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★中国大陸★
【盧溝橋要塞①】
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鈴木は、そう言って去って行った。
たしかに鈴木の言う通り。
原も濱口も犬養も暗殺されることでやろうとしていたことは出来なくなり、暗殺されたことで引き継ぐものも二の足を踏むこととなり、結局軍部の思い通りに事が進むようになってしまった。
せっかく未来を知った上で過去を変えるためにこの時代に来たというのに、同じ道を歩んでしまったのでは仕方がない。
だが、どうする?
一応、二・二六事件と、自動車製造事業法は止めることができ、それによって少しは国民の暮らしも豊かになり国民の政治に関する意識も上げることはできた。
一番大きなことは二・二六事件で死ぬはずだった斎藤、高橋、そして瀕死の重傷を負った鈴木も健在だということ。
そしてその斎藤内閣は今も続いているという事。
満州国の支配が戦争を回避するには必須なのは、元の歴史で米国から突きつけられたハルノートにも書かれている通りなので間違いないし、仮にコレを上手く乗り切れたとしてもソビエトから悪知恵を授けられた中国共産党軍は確実に歴史通りに動く。
そして逃げる中国共産党軍を追った関東軍は、そのまま広大な中国大陸での戦いに呑み込まれてしまう。
だから私は満州国からの撤収を唱えて回ったが、それには誰の賛同も得られなかった。
満州は元々清が支配していた領土で、1858年に締結されたアイグン条約によりその一部がロシアに割譲され、日露戦争後の満洲善後条約により我が国が1952年8月4日まで割譲を受ける事になった。
つまり日本の軍事的介入により樹立した満州国独立は、1952年以降もこの地を日本が支配する目的のために作られた国で、これは明らかに満洲善後条約の反故を目的とする行為とみなされる。
ただ満州を捨てると言う事も、国策として既に多くの日本人が開拓のためにこの地に入植しているために簡単に捨てることも難しいことは確かで、満州国さえなければ1952年までおとなしくこの地に豊富にある石油や鉄鉱石の採掘、広大な土地を利用した農産物の収穫を続けながら自然発生的に独立政権樹立を目指すべきだったがソレも今では叶わない。
では、この満州をどうしたものか……。
国策としては不拡大方針を貫くしかないが、史実なら来年7月に盧溝橋事件が発生し、この事件をきっかけに日本は中国との戦争へと向かう。
鈴木貫太郎侍従長にアドバイスを受けたことも含めて、どう考えても名案は浮かばない。
やはり私一人では無理なのかもしれないと思い、議員会館を出て戻ることにした。
柳生さんは平和なはずの未来から来たくせに、何故か打倒アメリカに燃える意識が強いから相談しても無駄だろうけれど、薫さんはそれほど戦争自体には興味がなさそうなので相談に乗ってくれるかもしれない。
考えながら歩いていると、いつの間にか大本営のある市谷に来ていた。
とりあえず報告書でも書いて帰らなければ、と思い、中に入ると廊下で立ち話をしている海軍軍令部の二人組がいた。
彼らは何やら廃艦にして日本郵船に売却した戦艦『扶桑』の事について上司から難題を突き付けられたらしく、お互いにその処理について話していた。
「おい、どうする?」
「どうするもなにも高角砲と機関砲は引く手あまたであるが、主砲と15センチ砲はどうも……」
「また対馬に引き取ってもらうか?」
どうやら自動車運搬船になった『扶桑』と『山城』の主砲と副砲の処理について話しているらしい。
主砲の45口径四一式36cm砲は二艦合わせて24門。
副砲の15cm単装砲は32門もある。
合計56門ともなると、受け入れ先にも困るだろう……。
“いや、手はある‼”
政府の不拡大方針と合わせるなら、逆にコレしかない!
“要塞化だ!”
現在の兵力のまま要塞化を進めれば、当然守備に必要な人数に多くを割かれ、外に出る人数は減る。
しかも要塞化によって、敵対する勢力も攻撃しにくくなる。
盧溝橋事件が陸軍の言う通り、中国が仕掛けて来たことに発端があるとしても、その部分さえも城壁に覆われた要塞にしてしまえば仕掛けようにも手は出せないはず。
そして関東軍が仕掛けたとすれば、それは四六時中敵と対峙し続ける精神的な苦痛もあったことが要因かもしれない。
要塞を造ることで、そういった苦痛から少しでも逃れることが出来れば、早まったこともしないだろうし、誤った判断もしないはず。
陸地における45口径四一式36cm砲の利用については少々疑問もあるが、柳生さんに相談すればなにか良い方法が見つかるかもしれない。
たしかに鈴木の言う通り。
原も濱口も犬養も暗殺されることでやろうとしていたことは出来なくなり、暗殺されたことで引き継ぐものも二の足を踏むこととなり、結局軍部の思い通りに事が進むようになってしまった。
せっかく未来を知った上で過去を変えるためにこの時代に来たというのに、同じ道を歩んでしまったのでは仕方がない。
だが、どうする?
