S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko

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第3章

第27話:期待と責任

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夏休みも二週間が過ぎた八月の午後、俺は問題解決部の部室で一人、プログラミングの勉強をしていた。エアコンの効いた旧校舎の203号室は、暑い夏の日でも快適な作業環境だった。

週に一度の部活動。今日は天野と三上が買い物に行っていて、俺は先に部室で待っている。

参考書を読みながら、昨日完成させた小さなWebアプリのコードを見直していた時、部室のドアがノックされた。

「すんませーん、問題解決部のみんないてるー?」

聞き覚えのある関西弁。顧問の松本先生の声だった。

「はい、います」

俺が返事をすると、松本先生が扉を開けて顔を覗かせた。その後ろには、見慣れない三人の生徒が立っている。

「おお、黒瀬くんやね。お疲れさん」

松本先生が部室に入ってきた。

「実はな、生徒会の人らが君らに相談したいことがあるんやって」

松本先生に続いて、三人の生徒が部室に入ってきた。一番前にいるのは三年生の女子で、生徒会長の佐々木先輩だった。その後ろに副会長と書記が続いている。

「失礼します」

佐々木先輩が丁寧に頭を下げた。

「問題解決部の皆さん、お忙しい中申し訳ありません」

「いえいえ、どうぞ」

俺は慌てて椅子を用意した。

「他の部員は買い物に行ってるんですが、すぐ戻ってくると思います」

「ありがとうございます」

佐々木先輩が座りながら言った。

「松本先生から、こちらの部活動のことをお聞きして、ぜひ一度ご相談させていただきたくて」

松本先生が俺に向かって言った。

「生徒会の人らがな、今度の学園祭で何かアプリを作りたいんやって。技術的なことで困ってるから、君らに相談してみたらどうやって紹介したんや」

「アプリですか?」

俺が尋ねると、副会長が説明を始めた。

「はい。学園祭をもっと盛り上げるために、来場者向けのアプリを作れないかと考えているんです」

書記の女子が補足した。

「でも、私たちには技術的な知識が全くなくて…。本当に困っているんです」

その時、部室のドアが開く音がした。天野と三上が買い物袋を持って戻ってきた。

「お疲れさまです」

「あ、お疲れさま」

天野が部室の状況を見て、少し驚いたような表情を見せた。

「生徒会の方々ですか?」

「そうや」

松本先生が説明した。

「学園祭のアプリ作成で相談に来てくれてん」

天野と三上が席に着くと、佐々木先輩が改めて挨拶をした。

「改めまして、生徒会長の佐々木です。今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」

「こちらこそ」

天野が答えた。

「具体的にはどのようなアプリをお考えですか?」

副会長が詳しく説明を始めた。

「学園祭の来場者の方々に便利に使っていただけるような、総合的なアプリを考えています」

「イベントのスケジュール表示」

書記が続けた。

「会場の地図、各クラスの出し物の紹介、リアルタイムの混雑状況がわかる機能」

「それから、来場者の方々が感想を投稿できる口コミ機能なども」

佐々木先輩が付け加えた。

俺は話を聞きながら、その規模の大きさに驚いていた。想像していたよりもずっと本格的なプロジェクトだった。

「かなり大掛かりなシステムですね」

俺が感想を述べると、佐々木先輩が申し訳なさそうに言った。

「私たちも調べてみたんですが、思っていたより複雑で…。もしかしたら無謀なお願いかもしれません」

「でも、実現できれば学園祭がもっと楽しくなると思うんです」

副会長が続けた。

「来場者の方々にも、参加者の私たちにも、きっと価値のあるものになると」

三上が質問した。

「開発期間はどのくらいを想定されていますか?」

「学園祭は一ヶ月半後なんですが…」

書記が申し訳なさそうに答えた。

「もちろん、無理でしたら別の方法を考えますので」

「一ヶ月半…」

俺は心の中で技術的な検討を始めていた。データベース設計、サーバー構築、フロントエンド開発、テスト…やるべきことが山ほどある。

天野が俺の表情を見て言った。

「技術的には可能なんでしょうか?」

「うーん」

俺は正直に答えた。

「不可能ではないと思いますが、かなり大変なプロジェクトになります」

佐々木先輩が深く頭を下げた。

「申し訳ありません。やはり無謀なお願いでした」

「いえ、そういうわけでは」

俺は慌てて言った。

「ちょっと時間をいただいて、検討させてもらえませんか?」

「本当ですか?」

佐々木先輩の表情が明るくなった。

「もちろん、無理をお願いするつもりはありません。できる範囲で、ということで」

「検討していただけるだけでもありがたいです」

副会長が言った。

「では、お返事をいただくのはいつ頃…?」

