9 / 45
9 お叱り
しおりを挟む
ドナドナされて来てしまった、父上の執務室。
といっても、転移で一瞬だったけど。
ドリュー団長が、ドアの前にいる護衛騎士に取り次ぎを頼み、中に入った。
「アッシュ、何か問題でもあったのか」
中に入ると、父上と宰相だけだった。
「ルイスが、能力の事で僕達に言っていない事があるようなのと、医術局でやらかしました」
やらかたって、他に言い方なかった?アッシュ兄上。
父上の目線がアッシュ兄上から俺に移った。
俺は父上の目を見れなくて俯いた。
「ドリュー団長以外の騎士は一旦部屋から出てくれ。アッシュ達はそこのソファに座って」
アッシュ兄上に手を引かれソファに座った。執務室の隣の給湯室からルージュ達がお茶の準備をして持ってきた。
そして、給仕が終わるとドアの前に控えた。
それを確認したら、父上が口を開いた。
「それで、何をやらかしたんだ?」
うっ、やらかし前提ですか。
俺が黙ったままでいると、アッシュ兄上が
「図書室で、セレナがルイスに何か読みたいものはないか尋ねると、ルイは薬草の本と答えました。それに、リードがなんで薬草の本なんだと尋ねると、下手な誤魔化しで次に行くのが医術局だからと答えました。ものすごく目を泳がせながら」
「ルイス。正直なのはいいことだが、場合によっては取り繕うことも大切だ。で、なぜ薬草の本だったのだ。ルイが薬草に興味があるなど聞いたこともないが」
「・・・・」
絶賛パニック中。どうしよう、どうしよう。やっぱり主神の加護のせいにした方が無難か?
俺が俯いて黙ったままでいると、アッシュ兄上は続きを話した。
「そして、医術局に行って温室を見ている時、おそらく知識スキルを使っていたのか、温室で育てているのが薬草だけではなく、毒草も育てていると、素人には見分けるのが難しいニセハゼを見て言ったのです。そして極めつけが、開発途中の去年流行った熱病の特効薬を作っていることを見抜き、しかも、完璧な特効薬にするには1つ、薬草が足らないといい、その足らない薬草が何かを言ったのです。医術局の研究室で。医術長には、一旦聞かなかったことにしてもらってます。後程父上から説明の方お願いします」
「ルイス、気を付けるよう言ったはずだ。迂闊すぎるぞ。この際、ルイスの能力を全て話なさい。そうしないと、こちらも動きようがない。ルイス、国王として命ずる。全てを話せ」
父上の雰囲気がガラッと変わった。これが王としての父上。俯いていた顔を思わず上げた。
圧がすごくて息苦しい。王としての父上の言葉に逆らうことなど、前国王であるお祖父様以外誰も出来ないだろう。
俺は唾を飲み込み重い空気の中、口を開いた。
「あっ、と。知識スキル以外にも二つ、スキルがあります。“薬師スキル”と“医術スキル”です」
ーーーー
薬師スキル
薬草や毒草を使い、調合しいろいろな薬を作れる。
調合に必要な材料が即座にわかる。
また逆に、材料からなんの薬が出来るかわかる。
ーーーー
ーーーー
医術スキル
見ただけでどこが悪いかわかる。
手術は100%成功する。
スキルを使って手当てをすると、治りが早くなる。
ーーーー
俺は知識スキルを使って、それぞれのスキルを調べ、そのままを伝えた。
父上以外、驚きの表情をしている。
父上は、俺の話が終わると目を瞑り、何かを考えているようだった。
しばらくして、父上が目を開け
「それは、主神の加護が関係しているのか?」
「分かりません。が、俺は主神の加護(と言うことにする)があるからだと思っています」
「なぜ、昨日その事も話さなかった」
父上の矢継ぎ早な質問に、俺はたじたじになりながら
「なんとなくとしか言えません。、、まだ話すときではないと、そう思って」
この2つは、他の世界の神様からもらったスキルで、この世界の神様と関係ないから言えなかっただけなんだけどね。
「本当の理由ではなさそうだけど、そういうことにしとくか」
俺ってそんなに分かりやすいかな?
