1 / 15
間の悪い男
しおりを挟む
アーロン・フォスターは自分の間の悪さを呪った。
十日間の船旅をおえ解放感にひたっていたが、友人宅についた途端、男女の愛憎のもつれで修羅場となりかねない状況に身をおくことになった。居心地の悪さに酒がすすむ。
かつて留学していたユール国での商談があり、いつもユール国の宿泊先として世話になっているリオ・トンプソン次期男爵の屋敷をおとずれた。
モーガン大学で学友であったリオに久しぶりに会えるのを楽しみにしていたが、なぜか歓迎という名のもとリオとリオの妻、ヘザー、そしてリオ夫妻がそれぞれ自分達の恋人を招待し、訳ありの四人が屋敷の応接間で顔を合わせていた。
「どういうことだよ、リオ」
「どういうこととは?」
「なぜ俺が刃傷沙汰がおきてもおかしくない状況に放りこまれているんだ?」
リオが驚いた顔をしている。どうやら本人はまったく問題ない状況だと思っていたらしい。
リオいわく、リオ夫婦はどうしてもはずせない夜会に招待されており、ヘザーがエスコートを自分の恋人であるジョセフに頼んだので、ジョセフがリオ夫婦の屋敷に迎えにくる。そしてリオは恋人のカレンをエスコートすることになっていた。
今日はアーロンがディアス国から到着するので、アーロンを歓迎するためカレンにリオの屋敷にきてもらい、四人でアーロンを歓迎しようという話になったという。
「勘弁してくれよ。この中の誰かが嫉妬に狂って刃物をふりまわしても不思議じゃない間柄だってことは分かっているのか?
それに俺の国には貴族制度がないとはいえ商売相手がこの国の貴族だ。お前達が夫婦で招待されているにもかかわらず、違う相手を連れて行くのがまずいといった知識はある」
アーロンがそのようにいうとリオは納得がいった表情になった。
「今日の集まりは園芸協会の懇親会で個人的な集まりだ。だから心配ない。それに貴族は愛人がいて当たり前だ。格の高い夜会や王主催の夜会でなければ何の問題もない」
アーロンはこのような発言をさらりとする友を貴族だとあらためて思う。
普段はリオと気安くつきあっているので身分を意識することはないが、貴族として生まれ、貴族として育ってきたリオは、骨の髄まで貴族だと思わせることがあった。
それは商売相手の貴族にも感じることなので、リオが特別貴族臭が強いというわけではないが、自分が親しく付き合っている友と自分との違いを痛感する。
アーロンは思わずため息をついた。このような状況を平気でやりすごすことが貴族には必要らしい。
ディアス国は一夫一妻で配偶者が浮気をすれば姦通罪にとわれる。このような集まりはありえない。
自分には貴族の真似などとても出来そうにない。いや、商売に必要ならやるが、このような状況でにこやかにしなくてはならない生き方をしたくないと思う。
「新興国出身の俺にはまったく分からない世界で、俺は非常に居心地がわるい。
挨拶もすんだし旅の疲れもある。部屋で休ませてもらう」
アーロンはリオに明日の約束を確認したあと、ヘザーに滞在させてもらう礼をいい、カレンとジョセフに挨拶をして客室へむかった。
アーロンは客室にむかいながら大きく息をはいた。急に酔いがまわったようで体がふらつく。
「そういえば揺れていない静かな場所で寝るのは久しぶりだな」
アーロンは海をへだてた自国から、十日の船旅をしてリオの屋敷にたどりついた。
アーロンの出身国であるディアス国は、ユール国とは海で大きくへだたっている。そしてディアス国はユール国を含めたこちら側の大陸にある国々からの移民によって発展した。
そのおかげで大陸の国々と似た部分は多かったが、大きく違うのが身分制度だった。移民をした人間のほとんどが平民だったこともあり貴族は存在しない。
しかし数は多くないが貴族も移民しており、彼らの知識や統治力で移民達をまとめあげ発展させた者もいる。
とはいえそもそも数が少なく、そして土地を開拓し町を作りあげるのと、すでに町としてそれなりに整った状況で領地経営するのとでは求められる能力が違う。
そのため新しい土地で生き残った貴族は少なく、平民で工夫をこらし新しい土地になじみ町を作りだす努力をした人達が自然と指導者として力を持つようになった。
実力主義で国を大きくしたこともあり、ディアスの人間は身分にしばられる大陸側の人間を遅れていると思っているが、大陸側の人間はディアスを未開で野蛮な国だとさげずんだ。
アーロンはディアス国で大商会を築きあげた一家の次男で、大陸との貿易を任されていた。そのため貴族の礼儀作法と語学を習得し、貴族とのつながりをつくるため十代のうちにユール国と、商会にとってもう一つの最大得意先であるノルン国へ留学した。
野蛮な国の平民がという態度をとられることは多かったが、留学先でリオのような親友に出会うことができた。
リオの家は本家も分家も男爵位だが、本家が貿易を牛耳っている家であることから影の外交官とよばれていた。爵位こそ低いが政治や経済で力をもつ家だ。
分家でリオの生家であるコリンズ家は芸術方面、とくに絵画に強く画商としてしられている。
リオはコリンズ家の三男で、リオの叔父に跡継ぎがいないことから叔父の養子になり小さな領地を継ぐことになっている。園芸で有名な領地だ。
リオは大学を卒業してから政略結婚でピアニストのヘザーと結婚した。二人の関係は悪くはなさそうだったが、子をなしたあとヘザーは恋多き女として浮名をながすようになった。
リオは政略結婚では普通のことだというが、リオは結婚後女性と付き合うことはなかった。
リオはヘザーに家族として好意をもっているようだったが、女性として恋愛感情をもっているようには見えなかった。
ディアス国でも親が子供の結婚相手を決めることは多いが、お互いが好きあって結婚する形が増えている。アーロンの両親は幼馴染みで好きあって結婚していた。
アーロンは十代半ばに留学してからこちらの大陸で過ごしてきたので、貴族が政略結婚することや、子をなしたあとに夫婦それぞれが愛人と過ごすことが普通なのもしっている。
しかしそのような状況を普通のこととして育っていないアーロンにとって、文化の違いだと理解してはいるが好きになれない仕組みだった。
そのためリオとヘザーの関係をみるたび、リオはつらくないのかと思った。ヘザーに恋愛感情をいだいてはいないとしても、家族としての情はあるだろう。
そのような相手が自分を大切にしない。家族であるヘザーが自分以外の誰かを大切にし自分は蔑ろにされる。負の感情をもって当たり前だと思う。
家族の間では、兄の皿にある肉が自分の皿の肉よりも大きいといったささいなことで、親の愛情が誰により多くそそがれているのかを感じ、そのことに傷つき、親子や兄弟のあいだで遺恨となっていく。
そして嫌いな相手であっても、相手から無視されると腹がたつものだ。そのような意味でもヘザーから関心をもたれず、大切にされない状況はリオにとってつらいはずだ。
ディアス国であればヘザーの行動は浮気で配偶者に対する裏切りだ。体の関係があれば姦通罪になる。もしヘザーが自分の妻なら姦通罪で、即、牢屋行きだ。
リオはこの国の貴族として愛人をもつのが当然でありながら、愛人をつくることがなかった。その理由はきっと面倒くさいからだろうとアーロンは推測している。
リオはもともと恋愛に対し冷めている。愛人をつくる、つまり人を好きになることは、楽しいことではなく面倒ごとだと思っているだろう。
そのようなリオに大きな心境の変化があったのか、リオがアーロンに恋人だといってカレンを紹介した。
一ヶ月前にもらった手紙にヘザーから離婚をきりだされたと書いていた。離婚をするので、すでに再婚相手をみつけようとしているのだろうか。
しかし恋人をつくるのはよいとして、夫婦がそれぞれ自分の恋人をつれてあのように四人でそろうというのは悪趣味としかいいようがない。
カレンとジョセフも貴族なので、誰ひとりあの状況をおかしいと思わなかったのだろう。
「ああ、お貴族様の決まりごとは何かと面倒くさくて奇っ怪だ」
アーロンは長旅で疲れた体を寝心地のよさそうなベッドへと倒れこませた。
十日間の船旅をおえ解放感にひたっていたが、友人宅についた途端、男女の愛憎のもつれで修羅場となりかねない状況に身をおくことになった。居心地の悪さに酒がすすむ。
かつて留学していたユール国での商談があり、いつもユール国の宿泊先として世話になっているリオ・トンプソン次期男爵の屋敷をおとずれた。
モーガン大学で学友であったリオに久しぶりに会えるのを楽しみにしていたが、なぜか歓迎という名のもとリオとリオの妻、ヘザー、そしてリオ夫妻がそれぞれ自分達の恋人を招待し、訳ありの四人が屋敷の応接間で顔を合わせていた。
「どういうことだよ、リオ」
「どういうこととは?」
「なぜ俺が刃傷沙汰がおきてもおかしくない状況に放りこまれているんだ?」
リオが驚いた顔をしている。どうやら本人はまったく問題ない状況だと思っていたらしい。
リオいわく、リオ夫婦はどうしてもはずせない夜会に招待されており、ヘザーがエスコートを自分の恋人であるジョセフに頼んだので、ジョセフがリオ夫婦の屋敷に迎えにくる。そしてリオは恋人のカレンをエスコートすることになっていた。
今日はアーロンがディアス国から到着するので、アーロンを歓迎するためカレンにリオの屋敷にきてもらい、四人でアーロンを歓迎しようという話になったという。
「勘弁してくれよ。この中の誰かが嫉妬に狂って刃物をふりまわしても不思議じゃない間柄だってことは分かっているのか?