一応、二・二六事件と、自動車製造事業法は止めることができ、それによって少しは国民の暮らしも豊かになり国民の政治に関する意識も上げることはできた。
一番大きなことは二・二六事件で死ぬはずだった斎藤、高橋、そして瀕死の重傷を負った鈴木も健在だということ。
そしてその斎藤内閣は今も続いているという事。
満州国の支配が戦争を回避するには必須なのは、元の歴史で米国から突きつけられたハルノートにも書かれている通りなので間違いないし、仮にコレを上手く乗り切れたとしてもソビエトから悪知恵を授けられた中国共産党軍は確実に歴史通りに動く。
そして逃げる中国共産党軍を追った関東軍は、そのまま広大な中国大陸での戦いに呑み込まれてしまう。
だから私は満州国からの撤収を唱えて回ったが、それには誰の賛同も得られなかった。
満州は元々清が支配していた領土で、1858年に締結されたアイグン条約によりその一部がロシアに割譲され、日露戦争後の満洲善後条約により我が国が1952年8月4日まで割譲を受ける事になった。
つまり日本の軍事的介入により樹立した満州国独立は、1952年以降もこの地を日本が支配する目的のために作られた国で、これは明らかに満洲善後条約の反故を目的とする行為とみなされる。
ただ満州を捨てると言う事も、国策として既に多くの日本人が開拓のためにこの地に入植しているために簡単に捨てることも難しいことは確かで、満州国さえなければ1952年までおとなしくこの地に豊富にある石油や鉄鉱石の採掘、広大な土地を利用した農産物の収穫を続けながら自然発生的に独立政権樹立を目指すべきだったがソレも今では叶わない。
では、この満州をどうしたものか……。
国策としては不拡大方針を貫くしかないが、史実なら来年7月に盧溝橋事件が発生し、この事件をきっかけに日本は中国との戦争へと向かう。
鈴木貫太郎侍従長にアドバイスを受けたことも含めて、どう考えても名案は浮かばない。
やはり私一人では無理なのかもしれないと思い、議員会館を出て戻ることにした。
柳生さんは平和なはずの未来から来たくせに、何故か打倒アメリカに燃える意識が強いから相談しても無駄だろうけれど、薫さんはそれほど戦争自体には興味がなさそうなので相談に乗ってくれるかもしれない。
考えながら歩いていると、いつの間にか大本営のある市谷に来ていた。
とりあえず報告書でも書いて帰らなければ、と思い、中に入ると廊下で立ち話をしている海軍軍令部の二人組がいた。
彼らは何やら廃艦にして日本郵船に売却した戦艦『扶桑』の事について上司から難題を突き付けられたらしく、お互いにその処理について話していた。
「おい、どうする?」
「どうするもなにも高角砲と機関砲は引く手あまたであるが、主砲と15センチ砲はどうも……」
「また対馬に引き取ってもらうか?」
どうやら自動車運搬船になった『扶桑』と『山城』の主砲と副砲の処理について話しているらしい。
主砲の45口径四一式36cm砲は二艦合わせて24門。
副砲の15cm単装砲は32門もある。
合計56門ともなると、受け入れ先にも困るだろう……。
“いや、手はある‼”
政府の不拡大方針と合わせるなら、逆にコレしかない!
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しかも要塞化によって、敵対する勢力も攻撃しにくくなる。
盧溝橋事件が陸軍の言う通り、中国が仕掛けて来たことに発端があるとしても、その部分さえも城壁に覆われた要塞にしてしまえば仕掛けようにも手は出せないはず。
そして関東軍が仕掛けたとすれば、それは四六時中敵と対峙し続ける精神的な苦痛もあったことが要因かもしれない。
要塞を造ることで、そういった苦痛から少しでも逃れることが出来れば、早まったこともしないだろうし、誤った判断もしないはず。
陸地における45口径四一式36cm砲の利用については少々疑問もあるが、柳生さんに相談すればなにか良い方法が見つかるかもしれない。
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