31 / 61
奇襲作戦 7
しおりを挟む
話が終わるとヴェルガがマラガの代表者として、ビュグベルの前に歩み出た。「この度のエルフ族の協力に感謝いたします」
帝国の動向から良からぬ方向に世界が進んでいると感じていたエルフの長は、自国の危機管理をする上で、隣国との連携が必要になる時が来たと確信した。
「再び両国の交流を深めるために、マラガ王に親書をお送りしましょう。危機に瀕した際は、互いの協力が必要になるでしょうから」
エルフ族からの親書を受け取ったヴェルガは、振り返り仲間達に告げた。
「さあ、マラガへ帰りましょう!」
静寂の森から出ると、暖かく初夏を思わすような気持のよい気候になっていた。緊張感の途切れたリリカは、終始気持ちよさそうに狼の背で揺られながら眠る。大きな欠伸をした春馬は、口を少し開け呼吸する彼女の頬を指で突きながら寝顔に見とれた。
「しかし、よく眠るな。魔法は便利だが、消耗が激しいのかな」
移動中だけでなく、リリカは昨晩も食事が終わるとすぐに寝ていた。
まだ15歳の少女には、魔法は精神的にも肉体的にも負担が大きい。まだまだ、十分に成長していない証拠だった。
マラガ王国から数十キロ離れた場所で、長い隊列を作り自国へと帰っていく帝国軍と出会った。マラガ侵攻を諦めて、完全撤退を始めていたのだ。
騎兵が先頭を進み、その後からライフル銃を肩に乗せる歩兵と剣や槍を持つ兵士達が続く。兵士達に守られるようにして、大砲を馬が引いて行く。
長い隊列を組む彼等は、みんな疲弊していた。
多くの死傷者を出したリリカの魔法攻撃は、精神的にも肉体的にも大きなダメージを与えていた。
マラガ王国は、帝国軍の撤退に住民達が歓喜に沸いていた。
どうして帝国軍が引き上げて行くのか理由は知らなかったが、そんな事は彼等にとってどうでも良かった。
とにかく喜びをみんなで分かち合い騒ぎたかったのだ。
街の騒がしさとは裏腹に、城内は落ち着いていた。
「ありがとう、上出来よ。昨日の内に帝国軍は、国境から撤退したのよ」
「ふう、作戦通りになって良かった。まあ、一番の功労者は、彼女だけど」と、春馬はリリカの方へ視線を移した。
「ふふふ、リリカ。私達を救ってくれて有難う」
エメリンに抱きしめられるリリカは、恥ずかしそうに照れていた。
春馬やヴェルガ、そしてエルフ達と多くの人が協力してくれたから、帝国軍を追い払い、親切にしてくれた獣人達が安心して暮らせる環境を取り戻せた。
「いえいえ、ヴェルガさんやエルフの皆さんのおかげですよ」
「そんな事無いわよ。リリカは、よく頑張ったと思う。さあ、疲れたでしょ、ソファに座って」、お茶の準備をするよう給仕を呼んだ。
「ねえ、春馬は座らないの?」
春馬は、首を横に振りソファに座らなかった。
「エメリンさん。申し訳ないけど、俺は自分の世界に戻ります」
「ええ、今なの? 別に良いけど」
「それじゃあ、奇襲作戦の報告は、明日しますよ」と、光の中に春馬は消え、自分の世界に帰った。
「春馬は、本当に違う世界の人なのね」
「はい、知らないことを教えてくれるし、変な機械を見せてくれますよ」
「私たちの世界より、きっと彼の世界の方が進んでいるのよね」
紅茶を飲みながら、用意されたお菓子に手を伸ばすリリカを眺めていたエメリンは、「まあ、良いわ。せっかくだから、リリカに説明してもらおうかしら」
「えっ、上手く出来るかな。それでも良いの?」
いきなり説明を求められたリリカは、ソワソワし始めた。初めて報告する彼女の心中は穏やかではない。考え込むリリカは、体を左右に揺らしていた。
「あら、かわいい仕草」と、リリカの横に座り直したエメリンは、たまらず彼女を抱きしめた。
エメリンの胸に顔を埋めたリリカは、窒息しそうになる。
「く、苦しいです」
「ご、ごめんなさい。じゃあリリカ、説明して」
凛々しい顔つきでスクッと立ち上がったリリカは、静寂の森の事や奇襲攻撃について報告を始めた。
彼女は必死に身振り手振りで話すのだが、擬音が多すぎて内容が見えてこない。難解な説明になってしまった。
「エルフの国、アルフヘイムは自然と建物が融合していて本当に綺麗でした。エルフ族の長と会った後に国境に行ったのですが、エルフの光魔法は、ババーンて感じで夜空を照らして、ゲートとか壁とかをガンガン壊してしまって。帝国には春馬と一緒に入って、工場と倉庫を炎でゴーと焼いて、グワーと炎の竜巻が出来たらバーン、ドドーンて工場が爆発しました。もう、建物がたくさん爆発したんですよ、ビックリでした。森に戻る途中で春馬は、銃で撃たれて怪我したんですが、エルフの光魔法でビビーと治してもらったんです」
興奮しながらも得意げな表情を見せるリリカが話し終えた。
