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しおりを挟むランドルフと別れ、また歩きだした私は中庭にたどりついた。
ここは生徒たちの憩いの場。木や花、それに噴水もある。
天気のいい日にここでお昼ごはんを食べたらすごく気持ちがいいだろう。
けれど会いたくない人がこの場にいると、最悪の気分になるようだ。
「……」
木陰に置かれたベンチ。
そこにとある人物が座っていた。
はぁ……なんでここに来ちゃったんだろう。
あの時左に曲がっておけばよかったのに、私の馬鹿。
気づかれる前に退散しよう。
しかしこういう時は大抵気づかれるパターンが多い。
そして私も例に漏れず気づかれてしまった。
「ダリアローズ!」
……最悪だ。
今まで私の存在なんて気にもしてなかったのに、なんでこういう時は気づくわけ?
「ダリア」
「名前で呼ばないでもらえます?」
名前って不思議だ。どうして好きな人に呼ばれれば嬉しくなるのに、嫌いな人に呼ばれると腹立たしくなるのだろう。
今は腹立たしいを通り越して無だが。
「っ……」
なぜあんたがそんな苦しくて辛そうな表情をするの?
そんな資格なんてないのに。……帰ろう。
私は目の前の男を一瞥し、背をむけ歩き始めようとしたが……
「すまなかった!」
「!」
……今なんて言った?
私の足はその場に縫い付けられたように動けなくなった。
すまなかった?どの口が言っているの?
もうすべてが今さらだということがまだ分からないの?
沸々と怒りが込み上げてくる。
どうやらあの試合だけでは、直ぐに私の怒りは鎮まっていなかったようだ。
「あの時の話……あれは本当のことだったんだな」
「……」
「あのあとお祖父様から手紙が来たんだ。……母上の子はお前だけだと」
「……」
「今さらなのは分かっている!でもどうしてもっと早く話してくれなかったんだ?話してくれていれば……」
「話していればなんだというの?」
「っ!」
どうしてこの男は私の感情を乱すことばかり言うのか。
「私の話なんて聞こうとしたこともないくせによく言うわ」
「それはその、誤解していたからで……」
「はっ!誤解ですって?どの口が言うのかしら。どうせ謝ったのは私にお祖父様との間を取り持ってほしいからでしょう?」
この男が心から反省しているわけがない。
ただ自分のためだけに上辺の謝罪をしただけ。
お祖父様に睨まれるのは恐ろしいもんね?
「そういうつもりじゃ」
「じゃあ一体どういうつもりなの?謝れば許されるとでも?」
「そ、それは……」
呆れた。謝れば許されると思っていたのね。
この私が謝っているのだから許されて当然って?なんて傲慢なんだろうか。
「私があなたを、あなたたちを許すことは決してないわ。それにすべて自業自得でしょ?せいぜい怯えているといいわ」
「そ、そんな!そうしたら私の未来は……」
やっぱり考えているのは自分のことだけね。
でもね、あなたの未来なんて知ったこっちゃないの。だって……
「私とあなたは赤の他人ですから」
「~~っ!」
たとえ血の繋がりがあろうとも、私にとってそれは何の意味もなさない。
「ほ、本当にすまなかった!許してもらえるのならなんだってする!だから……待ってくれ!」
後ろで何か叫んでいるが、私には関係ない。
ようやく動くようになった足を踏み出し、私はこの場をあとにした。
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