31 / 135
31 お祝い
しおりを挟む
その日は夕方からお祝いのパーティーだった。
じいちゃんは知り合いの養魚屋さんに大きな鯉を届けてもらって、ばあちゃんはお勝手でちらし寿司を作ってくれた。エミおばさんもパイを焼いて来てくれたんだ。
他にもいろんな料理がたくさんだ。
じいちゃん家のいつも使ってるちゃぶ台だけじゃ料理が乗らないから、冬のおこたつまで出してきてちゃぶ台の横に並べたんだ。
じいちゃんとばあちゃん、エミおばさんとシャノン、そして僕とアオちゃんはみんなで料理を囲んでそれぞれにコップを掲げた。
「では、アオの飛行成功を祝して、乾杯!」
「「「カンパーイ」」」
あちこちでグラスのぶつかるチンチンって音が響きわたる。
僕もアオちゃんと最初にグラスをぶつけ合って、「おめでとう」「ありがとう」って言い合う。僕に続いてみんなもアオちゃんに労いの言葉を掛け、それに嬉しそうに返事を返していた。
シャノンとアオちゃんは乾杯が楽しいのか、みんなと乾杯が終わっても何度もふたりでグラスをぶつけていた。
「アオちゃん、ナッちゃん、ふたりとも頑張ったわね。さぁ、お料理、腕によりをかけたからお腹一杯食べてちょうだい」
ばあちゃんが小皿にちらし寿司を盛り付けて僕たちに渡してくれた。
「ありがとうばあちゃん、んー、ちらし寿司おいしい」
僕はちらし寿司を頬張る。アオちゃんはエミおばさんのパイを切り分けてもらって夢中でむさぼっていた。シャノンはジュースを飲みながらばあちゃんにカナッペを半分に割ってもらって食べていた。
じいちゃんとエミおばさんはお互いのコップにお酒を注ぎながら鯉の洗いに箸を伸ばしていた。
おっきな鯉をじいちゃんが注文した時はどうするのかと思ったんだけど、じいちゃんは庭で桶に水を張ってそこで鯉を捌き始めたんだ。
分厚い刺身包丁で頭を落とし三枚におろす。皮ごと鱗を取ってお湯に一度くぐらせた後に冷水で締める。流れる様な動作でお皿に盛り付けられた鯉は赤身が普通のお刺身よりも強い感じだった。
酢味噌にちょんと浸けてじいちゃんは鯉の洗いを口に運ぶ。
すかさずそこにお酒を流し込んだ。
「っか! 旨いっ、鯉なんて何年ぶりだろうなぁ。アオのお祝いだから張り切って届けさせてみたんじゃが、旨いなっ。ワシは海の刺身よりこっちが好みじゃな」
「ふぅん、こんな味なのね。刺身は故郷でも日本食レストランで食べたけど、カープまで食べるなんて日本人は悪食ね」
ヨーロッパでは鯉ってあんまりいいイメージがないらしい。最近では錦鯉なんかがあっちでも流行っててそうでもないらしいんだけど、やっぱり鯉を食べるのはエミおばさんにとっても衝撃的だったみたい。
とは言いつつもエミおばさんも美味しそうに食べてるんだけどね。
シャノンとアオちゃんにはちょっと鯉は不評だ。たぶん捌く前に生きてる鯉を見せてしまったからかもね。
鯉って他の魚よりもちょっと不気味だもん、口の辺りとか。
僕も鯉は初めてだった、でもけっこう好きな味だ。見た目を抜きにすれば全然いける。
パーティーは続く。
お酒も入ってじいちゃんとエミおばさんはどんどんと声が大きく騒がしくなって、アオちゃんとシャノンはたぶんもうお腹が一杯なんだろうけど、ご馳走を目の前に食べるのを止めようとしない。
僕はばあちゃんに食後のお茶を淹れてもらってそれを啜っていた。
「ナッちゃん、もうお二階行ってお休みなさい」
いつの間にかうとうとと座りながら船を漕いでいたみたい。
僕はばあちゃんに肩を揺すられて目を覚ました。
じいちゃんとエミおばさんはまだ呑んでいる。
もうテーブルの上は片付けられていて一升瓶とお酒のアテだろう冷奴くらいしか置かれていなかった。
あんなにたくさんあったご馳走が一晩でなくなっちゃうなんてすごい食べたんだなってあらためてびっくりした。。
「ん」
僕は目を擦って立ち上がった。
「キュッ」
その拍子に僕の膝で眠ってたアオちゃんがコロリと畳に転がった。
けどアオちゃんは起きない。きっと頑張って飛んだから疲れてるんだろう。
ふふ、お腹もパンパンに膨れて真ん丸だ。かわいいなぁ。
僕は慣れた動作でアオちゃんを小脇に抱えた。
「エミさんも泊まってくでしょうからシャノンちゃんもお二階で寝かせてあげて」
ばあちゃんに言われてシャノンも反対の手でそっと運ぶ。
シャノンもばあちゃんが敷いてくれたであろうバスタオルにくるまってグッスリだった。
歯だけ磨いて二階へあがる。
お風呂は家に戻ってすぐに入ったので必要ない。
お布団にもぐって部屋の灯りを消す。
今日は満月でやさしい灯りが障子を透かしている。輪郭だけだけどアオちゃんとシャノンが寄り添って眠ってるのがわかった。
「おやすみ、アオちゃん、シャノン」
明日もきっと素敵な一日になるだろう。
そう信じて僕はそっと目を閉じた。