それに俺の国には貴族制度がないとはいえ商売相手がこの国の貴族だ。お前達が夫婦で招待されているにもかかわらず、違う相手を連れて行くのがまずいといった知識はある」
アーロンがそのようにいうとリオは納得がいった表情になった。
「今日の集まりは園芸協会の懇親会で個人的な集まりだ。だから心配ない。それに貴族は愛人がいて当たり前だ。格の高い夜会や王主催の夜会でなければ何の問題もない」
アーロンはこのような発言をさらりとする友を貴族だとあらためて思う。
普段はリオと気安くつきあっているので身分を意識することはないが、貴族として生まれ、貴族として育ってきたリオは、骨の髄まで貴族だと思わせることがあった。
それは商売相手の貴族にも感じることなので、リオが特別貴族臭が強いというわけではないが、自分が親しく付き合っている友と自分との違いを痛感する。
アーロンは思わずため息をついた。このような状況を平気でやりすごすことが貴族には必要らしい。
ディアス国は一夫一妻で配偶者が浮気をすれば姦通罪にとわれる。このような集まりはありえない。
自分には貴族の真似などとても出来そうにない。いや、商売に必要ならやるが、このような状況でにこやかにしなくてはならない生き方をしたくないと思う。
「新興国出身の俺にはまったく分からない世界で、俺は非常に居心地がわるい。
挨拶もすんだし旅の疲れもある。部屋で休ませてもらう」
アーロンはリオに明日の約束を確認したあと、ヘザーに滞在させてもらう礼をいい、カレンとジョセフに挨拶をして客室へむかった。
アーロンは客室にむかいながら大きく息をはいた。急に酔いがまわったようで体がふらつく。
「そういえば揺れていない静かな場所で寝るのは久しぶりだな」
アーロンは海をへだてた自国から、十日の船旅をしてリオの屋敷にたどりついた。
アーロンの出身国であるディアス国は、ユール国とは海で大きくへだたっている。そしてディアス国はユール国を含めたこちら側の大陸にある国々からの移民によって発展した。
そのおかげで大陸の国々と似た部分は多かったが、大きく違うのが身分制度だった。移民をした人間のほとんどが平民だったこともあり貴族は存在しない。
しかし数は多くないが貴族も移民しており、彼らの知識や統治力で移民達をまとめあげ発展させた者もいる。
とはいえそもそも数が少なく、そして土地を開拓し町を作りあげるのと、すでに町としてそれなりに整った状況で領地経営するのとでは求められる能力が違う。
そのため新しい土地で生き残った貴族は少なく、平民で工夫をこらし新しい土地になじみ町を作りだす努力をした人達が自然と指導者として力を持つようになった。
実力主義で国を大きくしたこともあり、ディアスの人間は身分にしばられる大陸側の人間を遅れていると思っているが、大陸側の人間はディアスを未開で野蛮な国だとさげずんだ。
アーロンはディアス国で大商会を築きあげた一家の次男で、大陸との貿易を任されていた。そのため貴族の礼儀作法と語学を習得し、貴族とのつながりをつくるため十代のうちにユール国と、商会にとってもう一つの最大得意先であるノルン国へ留学した。
野蛮な国の平民がという態度をとられることは多かったが、留学先でリオのような親友に出会うことができた。
リオの家は本家も分家も男爵位だが、本家が貿易を牛耳っている家であることから影の外交官とよばれていた。爵位こそ低いが政治や経済で力をもつ家だ。
分家でリオの生家であるコリンズ家は芸術方面、とくに絵画に強く画商としてしられている。
リオはコリンズ家の三男で、リオの叔父に跡継ぎがいないことから叔父の養子になり小さな領地を継ぐことになっている。園芸で有名な領地だ。
リオは大学を卒業してから政略結婚でピアニストのヘザーと結婚した。二人の関係は悪くはなさそうだったが、子をなしたあとヘザーは恋多き女として浮名をながすようになった。
リオは政略結婚では普通のことだというが、リオは結婚後女性と付き合うことはなかった。
リオはヘザーに家族として好意をもっているようだったが、女性として恋愛感情をもっているようには見えなかった。
ディアス国でも親が子供の結婚相手を決めることは多いが、お互いが好きあって結婚する形が増えている。アーロンの両親は幼馴染みで好きあって結婚していた。
アーロンは十代半ばに留学してからこちらの大陸で過ごしてきたので、貴族が政略結婚することや、子をなしたあとに夫婦それぞれが愛人と過ごすことが普通なのもしっている。
しかしそのような状況を普通のこととして育っていないアーロンにとって、文化の違いだと理解してはいるが好きになれない仕組みだった。
