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しおりを挟む「それでね、ベル。私の秘密を知った上でなんだけど、ベルさえよければ卒業後にローズ商会で働かない?」
家族を紹介するのが今日一番のメインイベントだったけど、これも重要なイベント。
その名も、アナベルをスカウトしよう大作戦だ。
「えっ!わ、私がですか!?あのローズ商会に!?」
「ええ」
ローズ商会は診療所も運営している。そこでぜひ治癒士として活躍してほしい。
「返事はすぐじゃなくてもいいから、少し考えてみてもらえないかしら」
「……」
あ、あれ?なんか反応が……もしかして嫌だったかな?
「も、もちろん断ってもらっても大丈夫よ?それで私たちの友情がなくなることはないわ」
「……私」
「うん」
「……私なんかでいいんでしょうか?」
うん?
いつもの元気なアナベルじゃない?
それに『私なんか』なんて……まるで自分を否定しているような言葉だ。
アナベルは何か悩みでも抱えているのだろうか。
「もちろんよ。ベルと一緒に過ごすようになってそう思うようになったの。それにきちんと言っておくけど、友達だから声をかけた訳じゃないのよ?」
「え……それじゃあどうして」
「それはね、ベルの人柄や何事にも前向きに取り組む姿勢、それに目標に向かって努力する姿をこの目で見てきたからよ」
ヒロインとして高いスペックを持っていることは最初から知っている。
でもこうして一緒に過ごすようになって、それだけじゃないことを知った。
ヒロインだからじゃない。彼女だからだ。
「ダリア様……」
「無理にとは言わないわ。だから考えてみて……って、どうしたの!?」
きれいな瞳からポロポロと涙を流すアナベル。
泣くほど嫌だったか!?
「も、もしかして嫌だったとか」
「ち、違います!……ぐすっ、その、嬉しいんです」
「嬉しい?」
「はい。こんな私を必要だと言ってくれる人がいるんだって。しかもその人が初めてできた大切なお友達で憧れの人だなんて……本当に嬉しいんです」
「ベル……」
誰にも愛されるはずのヒロイン。
それなのにどうして……
「見た目を気にせずに仲良くしてくれたのは、ダリア様が初めてなんです。……私は幼い頃からこの老婆のようや白い髪と、何色とも呼べない不気味な色の瞳のせいでまわりから距離を置かれてきました」
「!」
言われてみれば、たしかにアナベルのような色を持つ人は他にはいない。
私はアナベルがヒロインだと知っているから気にしたことがなかった。むしろそれが当然だと思っていた。
しかしそれを知らないこの世界の人間から見たら、アナベルは奇異な存在なのかもしれない。
「だからそんな私が学園に入学したとしても、お友達なんてできないだろうなって。それに自分から声をかける勇気もなくて……でもダリア様を見たらどうしてもお友達になりたいと思ったんです」
知らなかった。
まさかあの時、アナベルが勇気を出して声をかけてくれていたなんて。
「そしてダリア様は、私の見た目なんてこれっぽっちも気にせずに仲良くしてくださいました。それだけでも嬉しかったのに、私のことを見てくれて認めてくれて……。それが本当に嬉しいんです」
ベルは涙を拭い、そして微笑んだ。
「ダリア様のお力になりたいとずっと思っていました。私で力になれるのなら、どうぞよろしくお願いします」
その微笑みはとても美しかった。
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