ハアハアと息を切らす彼女は興奮冷めやらぬ様で、放っておいたら再び話し出しそうだった。
そんなリリカの姿がツボに入ったエメリンは、吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
「ぐっふふふ、報告ありがとう。今日はもう疲れたでしょ、食事の用意を頼んでおくから、先にお風呂に入ってゆっくり休むと良いわ」
マラガには、この世界では珍しい入浴の習慣があった。
城内には来賓客をもてなすために、大きな湯船を備えた男女別の浴場があり、リリカは女性専用の浴場へ案内された。
広い浴室に感動しつつお湯の中に体を沈めると気持ちが良い、疲れている時ほどその心地よさに、全身から力が抜け癒される。
湯船につかるリリカは、ボーと、天井を眺めながら考える。
私、一人じゃ出来ない事が多い。
春馬の助言通りにすると、びっくりするような魔法が使えるし、ヴェルガさんやエルフの人たちは、危険な場所でも私を守ってくれた。
一人前になったら、一人で何でも出来るようになるのかな・・・。
ああ、なんだか無性に眠たい。
瞼が重くなり、ふわあーと、大きな欠伸をした。
明日、春馬を呼び出すのを忘れないようにしないと。
半分寝ている様な状態のリリカは、何も考えられなくなり、湯船から上がった。ほとんど記憶が無いまま用意された食事をし、気が付けばベッドで眠っていた。
翌朝、目を覚ましたリリカは、見慣れない天井が目に入り息を呑んだ。
「キャッ、あわわわ、驚いた」、直ぐにマラガ王国の城内に居る事を思い出し起き上がった。
隣の部屋では、エメリンがソファに座り何か調べているのか本を読んでいた。
「おはようございます」
「おはよう。驚いた声が聞こえたけど、よく眠れたかしら?」
「へへ、はい。お風呂に入れて、疲れはすっかり取れましたよ」
「それなら、良かった。今日の予定だけど、王から祝賀会の招待を受けているの。夕方になるけど、問題は無いかしら?」
「大丈夫ですよ。それまでには、春馬を呼んでおきますね」
帝国軍の侵攻を止めた功労者達を集め、感謝と労いをする為の祝賀会が催される。
来賓として正式に参加をするのは、初めての経験になるはずだ。それなのにリリカは、作法や服装など全く気にしていなかった。
エメリンの問いかけは、その事を気にかけていたのだが、彼女には伝わっていなかった。
帝国の動向から良からぬ方向に世界が進んでいると感じていたエルフの長は、自国の危機管理をする上で、隣国との連携が必要になる時が来たと確信した。
「再び両国の交流を深めるために、マラガ王に親書をお送りしましょう。危機に瀕した際は、互いの協力が必要になるでしょうから」
エルフ族からの親書を受け取ったヴェルガは、振り返り仲間達に告げた。
「さあ、マラガへ帰りましょう!」
静寂の森から出ると、暖かく初夏を思わすような気持のよい気候になっていた。緊張感の途切れたリリカは、終始気持ちよさそうに狼の背で揺られながら眠る。大きな欠伸をした春馬は、口を少し開け呼吸する彼女の頬を指で突きながら寝顔に見とれた。
「しかし、よく眠るな。魔法は便利だが、消耗が激しいのかな」
移動中だけでなく、リリカは昨晩も食事が終わるとすぐに寝ていた。
まだ15歳の少女には、魔法は精神的にも肉体的にも負担が大きい。まだまだ、十分に成長していない証拠だった。
マラガ王国から数十キロ離れた場所で、長い隊列を作り自国へと帰っていく帝国軍と出会った。マラガ侵攻を諦めて、完全撤退を始めていたのだ。
騎兵が先頭を進み、その後からライフル銃を肩に乗せる歩兵と剣や槍を持つ兵士達が続く。兵士達に守られるようにして、大砲を馬が引いて行く。
長い隊列を組む彼等は、みんな疲弊していた。
多くの死傷者を出したリリカの魔法攻撃は、精神的にも肉体的にも大きなダメージを与えていた。
マラガ王国は、帝国軍の撤退に住民達が歓喜に沸いていた。
どうして帝国軍が引き上げて行くのか理由は知らなかったが、そんな事は彼等にとってどうでも良かった。
とにかく喜びをみんなで分かち合い騒ぎたかったのだ。
街の騒がしさとは裏腹に、城内は落ち着いていた。
「ありがとう、上出来よ。昨日の内に帝国軍は、国境から撤退したのよ」
「ふう、作戦通りになって良かった。まあ、一番の功労者は、彼女だけど」と、春馬はリリカの方へ視線を移した。
「ふふふ、リリカ。私達を救ってくれて有難う」
エメリンに抱きしめられるリリカは、恥ずかしそうに照れていた。
春馬やヴェルガ、そしてエルフ達と多くの人が協力してくれたから、帝国軍を追い払い、親切にしてくれた獣人達が安心して暮らせる環境を取り戻せた。
「いえいえ、ヴェルガさんやエルフの皆さんのおかげですよ」