父上の雰囲気が元に戻った事で圧がなくなり、俺は顔をモミモミした。
「ハハハ、これから感情のコントロールを覚えていけばいい。それに、家族の前ではその素直さのままでいてもらいたいな」
父上は俺からドリュー団長に目線を移し
「ドリュー団長、今聞いたことはドリュー団長の胸に止めておいてほしい。後は、第3の副団長と第2の団長、副団長にも共有しておいてもらえれば、護衛もしやすいだろう」
「はっ。お心のままに」
続いて宰相に
「医術長とも共有していた方がいいだろう。後でここへ来るよう使いを出してくれ」
「はい、分かりました。しかし、ルイス殿下には驚かされました。まさか主神の加護を授かっていて、世界初のスキルも複数持っているとは」
「ハハ、、宝の持ち腐れにならないようにしたいですね」
もう、笑って誤魔化すしかない。
終わりよければ全て良しと言うけれど、今日の締めがこれじゃ、良しとは言えないな。はぁー
父上の執務室を後にして、それぞれの部屋へ戻った。
「ルージュ、少し寝る。ご飯前に起こして」
「はい。おやすみなさい」
楽しかったけど、疲れたなぁ。
といっても、転移で一瞬だったけど。
ドリュー団長が、ドアの前にいる護衛騎士に取り次ぎを頼み、中に入った。
「アッシュ、何か問題でもあったのか」
中に入ると、父上と宰相だけだった。
「ルイスが、能力の事で僕達に言っていない事があるようなのと、医術局でやらかしました」
やらかたって、他に言い方なかった?アッシュ兄上。
父上の目線がアッシュ兄上から俺に移った。
俺は父上の目を見れなくて俯いた。
「ドリュー団長以外の騎士は一旦部屋から出てくれ。アッシュ達はそこのソファに座って」
アッシュ兄上に手を引かれソファに座った。執務室の隣の給湯室からルージュ達がお茶の準備をして持ってきた。
そして、給仕が終わるとドアの前に控えた。
それを確認したら、父上が口を開いた。
「それで、何をやらかしたんだ?」
うっ、やらかし前提ですか。
俺が黙ったままでいると、アッシュ兄上が
「図書室で、セレナがルイスに何か読みたいものはないか尋ねると、ルイは薬草の本と答えました。それに、リードがなんで薬草の本なんだと尋ねると、下手な誤魔化しで次に行くのが医術局だからと答えました。ものすごく目を泳がせながら」
「ルイス。正直なのはいいことだが、場合によっては取り繕うことも大切だ。で、なぜ薬草の本だったのだ。ルイが薬草に興味があるなど聞いたこともないが」
「・・・・」
絶賛パニック中。どうしよう、どうしよう。やっぱり主神の加護のせいにした方が無難か?
俺が俯いて黙ったままでいると、アッシュ兄上は続きを話した。
「そして、医術局に行って温室を見ている時、おそらく知識スキルを使っていたのか、温室で育てているのが薬草だけではなく、毒草も育てていると、素人には見分けるのが難しいニセハゼを見て言ったのです。そして極めつけが、開発途中の去年流行った熱病の特効薬を作っていることを見抜き、しかも、完璧な特効薬にするには1つ、薬草が足らないといい、その足らない薬草が何かを言ったのです。医術局の研究室で。医術長には、一旦聞かなかったことにしてもらってます。後程父上から説明の方お願いします」
「ルイス、気を付けるよう言ったはずだ。迂闊すぎるぞ。この際、ルイスの能力を全て話なさい。そうしないと、こちらも動きようがない。ルイス、国王として命ずる。全てを話せ」
父上の雰囲気がガラッと変わった。これが王としての父上。俯いていた顔を思わず上げた。
圧がすごくて息苦しい。王としての父上の言葉に逆らうことなど、前国王であるお祖父様以外誰も出来ないだろう。
俺は唾を飲み込み重い空気の中、口を開いた。
「あっ、と。知識スキル以外にも二つ、スキルがあります。“薬師スキル”と“医術スキル”です」
ーーーー
薬師スキル
薬草や毒草を使い、調合しいろいろな薬を作れる。
調合に必要な材料が即座にわかる。
また逆に、材料からなんの薬が出来るかわかる。
ーーーー
ーーーー
医術スキル
見ただけでどこが悪いかわかる。
手術は100%成功する。
スキルを使って手当てをすると、治りが早くなる。
ーーーー
俺は知識スキルを使って、それぞれのスキルを調べ、そのままを伝えた。
父上以外、驚きの表情をしている。
父上は、俺の話が終わると目を瞑り、何かを考えているようだった。
しばらくして、父上が目を開け
「それは、主神の加護が関係しているのか?」
「分かりません。が、俺は主神の加護(と言うことにする)があるからだと思っています」
「なぜ、昨日その事も話さなかった」
父上の矢継ぎ早な質問に、俺はたじたじになりながら
「なんとなくとしか言えません。、、まだ話すときではないと、そう思って」
この2つは、他の世界の神様からもらったスキルで、この世界の神様と関係ないから言えなかっただけなんだけどね。
「本当の理由ではなさそうだけど、そういうことにしとくか」
俺ってそんなに分かりやすいかな?
父上の雰囲気が元に戻った事で圧がなくなり、俺は顔をモミモミした。
「ハハハ、これから感情のコントロールを覚えていけばいい。それに、家族の前ではその素直さのままでいてもらいたいな」
父上は俺からドリュー団長に目線を移し
「ドリュー団長、今聞いたことはドリュー団長の胸に止めておいてほしい。後は、第3の副団長と第2の団長、副団長にも共有しておいてもらえれば、護衛もしやすいだろう」
「はっ。お心のままに」
続いて宰相に
「医術長とも共有していた方がいいだろう。後でここへ来るよう使いを出してくれ」
「はい、分かりました。しかし、ルイス殿下には驚かされました。まさか主神の加護を授かっていて、世界初のスキルも複数持っているとは」
「ハハ、、宝の持ち腐れにならないようにしたいですね」
もう、笑って誤魔化すしかない。
終わりよければ全て良しと言うけれど、今日の締めがこれじゃ、良しとは言えないな。はぁー
父上の執務室を後にして、それぞれの部屋へ戻った。
「ルージュ、少し寝る。ご飯前に起こして」
「はい。おやすみなさい」
楽しかったけど、疲れたなぁ。
347
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる