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しおりを挟む「それで?結婚が決まったのはめでたいけど、ちゃんと対策は考えているの?」
「……対策?」
「妹の護衛期間は三年だ」
「?それは当然知ってるが……」
「白い結婚」
「っ!」
「白い結婚は三年で成立する。ちょうど妹の護衛期間と同じだね」
アーノルドの言葉に頭を思いきり殴られたような衝撃を受けた。結婚さえしてしまえば、あとは何年かかってでもカレンを振り向かせればいいと思っていたが、三年しか猶予がないことに今さら気がついたのだ。
(護衛期間中は子どもを作ることはできない。ということは必然的に白い結婚になる。そしてその間にカレンを振り向かせることができなければ……)
「離婚、されちゃうかもね?」
「り、離婚……」
「だからそうならないようにちゃんと対策は考えてるの?」
「そ、それは、俺の気持ちをしっかり伝えて……」
「驚くほど言葉選びが下手なのに?」
「うっ」
「ほら、思い出してごらんよ。学園で頑張ってアイラス嬢に話しかけていたことをさ」
「……」
アーノルドに言われ忘れたいと思っていた自分の黒歴史を思い出す羽目になった。
例えば教師にわからないところを質問しているのを見かけたときには、一緒に勉強しようと誘いたかったのに、
『なんだ?こんなのもわからないのか?特別に俺が教えてやってもいいぞ』
『……結構です』
全学年合同のダンスの授業では、カレンが着ていた当時流行りの可愛い系のドレスがカレンの雰囲気とは違っていたので、キレイ系のドレスの方が似合うと言いたかったのに、
『なんだそのドレスは。似合ってないな』
『……そうですね』
カレンが男子生徒と話しているときに、鼻の下を伸ばしている男子生徒に対して警告しただけなのに、
『お前には不釣り合いだ』
『……関係ないのでほっといてください』
と、このようにどうしてもカレンを前にすると素直に言葉が紡げずに失敗ばかりという情けない結果になっていた。
「言葉っていうのは相手に伝わらなくちゃ意味ないからな~」
「……わかってる」
「仕方ない。こうなったら僕がアイラス嬢を絶対に振り向かせるようにやる気を出させてあげようか?」
「っ!遠慮する!」
こういう時のアーノルドは厄介で、自分がやると決めたことはなにがなんでも絶対に実行する男なのだ。ここは断るに限る。
「そう?それは残念」
「……まったく残念そうじゃないが」
「そんなことないよ?まぁ助けが必要な時は言ってくれ。僕はレイノの味方だからね」
「あ、あぁ」
胡散臭い笑顔の王太子には間違っても頼らないと俺はこの日誓ったのだった。
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