対米戦、準備せよ!

湖灯

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★中国大陸★

【大陸の問題①】

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 海軍の場合、世界中のどこに行こうとも定期的に行われるメンテナンスや編成、大演習や観艦式のために必ず日本に戻って来る。

 しかも連合艦隊という組織に誇りを持っているから、功を焦って勝手な行動に及ぶことも考えられないし、まして平時に好き勝手な場所で大砲を撃ったり公海上で気に入らない船が居たとしても勝手に拿捕したりはしない。

 また艦長をはじめ、艦内で個人用の武器を携帯する者も居ないので上官からの鉄拳制裁という好ましくない行為はあっても、部下が上官にそのような行為に及ぶことは滅多にない。

 条約派と艦隊派という考え方の違いはあるものの、連合艦隊という組織のもとで非常に統制のとれた軍隊と言える。



 ところが陸軍は違う。

 上官への暴行脅迫事件は多く、年々増え続けて居る傾向にある。

 また本国から離れた部隊の司令官や参謀は敵対する勢力に近いという環境もあるが、攻撃・暗殺・策略といったことを本国に通達もせず勝手に実行してしまうことも多く統制がとれているとは言い難い。

 上手くいけば自分の手柄で、失敗すれば全て部下に責任を押し付けることがまかり通り、時には証拠を隠滅するために部下に自決を促す場合もある。

 それが陸軍流の出世術。

 これには然るべき調査や責任の所在を明確にしない上層部の責任もある。



 以前、柳生さんから、どうして相沢事件が起こる前に永田鉄山を救わなかったのかと問われたことがある。

 相沢事件とは、陸軍の統制派である永田中将が相沢大佐に暗殺された事件。

 たしかに永田中将は統制派ではあるが、海軍の条約派のように慎重であるとも思えないし信用に値するかは分からない。

 なぜなら戦争を泥沼へと導いてしまった東条英機も、この陸軍の統制派の1人だったから。

 それに事件を回避することは簡単ではないけれど出来ない事もないが、個人の生死を回避することは難しい。

 なぜなら、その人物の人間関係はもちろん、誰に恨まれているかなど当の本人すら知らない場合も多いから。



 とにかく二・二六事件は未然に防ぐことはできたが、多くの陸軍士官と面談して話し合った末に相手を納得させて得られた成果ではない以上、先方には腸の煮え返る思いをしている輩も多いだろうから今後も陸軍の動きには注意しなければならない。



 この年(昭和11年)8月から9月にかけて中国で『成都事件』『北海事件』『漢口邦人巡査射殺事件』『上海日本人水兵狙撃事件』と4件の日本人殺害を目的とした抗日事件が起きた。

 そして暮れには、張学良・楊虎城らによって国民政府軍委員長の蔣介石が拉致・監禁される『西安事件』が勃発し、翌年の7月には盧溝橋事件が発生して、中国大陸で泥沼の戦いが始まる。



 未来の情報が正しければ、西安事件を裏で操っていたのはスターリンだと言う説もあり、盧溝橋事件は現地の関東軍が故意に仕組んだ疑いがある。

 関東軍は本国の目が届かない事を利用して、満州において張作霖爆殺事件(1928年(昭和3年)6月4日)や、満州事変の発端となる柳条湖事件(1931年(昭和6年、民国20年)9月18日)を引き起こし、これは当時の若槻内閣による不拡大方針を無視するかたちとなり日本を世界から孤立させる要因となった。



 折角、いま貿易面でアメリカとの良好な関係が築きつつある矢先に、陸軍にまた暴走されてはたまらない。

 中国、満州、朝鮮……この3つの地域から陸軍を排除しない限り、対米戦争は避けられないだろう。



 更にこの大陸問題はただ単に陸軍を排除すれば良いと言う簡単な問題ではなく、欧米の利益に関わる問題も大きい。

 つまり日本と中国が仲良くなってしまうと、そこに欧米の資本が入りにくくなり中国と言う利権の殆どを日本に持って行かれてしまう恐れがあると言う事。

 特にアメリカのルーズベルトは、これを危惧して日本を目の敵にした外交を繰り返しているのだろう。

 でなければ共産主義者のどちらか。

 なぜなら反共の蒋介石が同じ反共の我が国と戦い続けることで喜ぶのは、毛沢東の率いる中国共産党だから。

 その中国共産党は、中国奥地に隠れるように日本軍とは戦いを避けている。

 史実どおり進めば、日本の敗戦後、蒋介石の国民党軍は毛沢東の共産党軍に敗れて台湾に新しい国を作ることになる。



 反日の中国が、親日の民主主義国家になったとすれば、国防面だけでなく貿易面においても日本の未来は明るくなることだろう。
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