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3章〜マリンマリン王国水の都〜&真相の光
115、締まらないけど……
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そして私達は、教えられる事を全て話した。
『………………』
今、この場は静寂で満ちている。本来なら自然の音はする筈だけど、他のモノには聞かれないように結果を張っているから風すらも通らない。
私は沈黙に耐えかねず、声を上げる。
「………信じられない?」
「いや、ソークは俺の息子だし、リティアの事も会ってからの期間は短いが、信頼している。だから嘘では無いと、思う……。だけど何か規模が大き過ぎて思考が追いつかないというかなぁ」
思わずソークと顔を見合わせる。確かにそうだ。
私達でも記憶の処理に少し時間が掛かったんだもん。簡略化して話しても、所詮は世界についての話。処理に時間が掛かるのも分かる。
『我はリティアがリティアであるのなら良い。皆もそうだろう?』
「ああ。逆に俺はリティアの強さに納得したぞ?」
『リティア流石です~』
「ルビクル、リティア様なのだから当たり前ですよ」
「さっすがね~」
……うちの子達は軽すぎない?いや、この話で何か変わられるのも困るけど。
…………流石に軽すぎない?
なんだか、とても不安になる。
「よかった……」
「確かによかったけど……ううぅ」
『リティア?』
皆が心配そうに私を見る。
大丈夫だよ、とはとてもじゃないが言えない。きっと今、私の顔は歪んでいる。
「ソークぅ」
助けを求める。ーーーー私を一番理解してくれる人に。
「リティア」
ソークは優しく包む様に私を抱きしめる。
「人を信じて」
ーーひゅっ
「何を言っているの?私は皆の事を信じてるよ」
無意識に震える私を、ソークは先程とは違い、キツく抱きしめる。
「いいや」
ソークが私の瞳を覗く。私の心を私より深く見ているソークの瞳を見て、何とも言えない気持ちになる。
恐怖?いいえ、違う。安心?いいえ、違う。
今度こそ、貴方を頼っていいのかな。
「リティア、僕の事は信じられない?」
「信じられるよ!ずっとずっと、信じてるっ!!」
信じられない訳がない。私と貴方はずっと一緒なのに。
「じゃあ他の人は?僕だけではなく、他にも大切な人、沢山出来たでしょう?信じられない?」
私は思いっきり目を見開く。そして周りを見回す。皆、何も言わずに只私達を見守ってくれていた。
「信じたい。信じたいよぅ」
ボロボロと涙が溢れる。優しい人達を、信じたい。でも、人の心が、負の感情が、恐ろしい事を私は知ってしまったの。
「だったら大丈夫だろう」
「なっ!ローク!!……あ~~、すまん二人共。でもな、信じたいと思ってるなら大丈夫だ。俺達はリティアが信じられるよう努力するのみ」
「うえ」
『うえ?』
「うえええぇ~!うっぐ!ゔん。ゔん。ありがどゔぅ」
◇◆◇
しばらく泣いて少し心が軽くなった。
「じゃあ出発!」
『おい待て!何しれっと混ざっているのだ』
皆そうだった……!という顔でソークを見ている。
「来ちゃったんだから良いですよね、父上」
「えっ?いや、う~~ん?」
ノークさんは困ったように空を仰ぐ。
「良いですよね、父上?」
「アア、イイゾ!!」
▼息子の凄みのある笑顔に父は負けた!
ノークさん…………!!息子に負けてるよ!?
「じゃあ改めて出発!!」
「あ、リティアちょっと待って」
「……何?」
二度目なんだから格好良くキメさせて欲しかった。
「リティア、愛しているよ。アルティリエーヌも、佐藤梨花も、リティアを形創るモノ。ソークは、リティアの全てを愛しています。成人したら、結婚して下さい」
顔が熱くなる。
ソークの笑顔が蕩けるように愛で満ちているんだよ?
だったら私も今言うしかないじゃない。
「ソーク、私も愛しています。ナディソウルも、貴方を創るモノ。私は、リティアは、ソークの全てを愛してる……!」
あぁ、さっき消えた筈の涙が溢れる。
そんな私を、優しくソークが抱き込む。
「嬉しいよ。……だけどリティア、結婚の返事は?」
「意地悪」
「分かってる。でも聞かせて?」
「勿論、はい、だよ!!」
私達は顔を合わせて笑い合う。
前の世界では転生系の物語が沢山溢れていたけど、一番幸せな転生ライフを送っているのは私達だと自信を持って言える。
しかーし。問題が一つ。この場は皆の前だということ。
恥ずかしい。嬉しいんだけど恥ずかしさしかない。
今は違う意味で顔が熱い。
「えーと、皆の前ですみません……」
顔を向けるのが恥ずかし過ぎてソークの服に顔を埋めた状態のまま言う。
「いや、謝る事はないぞ。おめでとう!」
『おめでとう!!』
皆の祝福すらも、全て見られていたからか、嬉しさよりも羞恥が勝る。
…………ん?涙声が混ざっていた気がする。でも見れない。気になるのに。でも顔見せられない。
だあああああぁぁぁぁーーーーーー!!!!
「よし、しゅっぱぁーーーーつ!!!!」
『………………』
今、この場は静寂で満ちている。本来なら自然の音はする筈だけど、他のモノには聞かれないように結果を張っているから風すらも通らない。
私は沈黙に耐えかねず、声を上げる。
「………信じられない?」
「いや、ソークは俺の息子だし、リティアの事も会ってからの期間は短いが、信頼している。だから嘘では無いと、思う……。だけど何か規模が大き過ぎて思考が追いつかないというかなぁ」
思わずソークと顔を見合わせる。確かにそうだ。
私達でも記憶の処理に少し時間が掛かったんだもん。簡略化して話しても、所詮は世界についての話。処理に時間が掛かるのも分かる。
『我はリティアがリティアであるのなら良い。皆もそうだろう?』
「ああ。逆に俺はリティアの強さに納得したぞ?」
『リティア流石です~』
「ルビクル、リティア様なのだから当たり前ですよ」
「さっすがね~」
……うちの子達は軽すぎない?いや、この話で何か変わられるのも困るけど。
…………流石に軽すぎない?
なんだか、とても不安になる。
「よかった……」
「確かによかったけど……ううぅ」
『リティア?』
皆が心配そうに私を見る。
大丈夫だよ、とはとてもじゃないが言えない。きっと今、私の顔は歪んでいる。
「ソークぅ」
助けを求める。ーーーー私を一番理解してくれる人に。
「リティア」
ソークは優しく包む様に私を抱きしめる。
「人を信じて」
ーーひゅっ
「何を言っているの?私は皆の事を信じてるよ」
無意識に震える私を、ソークは先程とは違い、キツく抱きしめる。
「いいや」
ソークが私の瞳を覗く。私の心を私より深く見ているソークの瞳を見て、何とも言えない気持ちになる。
恐怖?いいえ、違う。安心?いいえ、違う。
今度こそ、貴方を頼っていいのかな。
「リティア、僕の事は信じられない?」
「信じられるよ!ずっとずっと、信じてるっ!!」
信じられない訳がない。私と貴方はずっと一緒なのに。
「じゃあ他の人は?僕だけではなく、他にも大切な人、沢山出来たでしょう?信じられない?」
私は思いっきり目を見開く。そして周りを見回す。皆、何も言わずに只私達を見守ってくれていた。
「信じたい。信じたいよぅ」
ボロボロと涙が溢れる。優しい人達を、信じたい。でも、人の心が、負の感情が、恐ろしい事を私は知ってしまったの。
「だったら大丈夫だろう」
「なっ!ローク!!……あ~~、すまん二人共。でもな、信じたいと思ってるなら大丈夫だ。俺達はリティアが信じられるよう努力するのみ」
「うえ」
『うえ?』
「うえええぇ~!うっぐ!ゔん。ゔん。ありがどゔぅ」
◇◆◇
しばらく泣いて少し心が軽くなった。
「じゃあ出発!」
『おい待て!何しれっと混ざっているのだ』
皆そうだった……!という顔でソークを見ている。
「来ちゃったんだから良いですよね、父上」
「えっ?いや、う~~ん?」
ノークさんは困ったように空を仰ぐ。
「良いですよね、父上?」
「アア、イイゾ!!」
▼息子の凄みのある笑顔に父は負けた!
ノークさん…………!!息子に負けてるよ!?
「じゃあ改めて出発!!」
「あ、リティアちょっと待って」
「……何?」
二度目なんだから格好良くキメさせて欲しかった。
「リティア、愛しているよ。アルティリエーヌも、佐藤梨花も、リティアを形創るモノ。ソークは、リティアの全てを愛しています。成人したら、結婚して下さい」
顔が熱くなる。
ソークの笑顔が蕩けるように愛で満ちているんだよ?
だったら私も今言うしかないじゃない。
「ソーク、私も愛しています。ナディソウルも、貴方を創るモノ。私は、リティアは、ソークの全てを愛してる……!」
あぁ、さっき消えた筈の涙が溢れる。
そんな私を、優しくソークが抱き込む。
「嬉しいよ。……だけどリティア、結婚の返事は?」
「意地悪」
「分かってる。でも聞かせて?」
「勿論、はい、だよ!!」
私達は顔を合わせて笑い合う。
前の世界では転生系の物語が沢山溢れていたけど、一番幸せな転生ライフを送っているのは私達だと自信を持って言える。
しかーし。問題が一つ。この場は皆の前だということ。
恥ずかしい。嬉しいんだけど恥ずかしさしかない。
今は違う意味で顔が熱い。
「えーと、皆の前ですみません……」
顔を向けるのが恥ずかし過ぎてソークの服に顔を埋めた状態のまま言う。
「いや、謝る事はないぞ。おめでとう!」
『おめでとう!!』
皆の祝福すらも、全て見られていたからか、嬉しさよりも羞恥が勝る。
…………ん?涙声が混ざっていた気がする。でも見れない。気になるのに。でも顔見せられない。
だあああああぁぁぁぁーーーーーー!!!!
「よし、しゅっぱぁーーーーつ!!!!」
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