「そんな事無いわよ。リリカは、よく頑張ったと思う。さあ、疲れたでしょ、ソファに座って」、お茶の準備をするよう給仕を呼んだ。
「ねえ、春馬は座らないの?」
春馬は、首を横に振りソファに座らなかった。
「エメリンさん。申し訳ないけど、俺は自分の世界に戻ります」
「ええ、今なの? 別に良いけど」
「それじゃあ、奇襲作戦の報告は、明日しますよ」と、光の中に春馬は消え、自分の世界に帰った。
「春馬は、本当に違う世界の人なのね」
「はい、知らないことを教えてくれるし、変な機械を見せてくれますよ」
「私たちの世界より、きっと彼の世界の方が進んでいるのよね」
紅茶を飲みながら、用意されたお菓子に手を伸ばすリリカを眺めていたエメリンは、「まあ、良いわ。せっかくだから、リリカに説明してもらおうかしら」
「えっ、上手く出来るかな。それでも良いの?」
いきなり説明を求められたリリカは、ソワソワし始めた。初めて報告する彼女の心中は穏やかではない。考え込むリリカは、体を左右に揺らしていた。
「あら、かわいい仕草」と、リリカの横に座り直したエメリンは、たまらず彼女を抱きしめた。
エメリンの胸に顔を埋めたリリカは、窒息しそうになる。
「く、苦しいです」
「ご、ごめんなさい。じゃあリリカ、説明して」
凛々しい顔つきでスクッと立ち上がったリリカは、静寂の森の事や奇襲攻撃について報告を始めた。
彼女は必死に身振り手振りで話すのだが、擬音が多すぎて内容が見えてこない。難解な説明になってしまった。
「エルフの国、アルフヘイムは自然と建物が融合していて本当に綺麗でした。エルフ族の長と会った後に国境に行ったのですが、エルフの光魔法は、ババーンて感じで夜空を照らして、ゲートとか壁とかをガンガン壊してしまって。帝国には春馬と一緒に入って、工場と倉庫を炎でゴーと焼いて、グワーと炎の竜巻が出来たらバーン、ドドーンて工場が爆発しました。もう、建物がたくさん爆発したんですよ、ビックリでした。森に戻る途中で春馬は、銃で撃たれて怪我したんですが、エルフの光魔法でビビーと治してもらったんです」
興奮しながらも得意げな表情を見せるリリカが話し終えた。
ハアハアと息を切らす彼女は興奮冷めやらぬ様で、放っておいたら再び話し出しそうだった。
そんなリリカの姿がツボに入ったエメリンは、吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
「ぐっふふふ、報告ありがとう。今日はもう疲れたでしょ、食事の用意を頼んでおくから、先にお風呂に入ってゆっくり休むと良いわ」
マラガには、この世界では珍しい入浴の習慣があった。
城内には来賓客をもてなすために、大きな湯船を備えた男女別の浴場があり、リリカは女性専用の浴場へ案内された。
広い浴室に感動しつつお湯の中に体を沈めると気持ちが良い、疲れている時ほどその心地よさに、全身から力が抜け癒される。
湯船につかるリリカは、ボーと、天井を眺めながら考える。
私、一人じゃ出来ない事が多い。
春馬の助言通りにすると、びっくりするような魔法が使えるし、ヴェルガさんやエルフの人たちは、危険な場所でも私を守ってくれた。
一人前になったら、一人で何でも出来るようになるのかな・・・。
ああ、なんだか無性に眠たい。
瞼が重くなり、ふわあーと、大きな欠伸をした。
明日、春馬を呼び出すのを忘れないようにしないと。
半分寝ている様な状態のリリカは、何も考えられなくなり、湯船から上がった。ほとんど記憶が無いまま用意された食事をし、気が付けばベッドで眠っていた。
翌朝、目を覚ましたリリカは、見慣れない天井が目に入り息を呑んだ。
「キャッ、あわわわ、驚いた」、直ぐにマラガ王国の城内に居る事を思い出し起き上がった。
隣の部屋では、エメリンがソファに座り何か調べているのか本を読んでいた。
「おはようございます」
「おはよう。驚いた声が聞こえたけど、よく眠れたかしら?」
「へへ、はい。お風呂に入れて、疲れはすっかり取れましたよ」
「それなら、良かった。今日の予定だけど、王から祝賀会の招待を受けているの。夕方になるけど、問題は無いかしら?」
「大丈夫ですよ。それまでには、春馬を呼んでおきますね」
帝国軍の侵攻を止めた功労者達を集め、感謝と労いをする為の祝賀会が催される。
来賓として正式に参加をするのは、初めての経験になるはずだ。それなのにリリカは、作法や服装など全く気にしていなかった。
エメリンの問いかけは、その事を気にかけていたのだが、彼女には伝わっていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる