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10.出逢い2(ラウル視点)
しおりを挟むそれから数日後、父上に呼び出された。
「父上、どうしたのでしょうか」
父が少し気まずそうに話始める。
「あぁ、ラウル。実は…お前に縁談が上がっていてな…」
「父上。私は結婚するつもりは無いのです」
「分かっておる。しかし、今回はどうしても断れなかったんだ…すまない」
「どこの御令嬢でしょうか」
「あぁバラレンド侯爵令嬢だ」
「なんだって!?フレミア様と!?」
(まさか!!フレミア様が!?)
天にも登る思いだったが次の父の一言で地に落とされる。
「いや…フレミア様の妹のジュリー様だ」
「えっ………」
侯爵夫妻がフレミア様を放ってかかりきりだったあの令嬢…?…ダメだ。顔すら思い出せない。
「…なぜ…ですか?私は話した事も無いし、侯爵家からしたら伯爵家の次男など望む事は無いでしょう…」
「先日の夜会でお前を一目見てお気に召されたようだ」
またか…。
今までも人を見かけだけで判断し、色目を遣ってくる女性はたくさんいた。
しかし今回は侯爵家からの正式な申し出。
「相手は侯爵家だ。無下にはできないし、バラレンド侯爵領は我がアイロワニー伯爵領の隣だ。仲違いする訳にはいかない…すまない、ラウル」
貴族なら政略結婚は当たり前だ。
父が謝る理由は1つもない。
しかし……
よりによってフレミア様の妹。
フレミア様の事を想いながら、妹のジュリー様と結婚だなんて……
(生き地獄ではないか…)
それでも。
伯爵家の為、領民の為の事を考えると私に拒否権などない。
「分かりました…父上」
そう答えるしかなかった。
そうして侯爵にも正式に了承の意を伝え、婚約は正式的なものとなった。
しかしその数日後、皇子を護衛し隣国から帰る道中何者かに狙われ、皇子を守り傷を負ってしまった。
傷自体はかすり傷だが、色々あり私は凄い顔になってしまった。
実は…私はこの顔が嫌いではなかった。
顔だけを見て近づいてくる者は少なくなったし、令嬢達が近づいてくるその事に妬み嫌がらせをしてくる男達もいなくなり面倒ごとが格段に減ったからだ。(しかし騎士団の中では英雄扱いされ人気者になった)
そして何より…
「ラウル、バラレンド侯爵のジュリー嬢から婚約解消を願う便りが来た」
父からその言葉を言われた時、心の底からこの顔になって良かったと思ったのだ。
しかしそれも束の間。
「しかし…ジュリー嬢との婚約を解消し、代わりに姉のフレミア様と婚約してほしいと書いてある。全く、勝手な奴らだ」
(何………だって……?)
きっとジュリー様は私の顔が醜くなった途端に手のひらを返し、婚約解消を願い出たのだろう。
それは良い。
しかし、自分達が非難される事を恐れた奴らが自分達の保身の為にフレミア様を差し出したのだ。
言わば生贄のようなものだ。
きっとフレミア様は嫌々ながら、侯爵夫妻や妹に無理やり私に嫁がされるのだろう。
そのような結婚は……
できない。
解放して差し上げなければならない。
しかし…少しでも良いから共に過ごしたい。
そう思い、侯爵家に一度フレミア様と話したいという内容の便りを送った。
伯爵家に来たフレミア様は一層美しくなられていて、一眼みて婚約解消をするという決意が薄れそうになる。
更にフレミア様は私のこの顔を見ても目を逸らす事なく、真っ直ぐ私を見つめ尊敬する、と言ってくださった。
あぁダメだ。
私から解放して差し上げる?
できるわけがない。
逆だ。
私が侯爵家からフレミア様を解放してみせる。
強い決意を持ってフレミア様にプロポーズをするのだった。
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