「一週間後でも大丈夫ですか?」

天野が提案した。

「十分に検討させていただいて、お返事します」

「ありがとうございます」

佐々木先輩が再び頭を下げた。

「お忙しい中、本当にありがとうございました」

生徒会の三人と松本先生が帰った後、部室には俺たち三人だけが残された。

「すごいプロジェクトの依頼が来たね」

天野が感想を述べた。

「本格的なアプリ開発ですね」

三上も同調した。

「黒瀬先輩、技術的にはどうなんですか?」

俺は少し考えてから答えた。

「機能を考えると、確かに大変だけど、不可能ではないと思う」

「でも、一人でやるには大きすぎない?」

天野が心配そうに言った。

「そうですね」

俺は頷いた。

「一人だと、かなりきつい」

「だったら、みんなでやればいいじゃない」

三上が提案した。

「私たちも協力できることがあると思います」

「プログラミングは俺がやるとして、それ以外の部分で協力してもらえれば」

俺は可能性を感じ始めていた。

「例えば、学園祭の企画調査とか、他の学校のアプリ研究とか、テストとか」

「それなら私たちにもできそう」

天野が興味深そうに言った。

「面白そうなプロジェクトだし、やってみない?」

その積極的な提案に、俺は少し驚いた。

「でも、責任重大だぞ。学園祭の成功がかかってる」

「だからこそ、みんなでやるのがいいんじゃない?」

天野が続けた。

「一人で背負うより、チームでやった方が安心でしょ?」

三上も同意した。

「私も、ぜひ参加させてください」

「皆がそう言ってくれるなら…」

俺は決意を固めた。

「やってみようか」

「やったー!」

天野が嬉しそうに手を叩いた。

「じゃあ、まずは詳細な計画を立てましょう」

俺はノートを開いて、必要な機能をリストアップし始めた。

「イベントスケジュール、会場マップ、出し物紹介、混雑状況、口コミ機能…」

書き出していくうちに、プロジェクトの全体像が見えてきた。

「かなりのボリュームですね」

三上が感心したように言った。

「でも、段階的に開発していけば何とかなるかも」

俺は作業の優先順位を考え始めていた。

「まず基本機能から作って、余裕があれば応用機能を追加する」

「私は学園祭の企画調査を担当します」

天野が役割分担を提案した。

「どんな情報が必要か、各クラスや部活に取材してみる」

「じゃあ、私は他の学校のアプリを調べてみます」

三上も続けた。

「参考になるデザインや機能があるかもしれません」

話し合いをしているうちに、なんとなく全体の見通しが立ってきた。一人で抱え込むよりも、ずっと現実的で実現可能な計画に思えてきた。

でも、俺の心の中にはまだ不安があった。

生徒会の人たちの期待。学園祭の成功。そして、松本先生からの紹介という経緯。

失敗は許されない。みんなの期待に応えたい。

「和人くん」

天野が俺の表情を見て声をかけた。

「また難しい顔してる」

「そうかな」

「うん。何か心配なことがあるの?」

俺は少し考えてから答えた。

「責任が重いなって思って」

「責任?」

「学園祭の成功がかかってるし、松本先生からの紹介だし」

俺の言葉に、天野の表情が少し心配そうになった。

「確かに大きなプロジェクトだけど、一人で背負う必要はないよ」

「でも…」

「みんなで一緒にやるんでしょ?」

天野が優しく言った。

「だったら、責任もみんなで分け合えばいい」

「そうですよ」

三上も同調した。

「私たちも一緒に責任を持ちますから」

二人の言葉に、俺は少し安心した。

「ありがとう」

「だから、無理しないでね」

天野が念を押すように言った。

「完璧を目指しすぎて、自分を追い込まないで」

その言葉に、俺はドキリとした。確かに、俺は完璧主義的なところがある。特に期待されると、失敗を恐れて自分を追い込んでしまう傾向がある。

「気をつける」

俺は答えた。

でも、心の中では『絶対に成功させなければ』という思いが強くなっていることを、俺自身も感じていた。

部活が終わって帰る道のりで、天野が俺に話しかけてきた。

「和人くん、本当に大丈夫?」

「何が?」

「さっきから、すごく緊張してるように見える」

天野の観察力に、俺は驚いた。

「そんなに顔に出てる?」

「うん。心配してる顔」

天野が立ち止まって、俺の方を見つめた。

「無理しないでって言ったけど、本当に無理しないでよ?」

その真剣な表情に、俺は胸が温かくなった。

「ありがとう。気をつける」

「私たちはいつでも和人くんの味方だから」

天野の言葉に、俺は改めて感謝の気持ちを覚えた。

「一人で抱え込まないで、何でも相談して」

「わかった」

でも、家に帰って一人になると、やはりプレッシャーを感じてしまう自分がいた。

生徒会の期待、学園祭の成功、松本先生からの紹介…

『絶対に失敗したくない』

そんな思いが、俺の心を重くしていた。
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