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しおりを挟む「えーもう来ちゃったの?早くない?」
「えーじゃないです!そのだらしない顔と言葉遣いをどうにかしてください!」
「いつもはちゃんと威厳を持って頑張ってるんだから、ちょっとくらいいいじゃ~ん」
「ダリアの前でももう少し威厳を持ってくださいと言ってるんです!」
「うーん……ダリアちゃんが可愛すぎるから無理!」
これは伯父様と、伯父様を連れ戻しにきた伯父様の息子、皇太子アルフィンの会話である。
姿さえ見なければ、誰もこれが現皇帝と次期皇帝の会話だと思わないだろう。
「伯父様、アル兄様、お久しぶりです」
アルフィンは私より五歳年上。
本人からの希望もあって、アル兄様と呼ばせてもらっている。
「ダリアちゃん久しぶり!さぁ再会のハグを」
「何を言ってるんですか!ダリアに無闇に触らないでください!」
そう言ってアル兄様が、私から伯父様を引き離すまでがお決まりの流れである。
あ、別に伯父様のことは好きだよ?
でも毎回これだと、さすがにめんどくさくて。
「さぁ行きますよ」
「えー」
アル兄様が伯父様を連れて部屋から出ていこうとしている。
そこで私は一つ聞きたかったことを思い出した。
「そうだアル兄様。今日はマリーナ姉様はいないの?」
マリーナ姉様はアル兄様の奥さん、つまり皇太子妃だ。
去年アル兄様と結婚したけど、婚約者時代からいつも可愛がってもらっている。
「ん?ああ、城にはいるんだが、マリーナはちょうど孤児院の慰問から帰ってきたばかりなんだ」
「そうだったんですね」
「一瞬で着替えができたらいいのにって文句を言いながら急いで準備しに行ったよ」
一瞬で着替え……いいかもしれない。
マリーナ姉様の発言はなかなか興味深く、これまでも姉様の発言から商品化したものは多い。
何気ない会話の中で『こんなのがあったらいいのにね~』なんて言ったものを試しに作ってみると、まあ売れる売れる。
マリーナ姉様のそれはもはや才能だと思う。
前世の記憶があるわけでもないのにすごいよね。
ローズ商会は利益を得られるし、マリーナ姉様は自分が欲しいと思った物を手に入れることができる。
Win-Winの関係ってやつなのかな。
よし、あとでさっきの話を詳しく聞かないとね。
「ふふっ、分かりました。じゃああと少ししたらマリーナ姉様の分のお茶も用意しないとね」
「あ、じゃあ僕のも」
「父上にそんな時間はありません!」
「そうだぞ。今はお前が皇帝なんだ。しっかり働け」
「そ、そんなぁ~」
なんだかちょっとかわいそうになってきちゃったよ。
それにこれじゃあ仕事が進まなくてみんな困っちゃうよね。……はぁ、仕方ない。
「まぁまぁお二人とも。きちんとお仕事を終わらせてくるのであれば私は構いませんよ」
「ダ、ダリアちゃん……!うん、分かった!頑張ってすぐに仕事を終わらせてくるよ!またすぐあとでね!」
そういうやいなや、伯父様はもうスピードで走り去っていきました。
うん、今日もいい仕事したね!
「父上チョロすぎるだろ……」
「さすがはわしの孫娘だな!」
「ふふふ」
結局このあと、みんなで楽しくお茶を飲みましたとさ。
それから帝国滞在中は、アル兄様と手合わせをしたり、マリーナ姉様との女子会で盛り上がったり、お祖父様とのお出掛けに付いていこうとする伯父様と一悶着あったり……
そんな感じで楽しく充実した日々は、あっという間に過ぎていったのでした。
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