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しおりを挟むそして大会当日。
大会はトーナメント方式で行われるが、つい先ほど初戦の対戦カードが発表された。
(うわっ、攻略対象が三人も)
私のいる山には黒と青と黄色が。赤は別の山で、緑は不参加だ。
当然この大会は『ハナキミ』のイベントだ。
本来なら優勝者とアナベルのイベントが発生することになっている。そう、本来なら!
今のところアナベルと攻略対象たちの間に進展はない。むしろ停滞、いや後退か。
もちろんアナベルが誰かを好きになれば、私は全力で応援する。
でも実際のところ、まともな攻略対象が誰一人としていないという現実だ。
今の攻略対象たちに、アナベルを任せることはできない。
これまでの状況を考えれば、誰が優勝しても恋愛に進展する可能性は限りなく低いと思う。でももしかしたら万に一つがあるかもしれない。
それは避けたい……
そこで私は考えた。
誰にも優勝させなければいいんじゃない?
でもわざと負けてくださいなと頼んでも、はい分かりましたなんて言う人はいない。
じゃあどうするか。
実は簡単で確実な方法が一つだけあった。それは……
(ごめんね、みんな。優勝するのはこの私よ!)
これが私が大会に参加する理由だ。
自分の力を試してみたいとか将来のためとか、そんな大層な理由なんてない。
ただ攻略対象たちにアナベルを任せられないから優勝する、それだけだ。
大会参加者は出番が来るまで控え室で待機になる。そのため他の参加者の試合を見ることはできない。
参加者は以外は見学席で試合を観戦している。ちなみにそこにも、私が作った結界の魔道具が使われているので安全だ。
また騎士団の上層部が有望な人材を探すために見学に来ていたり、大会出場者の家族が応援のに来ていたりと、非常に盛り上がるイベントとなっている。
「さて、まずは初戦ね。相手は――」
私は控え室で、一回戦で戦うことになる相手を思い浮かべた。
--フィンメル・イエロー
上級貴族イエロー家の長男で、黄色の髪に黄色の瞳の腹黒キャラだ。父は王国の宰相であり、母はフィンメルが幼い頃に亡くなっている。現在父と妹の三人家族だ。
フィンメルは宰相である父から、全てを疑うようにと教えられ育っていく。
その結果、表では愛想よく笑顔を振り撒くも、裏では誰も信じられない孤独な人間になってしまう。
ただそんなフィンメルが唯一心を許せたのが病弱な妹。
その妹が外出先で倒れたところを、偶然通りかかったアナベルが助ける。しかしフィンメルはそれを上級貴族に恩を売りたい下級貴族の仕業だと疑い、アナベルに冷たく当たる。
けれどどれだけ冷たく当たろうとも、懸命に妹を看病し続けるアナベルの姿を見て、次第に心惹かれていく……
……これ絶対妹ちゃんの存在がなかったら、フィンメルルートは思い出せなかったよ。
持つべきはかわいい妹である。
少し話が逸れたが、フィンメルは王太子の側近だ。
もしかしたら私は警戒されているかも……まぁ何も問題はないけど。
どうせ私の勝利は確定しているのだから。
「よし、さっさと終わらせよう」
まもなく最初の試合が始まる。
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