彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

文字の大きさ
225 / 240

頑張る理由

しおりを挟む
電話を受けた後、真っ青な顔で固まる瑞穂。

「ちょ、ちょっと瑞穂、今の話……。」

瑞穂の言葉や顔色からハルたん会長も状況を察した様である。

「瑞穂。」

俺が声をかけても反応は無い。

小刻みに体が震えている。

当たり前だ。

瑞穂にとって婆さんは唯一無二、一緒に暮らす家族である。

言葉通りであるなら冷静でいられるはずが無い。

そんな中。

「お、おい、瑞穂?

あー……やっぱそうなるか……」

通話はまだ切れてないらしく、電話口から声が漏れ聞こえてくる。

この声は……多分だが仁さんだ。

声を聞くのはあの日以来だが何となく雰囲気で分かる。

「もしもし、お電話代わりました。」

咄嗟に瑞穂のスマホをひったくって代わりに電話に出る。

「あっ……。」

それには流石に瑞穂も反応を示したが引き止める様な事はしなかった。

「ん?その声は……。 」

「えっと、俺です俺。」

「何だ……?俺俺詐欺か……?」

うん、確かに普通の反応だと思うw

でもこの場合どう名乗るべきだ……?

名前を覚えられてるかどうか分からないし、元彼って言っても瑞穂の元彼なんて何人居るんだって話だし……。

「えっと……。」

「あぁ、元カレー君だろ?」

「さも自分が勝手に付けた変なあだ名を俺の名前みたいに言うのやめてもらって良いですかね!?」

覚えてたんかい、、しかも随分不名誉な覚え方でである。

「君が代わったって事は瑞穂はマトモに話せるような状況じゃないって事だよな。」

「そうですね。」

チラリと瑞穂に目を向けると、瑞穂はまだ青い顔で震えている。

そんな瑞穂の背中をハルたん会長が優しく撫でてやっていた。

「瑞穂にもうすぐそっちに着くって伝えといてもらえるか?

心配だろうし病院まで連れて行ってやるから。」

「あ、はい。」

それだけ言うと電話を切られる。

「瑞穂、大丈夫か?

仁さん、もうすぐ迎えに来るってよ。

病院、行くんだろ?」

「うん……。」

そう返す声はあまりに弱々しい。

こんな弱々しい彼女の姿を見るのは始めてだった。

「ほら瑞穂、早く行けよ。

心配なんだろ?」

そう急かすも、瑞穂は動こうとしない。

「瑞穂……?」

ハルたん会長も心配そうにしている。

「やだ……。」

「え……。」

これは予想外な反応だった。

「いや、やだって……会いたくないのかよ?」

「違う……!そうじゃなくて!」

「えっと……?」

意図が分からずにいると、瑞穂が腕にしがみついてくる。

「お願い悠太……。

一緒に来て……。」

そう、実に弱々しい声で言う瑞穂。

「そうね……。

確かに今の瑞穂を一人で行かせるのは心配だし……。

私からもお願い。

悠太君、一緒に行ってあげて。」

見かねたハルたん会長が言う。

「分かった……。

ほら、行くぞ。」

「うん……。」

そのまま二人並んで歩く。

やっぱりなんか落ち着かない……な。

普段なら一緒に帰れば何かとからかってくる瑞穂である。

でも今はからかってくるどころか全く口を開かずにただ俯いている。

なんか……調子狂うな……。

でもそれはそうである。

俺が知る瑞穂はいつも明るくて、さっきも言ったように一緒に居ればからかってくるような奴だ。

でも彼女だって人間なんだ。

当然弱さだってある。

そんな当たり前の事を知らないくらい、あの時の俺たちの関係は希薄な物でしかなかったのだと改めて思い知らされた気分になる。

まぁそう言う意味ではそんな彼女の一面を今知れて良かったのだと思うべきなのだろうか。

そのまま並んで校門を抜けると、その付近に青色の軽自動車が止まっていた。

「おっ、やっぱり君も来たか。

乗りなよ。」

仁さんが窓から顔を出して声をかけてくる。

「あぁ、はい。

ほら、瑞穂。」

「仁さん!婆ちゃんは!?」

さっきまで黙っていたのに、仁さんの姿を見ると急に取り乱す瑞穂。

「落ち着け。

婆さんは「落ち着いてなんかいられない!!婆ちゃんが居なくなったら……あたし……あたし!」っ……。」

あまりに悲痛な叫びに心苦しくなる。

「……だから落ち着け……。

大病とかじゃない。

緊急性を求められる様なものでもない。

でも婆さんが帰らなかったら心配だろうと思ってな。」


仁さんはまるで瑞穂がそんな状態になる事を最初から分かっていたとばかりに冷静にただ事実を告げる。

「そ、そうなんだ……。」

それに一応安心の表情を浮かべる瑞穂。

「とにかく乗れ。」

促され二人して車に乗り込み、後部座席に並んで座る。

そのまま車はゆっくりと発車する。

「大丈夫か?」

「ん……なんとか。

ごめん……巻き込んじゃって……。」

「いや、気にすんなって……。

流石にあの状態でほっとけねぇよ……。」

「うん、ありがとう。」

うーん……なんかやっぱり調子狂うな……。

「婆ちゃん……最近……ずっと無理してたんだと思う。」

やがて瑞穂はポツリと呟く。

「確かにな。

最近ずっと瑞穂が急いで帰ってたから婆さんが忙しいのかなとは思ってた。」

「だよね。

あたしのせいだ……。

あたしがもっとちゃんと止めなかったから……。」

「別に瑞穂のせいじゃ……。」

「でもあたしは婆ちゃんが無理してるのには気付いてた!

なのに……!」

「いやそれは……。」

自分を責める瑞穂に何を言ってやれば良いのか分からない。

こんな時自分の不甲斐なさが本当に嫌になる。

「婆さんはお前にそんな風に思って欲しくて無理してた訳じゃないだろ。」

運転しながら、仁さんがそんな事を言う。

「それは……分かってるけど……。」

口ごもってしまう瑞穂。

瑞穂とてそれは分かってるだろう。

ただ自分のせいで婆さんが傷付くのが辛いだけ。

「お前が婆さんを大事に思ってるように、婆さんもお前が大事だから頑張れてんだよ。

まぁ倒れたら元も子もないけどな。」

「本当だよ……。」

そう言って深いため息を吐く瑞穂。

やがて病院が見えてくる。

「着いたら文句言ってやるんだから。」

そう言う表情に暗さはなく、いつもの彼女に戻ったように思えた。

それに少し安心したのと同時に、結局自分は何も出来なかったと言う事実に少しチクリと胸が痛んだ。





新年明けましておめでとうございます!

昨年は大変沢山の方にこのフラれろうに関わって頂いた事をこの場を借りて深く御礼申し上げたいと思います。

本当にありがとうございます!スライディング =͟͟͞ _|\○_土下座。
さて、年末のご挨拶が大変ギリギリになり新年の挨拶と対して変わらない形にはなりましたが(笑)
今年も皆さんに精一杯楽しみながら描いていくつもりなので本年もフラれろうを作者共々よろしくお願いします(  . .)"
遊。でした!




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

処理中です...