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しおりを挟むあのあと何とか試合に間に合い、三回戦に進んだ。
ちょっとギリギリで焦ったけど、メルリルの病気も治ったしよかったよかった。
きっとフィンメルそれに宰相も、魔法のことは黙っててくれるでしょう。
さて、三回戦の相手は~……あいつか。
美少女を助けることができて気分が上がっていたけど、一気に下がった。
あれでも攻略対象だし?同じ山だからいつかは当たるとは思っていたけど、今はそんな気分じゃなかったなぁ。
三回戦の対戦相手は元兄でした。
もちろん私の勝利に変わりはない。ただ元兄を見ると、どうしても気分が悪くなるのだ。
私にとってはただの攻略対象でしかない男だが、幼かった私にとっては、記憶の中にいた数少ない人物。
会ったことはないけれど、兄という存在がいることは知っていた。そして自分と違い大切にされていることも。
同じ父と母から産まれてきたというのに……
試合会場にはすでにダミアンがいて、こちらを睨んでいる。
この状況が気に食わない、そう顔に書いてあるけど、私だって同じですよ?
まぁそんなに気に食わないのなら、さっさと終わらせてあげよう。
しかしそう決めた私だったが……
「……お前さえ産まれてこなければ、みんな幸せになれたんだ」
――プツン
試合が始まる直前、元兄の発した言葉によって、私の中の何かが切れた。次第に怒りが込み上げてくる。
あんなやつに怒りの感情を抱くのは無駄だと頭では理解している。
けれどダメだ。あの言葉は許せそうにない。
さっさと終わらせるつもりだったけど、そのケンカ買ってあげる。せいぜい後悔するといいわ。
「それでは、始め!」
合図と同時に駆け出す。
これまでは相手の攻撃を待っていたけど、今回はそんなことはしない。
「な……ぐっ!」
受け止められるくらいに調節してあげたんだから、まだまだ余裕よね?
「お、お前……」
ふぅん。今の一撃で私との実力さに気づいたみたい。さすが攻略対象ってところか。
でも気づいたところで、どうすることもできないでしょう?
簡単には負けさせてやらない。徹底的に追い詰めてやる。
私は止まることなく剣を振り続けるが、相手は受け止めるだけで精一杯のようだ。
「あなた弱いのね」
「なん、だと!」
「ずいぶん強気な発言が多いからてっきり強いのかと思っていたけど……大したことないのね」
「き、貴様!」
「はぁ、つまらない……あ」
そうだ、いいことを思いついた。
このままただ打ち合いを続けるだけではつまらない。
「ねぇ、ただ剣を受け止めているだけなんて暇でしょう?」
「くっ……」
「だから暇潰しに一つ、面白い話をしてあげるわ」
「なにふざけたことを……ぐっ!」
途中で口を挟まれるのは面倒だな。
打ち込むスピードを上げて、話す余裕をなくしてあげた。
「じゃあよく聞いてくださいね?昔――」
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