯爵だった。
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