じいちゃんは知り合いの養魚屋さんに大きな鯉を届けてもらって、ばあちゃんはお勝手でちらし寿司を作ってくれた。エミおばさんもパイを焼いて来てくれたんだ。
他にもいろんな料理がたくさんだ。
じいちゃん家のいつも使ってるちゃぶ台だけじゃ料理が乗らないから、冬のおこたつまで出してきてちゃぶ台の横に並べたんだ。
じいちゃんとばあちゃん、エミおばさんとシャノン、そして僕とアオちゃんはみんなで料理を囲んでそれぞれにコップを掲げた。
「では、アオの飛行成功を祝して、乾杯!」
「「「カンパーイ」」」
あちこちでグラスのぶつかるチンチンって音が響きわたる。
僕もアオちゃんと最初にグラスをぶつけ合って、「おめでとう」「ありがとう」って言い合う。僕に続いてみんなもアオちゃんに労いの言葉を掛け、それに嬉しそうに返事を返していた。
シャノンとアオちゃんは乾杯が楽しいのか、みんなと乾杯が終わっても何度もふたりでグラスをぶつけていた。
「アオちゃん、ナッちゃん、ふたりとも頑張ったわね。さぁ、お料理、腕によりをかけたからお腹一杯食べてちょうだい」
ばあちゃんが小皿にちらし寿司を盛り付けて僕たちに渡してくれた。
「ありがとうばあちゃん、んー、ちらし寿司おいしい」
僕はちらし寿司を頬張る。アオちゃんはエミおばさんのパイを切り分けてもらって夢中でむさぼっていた。シャノンはジュースを飲みながらばあちゃんにカナッペを半分に割ってもらって食べていた。
じいちゃんとエミおばさんはお互いのコップにお酒を注ぎながら鯉の洗いに箸を伸ばしていた。
おっきな鯉をじいちゃんが注文した時はどうするのかと思ったんだけど、じいちゃんは庭で桶に水を張ってそこで鯉を捌き始めたんだ。
分厚い刺身包丁で頭を落とし三枚におろす。皮ごと鱗を取ってお湯に一度くぐらせた後に冷水で締める。流れる様な動作でお皿に盛り付けられた鯉は赤身が普通のお刺身よりも強い感じだった。
酢味噌にちょんと浸けてじいちゃんは鯉の洗いを口に運ぶ。
すかさずそこにお酒を流し込んだ。
「っか! 旨いっ、鯉なんて何年ぶりだろうなぁ。アオのお祝いだから張り切って届けさせてみたんじゃが、旨いなっ。ワシは海の刺身よりこっちが好みじゃな」
「ふぅん、こんな味なのね。刺身は故郷でも日本食レストランで食べたけど、カープまで食べるなんて日本人は悪食ね」
ヨーロッパでは鯉ってあんまりいいイメージがないらしい。最近では錦鯉なんかがあっちでも流行っててそうでもないらしいんだけど、やっぱり鯉を食べるのはエミおばさんにとっても衝撃的だったみたい。
とは言いつつもエミおばさんも美味しそうに食べてるんだけどね。
シャノンとアオちゃんにはちょっと鯉は不評だ。たぶん捌く前に生きてる鯉を見せてしまったからかもね。
鯉って他の魚よりもちょっと不気味だもん、口の辺りとか。
僕も鯉は初めてだった、でもけっこう好きな味だ。見た目を抜きにすれば全然いける。
パーティーは続く。
お酒も入ってじいちゃんとエミおばさんはどんどんと声が大きく騒がしくなって、アオちゃんとシャノンはたぶんもうお腹が一杯なんだろうけど、ご馳走を目の前に食べるのを止めようとしない。
僕はばあちゃんに食後のお茶を淹れてもらってそれを啜っていた。
「ナッちゃん、もうお二階行ってお休みなさい」
いつの間にかうとうとと座りながら船を漕いでいたみたい。
僕はばあちゃんに肩を揺すられて目を覚ました。
じいちゃんとエミおばさんはまだ呑んでいる。
もうテーブルの上は片付けられていて一升瓶とお酒のアテだろう冷奴くらいしか置かれていなかった。
あんなにたくさんあったご馳走が一晩でなくなっちゃうなんてすごい食べたんだなってあらためてびっくりした。。
「ん」
僕は目を擦って立ち上がった。
「キュッ」
その拍子に僕の膝で眠ってたアオちゃんがコロリと畳に転がった。
けどアオちゃんは起きない。きっと頑張って飛んだから疲れてるんだろう。
ふふ、お腹もパンパンに膨れて真ん丸だ。かわいいなぁ。
僕は慣れた動作でアオちゃんを小脇に抱えた。
「エミさんも泊まってくでしょうからシャノンちゃんもお二階で寝かせてあげて」
ばあちゃんに言われてシャノンも反対の手でそっと運ぶ。
シャノンもばあちゃんが敷いてくれたであろうバスタオルにくるまってグッスリだった。
歯だけ磨いて二階へあがる。
お風呂は家に戻ってすぐに入ったので必要ない。
お布団にもぐって部屋の灯りを消す。
今日は満月でやさしい灯りが障子を透かしている。輪郭だけだけどアオちゃんとシャノンが寄り添って眠ってるのがわかった。
「おやすみ、アオちゃん、シャノン」
明日もきっと素敵な一日になるだろう。
そう信じて僕はそっと目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる