シスターレナに叱られたい!

雛山

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懺悔其の三十 残念なお嬢様が現れた!

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 はは、参ったな……
 このお嬢様とんでもないわ、リナ顔負けの変態だぞ。
 そしてアタシがビビっちゃうほどの、プレッシャーを放ってやがる。

 身長はアタシとそこまで変わらない。
 艶やかな腰まである黒髪、前髪は少し斜めにカットしたパッツンヘア
 切れ長で綺麗な目、確かに同性にも人気がありそうだな。
 リナが王子様なら、この娘はまさにお姉さまってタイプか。
 しかし……本質がリナと同じで変態なのは玉に瑕だな。

 アタシを舐めるように見ていやがる。
 いや、カーテン越しだから直接は見えていないはずなんだが……

「うふふ、素晴らしいですわ」

 彼女はそう言った。

「何がでしょうか?」

 彼女はブルっと体を震わせると。

「うふふ、うふ。ああ、良い声ですわ。口調も慣れていないのが分かりますが、それがまた可愛らしいですわ」

 あの一言だけでアタシがこの喋り方に慣れてないのがわかるのかよ……

「しかも……あぁ、噂通りの綺麗な顔立ちしておりますわねぇ」
「な! 顔見えて無いはずだが?」
「あらあら、そんな布切れ一枚でワタクシのを防げると思いで?」
「いいや、ハッタリだな」

 アタシは口調が完全に戻っているのに、自分でしばらく気付かなかった。

「あら? 口調戻ってますわよ、ですがそれもまたキュートですわね」
「あ、まあいいや」
「あと先ほどの言葉は嘘ではありませんわよ。貴女のスリーサイズまでバッチリ分かりますもの」

 本当だったらこのお嬢様、人間辞めてるぞ……

「うふふ。上から88、61、88と言ったところかしら?」
「な!? バストが一センチ間違ってるがほぼ合ってやがる」
「あらあら、外しましたかワタクシもまだまだですわね」

 しかし、ほぼ合ってるし
 そして、思い出したかのようにポンと手を叩く

「ワタクシとしたことが、名乗っておりませんでしたわね。失礼」

 そう言うとお嬢様はスカートの端をつまみ軽くお辞儀をする。

「ワタクシは、久那伎真奈香クナギマナカと申しますわ真奈香とお呼びくださいな。それで宜しければ貴女のお名前も教えていただけるかしら?」
「アタシか? アタシは幕田玲奈ってんだ」
「レナさんですわね。ええ、ええ、良い響きですわね」

 マナカお嬢様はさり気なくカーテンを開けると、アタシの手を引いて自分に引き寄せた。
 アタシはお嬢様の胸に引き寄せられた。そして、じーっとアタシの顔を覗き込む。

 ヤバイ、このお嬢様本当に綺麗だわ、まつ毛なが! 女のアタシでも見惚れちまう。
 マナカお嬢様はアタシから手を離すとニコっと笑った、これまた見惚れちまうなぁ。

「失礼、しかし。このようなお綺麗な方がこんな近くにおられたなんて、ワタクシとしたことが不覚でしたわ」

 しかし、腕を引かれるのが一切抵抗できなかった。とんでもない体裁きだよ。

「んふ、んふふふ。 いやぁ、ノースヒルのなんとかというサイトの情報力は素晴らしかったですわね、あのサイト閉鎖してしまったのが惜しいですわね……」

 あー、やはりアイツか……

「実物は写真より数倍お綺麗ですわね、どうです? ワタクシの事はお姉さまって呼んでみませんこと?」
「お、お姉さま? 何言ってんだい。アタシの方が年上だろ」

 アタシは何とかそう言った。年下相手なのになんだがお姉さまと呼びたくなっちまう……これは危険だってことが分かっちまった。

「あら、そうでしたわね。ではワタクシがレナさんをお姉さまって呼んでよろしいかしら?」

 背筋が寒くなった、呼ばせちゃいけないと全身が警戒してやがる。
 呼ばせたら最後、泥沼にはまってしまいそうだ。

「いや、遠慮しとくよ。アタシはそんな柄じゃない」
「いけずですわね」

 わー、本当にやめてくれー。アタシはノーマルなんだよ!

「今更だけどここは懺悔室だから、相談事か懺悔が無いならお引き取り願いたいね」
「あら? ワタクシに懺悔するような事はございませんわよ……」

 自信満々に言いつつ、疑問を浮かべている器用なことで。

「懺悔! ありますわよぉ!! 誰ですの無いなんて言ったバカは!」
「アンタだよアンタ」
「まったく、この事を懺悔せずに帰れるわけありませんわよ」

 帰ってほしかったかなぁ……アタシの貞操のためにも。

「さあ、目ん玉かっぽじってよーくお聞きなさいな!」
「目かっぽじったら大変なことになるだろうが」
「ワタクシ的ユーモアですのよ」

 そして、何故か仁王立ちして懺悔を始める。

「ワタクシ貴女のようなとても可愛らしい方の事を、今まで知らなかったことがとても情けなく思いましたわ。この事は懺悔すべきことですわよ!」
「いや、いいよそんなどうでもいい懺悔」
「とても重要ですわー! なのでワタクシの事をお姉さまと呼ぶかワタクシが貴女の事をお姉さまと呼ぶかを選んでくださいまし」
「どっちも嫌だ」

 即答だ即答! とんでもない選択肢だ。

「あら、いけずですわ」

 アタシとマナカお嬢様が謎の攻防を繰り広げていると、リアが入ってきた。
 リア、ナイス!

「レナー! シスターケイトが呼んでるよー」

 リアはマナカお嬢様を見つけると息をのんだ。
 リアは目を見開いてワナワナと震えながら……

「な、なにこの綺麗な子……気に入らねぇ」

 そう感嘆しながら感想を述べていた、最後の気に入らねぇだけは小声で……
 マナカお嬢様も極上の笑顔でリアに返していた。

「あら? 有難うございますわ、貴女も見た目だけは可愛らしいですわよ?」

 見た目だけって……たったアレだけでリアの中身が腐ってることを見抜きやがったぞ。

「へっへー、ありがとーお姉ちゃん」
「あら? ワタクシの方が年下ですわよね?」
「クソが! なんだこのスケ、何で分かるんだよ!」
「それを言ってもよろしいのかしら?」
「や、やめろ!」

 おいおい、年齢のこと言われてリアが押されているぞ……珍しい事があるもんだ。

「まったく、残念ですわ勿体ないとも言えますわね。せっかく良い物をお持ちなのに」
「うが……や……め……ろ」
「年齢なんて気にしなくとも、良いと思いますのよ」

 リアは青い顔をして後ずさると。

「それ以上言うなー!」

 走って逃げて行った……あぁ、リア南無三!っとアーメン。

「ここの教会は可愛らしい方やお綺麗な方が多いですわね。眼福ですわー」
「あんまイジメてやらないでくれないか」
「あらあら、そんなつもりはありませんでしたのだけど」

 そういや、シスターケイトが呼んでるんだったな。

「すまないが呼ばれたようなので、ここまでにしてくれないかな?」

 マナカお嬢様は微笑む……だからこのお嬢様の笑顔は凶器なんだよ。

「仕方ありませんわね、今日はこれで失礼しますわね。また遊びに来ますわね」
「コナクテイイカラ」

 アタシの言葉を無視し優雅にお辞儀をする。

「それでは、レナさんごきげんよう」

 嵐のようなお嬢様はこうして帰っていった。

「あー、帰りにコンビニでコーラとのり塩味のポテチ買っていきましょう、あのクソゲーもそろそろクリですものね、うふふ」

 ……案外、庶民的なのかもな……

 ――
 ――――

 しかし、あれからお嬢様がここに来ることは無かった。
 話に聞くと、イジメ現場に出くわし虐められてた娘を助けようとし、巻き込まれて事故を起こし亡くなったと聞いている。
 しかし、あのスカイツリーから飛び降りても死ななさそうなお嬢様が、本当にそんな理由でくたばったとは思えない。
 どうせどこか別の場所でよろしくやってたりしてな……なーんてね、漫画でもあるまい別の場所ってどこだよなぁ。


 ※今回は作者の別作品「少し残念なお嬢様の異世界英雄譚」の主人公キャラとのコラボエピソードとなります。もし宜しければ「少し残念なお嬢様の異世界英雄譚」の方もよろしくお願いします。
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