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狩猟会
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王都の端に位置する王立公園。
公園と言っても、その実は、広大な湖を有し、多くの野生動物を育む地である。
その公園で、年に数回、狩猟会が開催される。
社交シーズンが終わるこの時期のものが、最も多くの参加者がおり、最後の社交場として賑わいを見せる。
「アレクシオ様、ステキです」
ほう。と、頬に手をあてて、ため息混じりに、リオがうっとりと夫を見上げた。
最近では、もう慣れてきたアレクシオは、礼と共に、リオの頭をなでた。
ワインレッドの大きなマントを羽織った姿は、雄々しく、思わずマントの中に潜っていきたい衝動に駆られる。
「・・・暑いわ」
衝動に駆られたら、それを受け入れてくる夫がいるので、すぐ行動には移すのだが。
「そうだな。今日は暑いな」
涼しい顔で警備の最終点検であろう書類に目を通しながら、話すアレクシオは、全く汗をかいているようには見えない。
今日は貴族が多く集まり、王族も出てくるため、警備に、軍が派遣されている。
普段は近衛だけが任されている王族警護も、アレクシオが取り仕切っている。基本的に近衛は、身辺警護のため傍に侍り、軍は狩り場など周辺を警備する。
そのため、社交場ではあまり見ない体格の良い兵士達があちこちにいる。もちろん、淑女の皆様に恐怖を与えてはならないと、それなりに離れた場所だが。
リオは、アレクシオとともに軍の控えテントにいた。
アレクシオは、当初、軍のテントにリオが来ることを反対したのだが、
「お前が近くにいないと、狩りよりも警備の見学に向かうかも知れんぞ」
父の言により、即、アレクシオのそばから離れることが禁止された。
さすがにそんなことはしないと思う。まあ、遠くにその姿が見えたら愛でるぐらいだ。
「リオ、また怒られたいのか?」
ニコニコと言うより、ニヤニヤという表情に近くなった妻をアレクシオは窘める。
「アレクシオ様を見ていただけだもの」
怒られることなどありません。ぷっとふくれて反抗するリオを、アレクシオはひどく愛おしげに見つめて、リオの頬にキスを落として、副長に向き直る。
「馬車の停車場所に、もう数人警備を増やせ。狩り場には私がついていくのと、近衛がいるので、ここまで必要ないだろう」
呆れた顔で突っ立っていたマッシュに告げる。
「こちらの仕事を終わらせてから、いちゃついてくださいよ」
「したいときにするので無理だ」との上司の言葉にぶつぶつと文句を言いながら、マッシュは、警備の再調整にテントから出て行く。
「あの方は、細くて、綺麗な方ね」
リオが、軍では見ないマッシュの細さに感心したように言った。
「ああ、渉外に向いていて、重宝する」
元は近衛であったマッシュが、生まれつきの細さにより騎士としてやっていけないと、やめようとしていたところをアレクシオが拾った。
王宮の廊下に、落ちていたらしい。
マッシュは、「疲れて休んでいたんですよ!人間が落ちてるわけないでしょう!?」とわめいていたが、廊下にあぐらをかいて座り込んでいたのだから、落ちていたとアレクシオは言う。
マッシュは頭が良く、人好きがするため、予算取りなど、大いに役立つらしく、この間、アレクシオが「良い拾いものをした」と、呟いているところを、睨まれていた。
リオは暑いと言いながらも、アレクシオの衣装に興味津々であちこち覗いているところだ。
「脱がそうとしたら、リオのも脱がすからな」
脇にあるボタンに手を掛けたところでアレクシオから声がかかる。
今度は地形図を見ているのに、何故分かるのだろう。
「今日はこのまま帰ってね?脱がすの手伝わせてね?」
リオの発言に、アレクシオが目を丸くした。
「なかなか積極的な発言だな。じゃあ、リオのはオレが脱がそう」
すぐににやりとしてアレクシオが笑えば、
「ち、違う!今のは、純粋に面白い構造をした服が気になって!」
自分がなかなかな発言をしていたことに気がついて、きょときょとしながら否定する。
こんなに人がいる場所で、堂々と脱がしたいと言われるとは思わなかったので、アレクシオもリオをいじめただけなのだろう。アレクシオが面白そうに笑う姿を見ながら、リオは、真っ赤な顔で、ぶつぶつ言いながら、少し離れた椅子に座った。
公園と言っても、その実は、広大な湖を有し、多くの野生動物を育む地である。
その公園で、年に数回、狩猟会が開催される。
社交シーズンが終わるこの時期のものが、最も多くの参加者がおり、最後の社交場として賑わいを見せる。
「アレクシオ様、ステキです」
ほう。と、頬に手をあてて、ため息混じりに、リオがうっとりと夫を見上げた。
最近では、もう慣れてきたアレクシオは、礼と共に、リオの頭をなでた。
ワインレッドの大きなマントを羽織った姿は、雄々しく、思わずマントの中に潜っていきたい衝動に駆られる。
「・・・暑いわ」
衝動に駆られたら、それを受け入れてくる夫がいるので、すぐ行動には移すのだが。
「そうだな。今日は暑いな」
涼しい顔で警備の最終点検であろう書類に目を通しながら、話すアレクシオは、全く汗をかいているようには見えない。
今日は貴族が多く集まり、王族も出てくるため、警備に、軍が派遣されている。
普段は近衛だけが任されている王族警護も、アレクシオが取り仕切っている。基本的に近衛は、身辺警護のため傍に侍り、軍は狩り場など周辺を警備する。
そのため、社交場ではあまり見ない体格の良い兵士達があちこちにいる。もちろん、淑女の皆様に恐怖を与えてはならないと、それなりに離れた場所だが。
リオは、アレクシオとともに軍の控えテントにいた。
アレクシオは、当初、軍のテントにリオが来ることを反対したのだが、
「お前が近くにいないと、狩りよりも警備の見学に向かうかも知れんぞ」
父の言により、即、アレクシオのそばから離れることが禁止された。
さすがにそんなことはしないと思う。まあ、遠くにその姿が見えたら愛でるぐらいだ。
「リオ、また怒られたいのか?」
ニコニコと言うより、ニヤニヤという表情に近くなった妻をアレクシオは窘める。
「アレクシオ様を見ていただけだもの」
怒られることなどありません。ぷっとふくれて反抗するリオを、アレクシオはひどく愛おしげに見つめて、リオの頬にキスを落として、副長に向き直る。
「馬車の停車場所に、もう数人警備を増やせ。狩り場には私がついていくのと、近衛がいるので、ここまで必要ないだろう」
呆れた顔で突っ立っていたマッシュに告げる。
「こちらの仕事を終わらせてから、いちゃついてくださいよ」
「したいときにするので無理だ」との上司の言葉にぶつぶつと文句を言いながら、マッシュは、警備の再調整にテントから出て行く。
「あの方は、細くて、綺麗な方ね」
リオが、軍では見ないマッシュの細さに感心したように言った。
「ああ、渉外に向いていて、重宝する」
元は近衛であったマッシュが、生まれつきの細さにより騎士としてやっていけないと、やめようとしていたところをアレクシオが拾った。
王宮の廊下に、落ちていたらしい。
マッシュは、「疲れて休んでいたんですよ!人間が落ちてるわけないでしょう!?」とわめいていたが、廊下にあぐらをかいて座り込んでいたのだから、落ちていたとアレクシオは言う。
マッシュは頭が良く、人好きがするため、予算取りなど、大いに役立つらしく、この間、アレクシオが「良い拾いものをした」と、呟いているところを、睨まれていた。
リオは暑いと言いながらも、アレクシオの衣装に興味津々であちこち覗いているところだ。
「脱がそうとしたら、リオのも脱がすからな」
脇にあるボタンに手を掛けたところでアレクシオから声がかかる。
今度は地形図を見ているのに、何故分かるのだろう。
「今日はこのまま帰ってね?脱がすの手伝わせてね?」
リオの発言に、アレクシオが目を丸くした。
「なかなか積極的な発言だな。じゃあ、リオのはオレが脱がそう」
すぐににやりとしてアレクシオが笑えば、
「ち、違う!今のは、純粋に面白い構造をした服が気になって!」
自分がなかなかな発言をしていたことに気がついて、きょときょとしながら否定する。
こんなに人がいる場所で、堂々と脱がしたいと言われるとは思わなかったので、アレクシオもリオをいじめただけなのだろう。アレクシオが面白そうに笑う姿を見ながら、リオは、真っ赤な顔で、ぶつぶつ言いながら、少し離れた椅子に座った。
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