そのためリオとヘザーの関係をみるたび、リオはつらくないのかと思った。ヘザーに恋愛感情をいだいてはいないとしても、家族としての情はあるだろう。
そのような相手が自分を大切にしない。家族であるヘザーが自分以外の誰かを大切にし自分は蔑ろにされる。負の感情をもって当たり前だと思う。
家族の間では、兄の皿にある肉が自分の皿の肉よりも大きいといったささいなことで、親の愛情が誰により多くそそがれているのかを感じ、そのことに傷つき、親子や兄弟のあいだで遺恨となっていく。
そして嫌いな相手であっても、相手から無視されると腹がたつものだ。そのような意味でもヘザーから関心をもたれず、大切にされない状況はリオにとってつらいはずだ。
ディアス国であればヘザーの行動は浮気で配偶者に対する裏切りだ。体の関係があれば姦通罪になる。もしヘザーが自分の妻なら姦通罪で、即、牢屋行きだ。
リオはこの国の貴族として愛人をもつのが当然でありながら、愛人をつくることがなかった。その理由はきっと面倒くさいからだろうとアーロンは推測している。
リオはもともと恋愛に対し冷めている。愛人をつくる、つまり人を好きになることは、楽しいことではなく面倒ごとだと思っているだろう。
そのようなリオに大きな心境の変化があったのか、リオがアーロンに恋人だといってカレンを紹介した。
一ヶ月前にもらった手紙にヘザーから離婚をきりだされたと書いていた。離婚をするので、すでに再婚相手をみつけようとしているのだろうか。
しかし恋人をつくるのはよいとして、夫婦がそれぞれ自分の恋人をつれてあのように四人でそろうというのは悪趣味としかいいようがない。
カレンとジョセフも貴族なので、誰ひとりあの状況をおかしいと思わなかったのだろう。
「ああ、お貴族様の決まりごとは何かと面倒くさくて奇っ怪だ」
アーロンは長旅で疲れた体を寝心地のよさそうなベッドへと倒れこませた。
19
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
【完結】赤い薔薇なんて、いらない。
花草青依
恋愛
婚約者であるニコラスに婚約の解消を促されたレイチェル。彼女はニコラスを愛しているがゆえに、それを拒否した。自己嫌悪に苛まれながらもレイチェルは、彼に想いを伝えようとするが・・・・・・。 ■《夢見る乙女のメモリアルシリーズ》1作目の外伝 ■拙作『捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る』のスピンオフ作品。続編ではありません。
■「第18回恋愛小説大賞」の参加作品です ■画像は生成AI(ChatGPT)
どうするべきかは心の叫び(前世の後悔)が教えてくれる
ハートリオ
恋愛
チェリー・アーは仮婚約者であるボウ侯爵令息が友人相手にチェリーの印象を悪くする匂わせをしている場面に遭遇する。
怒るチェリーの頭の中で前世ハナコの声が!
ボウ侯爵令息の前世はタロウといい、夫だった。
タロウへの怒りを持ち続けるハナコに、チェリーは仮婚約を解消しようと決意する。
前世ではタロウに悲しい思いをさせられたけど、今世ではそうはいかん!
全部で24,223文字、予約投稿してあります。
・前世は日本人で異世界に生まれ変わっている設定です。
・異世界はドレス、馬車、騎士の世界観です。
お飾り妻は天井裏から覗いています。
七辻ゆゆ
恋愛
サヘルはお飾りの妻で、夫とは式で顔を合わせたきり。
何もさせてもらえず、退屈な彼女の趣味は、天井裏から夫と愛人の様子を覗くこと。そのうち、彼らの小説を書いてみようと思い立って……?
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
愛のある政略結婚のはずでしたのに
ゆきな
恋愛
伯爵令嬢のシェリナ・ブライスはモーリス・アクランド侯爵令息と婚約をしていた。
もちろん互いの意思などお構いなしの、家同士が決めた政略結婚である。
何しろ決まったのは、シェリナがやっと歩き始めたかどうかという頃だったのだから。
けれども、それは初めだけ。
2人は出会ったその時から恋に落ち、この人こそが運命の相手だと信じ合った……はずだったのに。
「私はずっと騙されていたようだ!あなたとは今日をもって婚約を破棄させてもらう!」
モーリスに言い放たれて、シェリナは頭が真っ白になってしまった。
しかし悲しみにくれる彼女の前に現れたのは、ウォーレン・トルストイ公爵令息。
彼はシェリナの前に跪くなり「この時を待っていました」と彼女の手を取ったのだった。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる