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しおりを挟む王太子の執務室にて。
「ねぇ、レイノ。なにかいいことでもあったのかな?」
「……別に、なにも」
「嘘はよくないよ?」
「……アーノルド」
「ん?なんだい?」
「知っててわざと聞いてるだろ」
「えー?そんなことはないよ?」
「嘘つけ」
「まぁ多分?レイノの大好きな幼馴染みとの結婚が決まったからかな~とは思っているけど?」
「……」
アイラス伯爵家から縁談の返事が来たのは昨日のこと。そして今日先ほど父が国王陛下に報告をしたばかりだ。
「あ、やっぱり当たってた?」
「……なんでもう知ってるんだよ」
「なんでって、そりゃあレイノの顔を見れば誰だってわかるよ?」
「顔?」
「そう、顔。いつも護衛中は無表情なのに今日は恐ろしいほど笑顔だから、きっとすごくいいことがあったんだろうなってね!」
「……」
「まぁ正直に言えば、結婚の話は父上から至急連絡が来て知っていただけなんだけどね?」
「……王太子殿下?」
「ははっ。そう怒らないでくれよ。レイノだって僕の妹の護衛任務を出しにしたんだからさ」
「うっ!……すまん」
アーノルドの言う通りで、王女殿下の護衛任務がなければカレンは俺との縁談は断っていたはずだ。だが王女殿下の護衛任務と俺との縁談を天秤にかければ、カレンは間違いなく前者を選ぶことはわかっていた。男としてはとてつもなく情けないが、俺はどうしてもカレンと結婚したかったのだ。
「別に怒ってないよ。まぁウィズバーテン公爵家じゃなければ不敬罪にしていたかもしれないけどね」
「……申し訳ございません」
「ははは。気にするなって。それに僕としてもアイラス嬢が妹の護衛を務めてくれるなら安心さ。なんてったってあのウィズバーテン公爵が認めているんだからね。それに彼女は“美しき天才”にも勝ったこともあるんでしょう?」
「……なんでそれも知ってるんだよ」
「さぁ、なんでだろうね?」
「はぁ……」
主であり友人でもある男に対してため息をつきながら、俺はふとあの日のことを思い出した。
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