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人狼ゲーム②
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「……かおりんは、怪しいね」
奈々りんの声が落ち着いていた。
笑ってるけど、目は真剣だ。
ゆはりんがこっちを見た。
「え、かおりん、うそついてるんですか?」
「ち、ちがうよ!」
「でも、なんかいつもより静かです」
「……集中してるの」
心臓がうるさい。
嘘をつくたびに、ゆはりんのまっすぐな瞳が痛い。
そして、奈々りんの沈黙がもっと痛い。
彼女は、何も言わずにわたしの顔を見ている。
まるで――
“本当の嘘は、そっちでしょ?”
って言いたげに。
(やめてよ……そんな目、しないで)
*
「じゃ、投票しよっか」
奈々りんの声が低く響く。
「一斉に指差して。せーの!」
三本の指が同時に上がった。
……結果、2対1でわたしに。
「え、ちょっと!?」
「ごめん、かおりん。でも……顔が嘘でした」
ゆはりんが小さく言う。
「顔が嘘ってなに……!」
奈々りんは静かにカードをめくる。
「やっぱり、“人狼”だったんだ」
「……正解」
笑って言ったつもりだったのに、声が震えた。
「かおりん、上手でしたね」とゆはりんが嬉しそうに言う。
その“嬉しそう”が、まっすぐで、だからこそ胸が締めつけられる。
(わたしは、ほんとのことを隠してる)
(この子の“好き”に、まだ返事をしてない)
(奈々りんの“好き”にも、触れられないまま)
……ゲームの中だけじゃない。
わたしは現実でも“人狼”のままだ。
*
「ねぇ、次のゲームは、正直にいこうか」
奈々りんが突然言った。
「正直に?」
「そう。質問に“ほんとのこと”で答える。嘘ついたら負け」
「それ人狼関係ない……」
「関係あるよ。ね、かおりん?」
視線が絡む。
怖い。
でも、逃げられない。
「じゃ、質問。“いま、一番ドキドキしてる相手はだれ?”」
一瞬、教室の空気が止まった。
ゆはりんが驚いた顔でわたしを見る。
奈々りんは、微笑みながら待っている。
「……わたしは」
言葉が喉の奥でつかえた。
でも、出さなきゃ。
誰かを傷つけるとしても、ずっと嘘のままよりは――
「いま、ドキドキしてるのは……」
……チャイムが鳴った。
終業の鐘。
全員がびくっとした。
わたしは笑うしかなくて、「また今度ね」とごまかした。
「ずるい」奈々りんが低く言った。
「続き、次の村で聞かせてもらう」
「……うん」
ゆはりんは何も言わなかった。
でも、ほんの少しだけ悲しそうに笑っていた。
*
窓の外は、もうすっかり暮れていた。
三人で教室を出るとき、風がひゅうと吹き抜ける。
ゆはりんのマフラーが少しほどけて、わたしが手を伸ばして直す。
「ありがとう、かおりん」
「ううん」
その笑顔が近すぎて、また心臓が跳ねた。
前を歩く奈々りんの背中が、夕闇に溶けていく。
(このままじゃ、誰も嘘をつかなくなる日は来ないのかも)
そう思いながら、わたしは教室のドアを閉めた。
風がカーテンを揺らして、最後の光が床を滑る。
机の上には、裏返したままのカードが三枚。
「人狼」「村人」「占い師」。
どれも、今のわたしたちみたいに――
“誰が本当か分からない”まま、そこに残っていた。
奈々りんの声が落ち着いていた。
笑ってるけど、目は真剣だ。
ゆはりんがこっちを見た。
「え、かおりん、うそついてるんですか?」
「ち、ちがうよ!」
「でも、なんかいつもより静かです」
「……集中してるの」
心臓がうるさい。
嘘をつくたびに、ゆはりんのまっすぐな瞳が痛い。
そして、奈々りんの沈黙がもっと痛い。
彼女は、何も言わずにわたしの顔を見ている。
まるで――
“本当の嘘は、そっちでしょ?”
って言いたげに。
(やめてよ……そんな目、しないで)
*
「じゃ、投票しよっか」
奈々りんの声が低く響く。
「一斉に指差して。せーの!」
三本の指が同時に上がった。
……結果、2対1でわたしに。
「え、ちょっと!?」
「ごめん、かおりん。でも……顔が嘘でした」
ゆはりんが小さく言う。
「顔が嘘ってなに……!」
奈々りんは静かにカードをめくる。
「やっぱり、“人狼”だったんだ」
「……正解」
笑って言ったつもりだったのに、声が震えた。
「かおりん、上手でしたね」とゆはりんが嬉しそうに言う。
その“嬉しそう”が、まっすぐで、だからこそ胸が締めつけられる。
(わたしは、ほんとのことを隠してる)
(この子の“好き”に、まだ返事をしてない)
(奈々りんの“好き”にも、触れられないまま)
……ゲームの中だけじゃない。
わたしは現実でも“人狼”のままだ。
*
「ねぇ、次のゲームは、正直にいこうか」
奈々りんが突然言った。
「正直に?」
「そう。質問に“ほんとのこと”で答える。嘘ついたら負け」
「それ人狼関係ない……」
「関係あるよ。ね、かおりん?」
視線が絡む。
怖い。
でも、逃げられない。
「じゃ、質問。“いま、一番ドキドキしてる相手はだれ?”」
一瞬、教室の空気が止まった。
ゆはりんが驚いた顔でわたしを見る。
奈々りんは、微笑みながら待っている。
「……わたしは」
言葉が喉の奥でつかえた。
でも、出さなきゃ。
誰かを傷つけるとしても、ずっと嘘のままよりは――
「いま、ドキドキしてるのは……」
……チャイムが鳴った。
終業の鐘。
全員がびくっとした。
わたしは笑うしかなくて、「また今度ね」とごまかした。
「ずるい」奈々りんが低く言った。
「続き、次の村で聞かせてもらう」
「……うん」
ゆはりんは何も言わなかった。
でも、ほんの少しだけ悲しそうに笑っていた。
*
窓の外は、もうすっかり暮れていた。
三人で教室を出るとき、風がひゅうと吹き抜ける。
ゆはりんのマフラーが少しほどけて、わたしが手を伸ばして直す。
「ありがとう、かおりん」
「ううん」
その笑顔が近すぎて、また心臓が跳ねた。
前を歩く奈々りんの背中が、夕闇に溶けていく。
(このままじゃ、誰も嘘をつかなくなる日は来ないのかも)
そう思いながら、わたしは教室のドアを閉めた。
風がカーテンを揺らして、最後の光が床を滑る。
机の上には、裏返したままのカードが三枚。
「人狼」「村人」「占い師」。
どれも、今のわたしたちみたいに――
“誰が本当か分からない”まま、そこに残っていた。
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