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★ノモンハン事件★
【ノモンハン要塞】
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(チハ改)
次の日の遅い朝に、ようやく私たちの移動許可が下りた。
きっと私の到着が遅い事を心配した石原が、問い合わせてくれたのだろう。
私は薫さんと共に、資材と工兵で満載になったトラックの荷台に乗る。
途中何人かの兵が私たちに話しかけてきたが、薫さんが聾啞だと知るとそこからは誰も話しかけて来なくなった。
彼らの表情には、なんで聾啞者が車に乗るんだというような差別的な表情をとる者もいたが、大本営の少佐が連れている外交官の書記官だと分かると、そういった差別的な態度を見せる者も居なくなり夕方前には無事前線基地に到着した。
前線基地と言ってもここは国境の要衝だったので、柳生さんが要塞を構築してくれていた。
要塞には扶桑型戦艦2隻から取り外した15㎝砲と砲身を短く切って曲射砲となった35㎝砲が装備されていた。
「よう! 来たな。薫まで連れて来たのか⁉」
「いえ……」
「まあ、薫に来るなと言う方が、この戦争に勝つよりも難しいな」と、私の返事ですぐに事情を理解してくれた。
何も話さない薫さんを不審に思った柳生さんに、喧嘩でもしたのかと言われたので、聾啞者を装っている事情を話した。
「まあ、この時代は色々と難しいからな」
丘の上にある司令部に向かう時、丘の下に幾つものトンネルが掘られていることに気付き、中を覗くとそこにはチハの砲塔を撤去した車体に戦車砲を直接搭載したチハ改突撃砲と、長砲身の47mm対戦車砲を装備した新型の九七式突撃砲戦車がトンネルごとに何台も格納されていた。
この戦車ならソビエト軍のBT-5やBT-7に十分対抗できる。
そしてよく見るとトンネルは外周沿いに丘に登ってゆく道の上の段にもあり、そこには各種車両が格納されていた。
その数は驚くほど多く、私が前に居た時代の軽く10倍くらいはあるに違いない。
ここ最近、政治や軍事の情勢に振り回されていて気付かなかったが、ここまで日本の経済力と工業力が進んでいるとは思ってもいなかった。
しかし前史では、この昭和12年の国家予算に占める軍事費の割合は69%。
現在はそれを30%に抑えているのだから、経済や工業の発展に注ぎ込める。
しかも経済が上手く回れば国家予算の規模も上がるから、今の30%は前史の50%を軽く超える予算額となっている。
やはりこの時代のアメリカを見るように、経済力なくして軍事力は上げられない。
「さあさあ、案内はココまで。石原閣下がお待ちかねだぞ!」
ひととおり要塞を外から案内してくれた柳生さんが、私たちを急かすように言った。
この丘の外周道路をグルグル回って、司令部は頂上にあるのかと思っていたら、柳生さんが案内したのは小さな地下に通じるトンネルだった。
もちろんトンネルの入り口には番をする兵隊が居たが、私たちはフリーパス。
柳生さんがここで培った仕事を通して、皆の信頼を得ているのがよく分かる。
地下の通路にあった幾つかの警備室を抜けると、最後にエレベーターホールが現れ、私たちはソレに乗ることになった。
ここで初めてボディーチェックが行われ、私たちは拳銃や凶器になる刃物などを持っていないかチェックされた。
ボディーチェックに例外は無く、まず柳生さんがチェックを受け、次に私が受け、最後が薫さん。
“ヤバイ、薫さんの男装がバレるかもしれない”
見た目は男性に見えるが、触感は違う。
いくら痩せていても、女性には皮下脂肪が多いので、触った感じはどこも柔らかい。
薫さんも痩せてはいるが、胸とお尻、そして太ももの触感はもう蕩けるほど柔らかい。
そのことは私も昨夜知ったばかりだが……。
いよいよ薫さんの番が来た。
努めて気にしないようにするが、やはり気になって仕方ない。
ボディーチェックで男装がバレてしまうかもしれないことを危惧していたわけだが、いざボディーチェックのために担当の兵士に触られているのを見ていると、なんだか腹が立っている自分に気がついた。
“気安く薫さんに触るんじゃねえ!”
心の中で担当の兵士に向かって、そんな汚い言葉を浴びせている自分を情けなく思った。
担当の兵士は一旦胸の辺りで不審な顔をして手を止めたが、そこからは何の問題もなく徐々に下の方にチェックの手を移動させ、お尻も無事に通り過ぎたあと太ももの辺りで再び手を止めた。
“な、なに?……‼”
まさか、ある筈の物が無い事に気付いたのか⁉
なんてことだ!
ダミーを入れておくように言っておけばよかった。
チェックを終えた担当者が私の方に歩み寄る。
柳生さんも緊張した顔で移動する担当者を目で追っていて、私たち2人は必死に平然を装っていた。
担当者が私の前で止まり、そして言った。
「ご同行の方の件なのですが」
「はい、何か問題でも?」
「私は大学で医学を学んでいたのですが、」
“あー終わった” と、そう観念した。
「一見痩せているように見えますが、肥満体ですので聾唖者とは言え、支障のない程度で構いませんから運動をして皮下脂肪を落とすように言ってあげてください」
「あ、はい。わかりました……」
その後、無言でエレベーターに乗ったあと、私と柳生さんの2人が学生時代のように騒いでしまったのは言うまでもない。
次の日の遅い朝に、ようやく私たちの移動許可が下りた。
きっと私の到着が遅い事を心配した石原が、問い合わせてくれたのだろう。
私は薫さんと共に、資材と工兵で満載になったトラックの荷台に乗る。
途中何人かの兵が私たちに話しかけてきたが、薫さんが聾啞だと知るとそこからは誰も話しかけて来なくなった。
彼らの表情には、なんで聾啞者が車に乗るんだというような差別的な表情をとる者もいたが、大本営の少佐が連れている外交官の書記官だと分かると、そういった差別的な態度を見せる者も居なくなり夕方前には無事前線基地に到着した。
前線基地と言ってもここは国境の要衝だったので、柳生さんが要塞を構築してくれていた。
要塞には扶桑型戦艦2隻から取り外した15㎝砲と砲身を短く切って曲射砲となった35㎝砲が装備されていた。
「よう! 来たな。薫まで連れて来たのか⁉」
「いえ……」
「まあ、薫に来るなと言う方が、この戦争に勝つよりも難しいな」と、私の返事ですぐに事情を理解してくれた。
何も話さない薫さんを不審に思った柳生さんに、喧嘩でもしたのかと言われたので、聾啞者を装っている事情を話した。
「まあ、この時代は色々と難しいからな」
丘の上にある司令部に向かう時、丘の下に幾つものトンネルが掘られていることに気付き、中を覗くとそこにはチハの砲塔を撤去した車体に戦車砲を直接搭載したチハ改突撃砲と、長砲身の47mm対戦車砲を装備した新型の九七式突撃砲戦車がトンネルごとに何台も格納されていた。
この戦車ならソビエト軍のBT-5やBT-7に十分対抗できる。
そしてよく見るとトンネルは外周沿いに丘に登ってゆく道の上の段にもあり、そこには各種車両が格納されていた。
その数は驚くほど多く、私が前に居た時代の軽く10倍くらいはあるに違いない。
ここ最近、政治や軍事の情勢に振り回されていて気付かなかったが、ここまで日本の経済力と工業力が進んでいるとは思ってもいなかった。
しかし前史では、この昭和12年の国家予算に占める軍事費の割合は69%。
現在はそれを30%に抑えているのだから、経済や工業の発展に注ぎ込める。
しかも経済が上手く回れば国家予算の規模も上がるから、今の30%は前史の50%を軽く超える予算額となっている。
やはりこの時代のアメリカを見るように、経済力なくして軍事力は上げられない。
「さあさあ、案内はココまで。石原閣下がお待ちかねだぞ!」
ひととおり要塞を外から案内してくれた柳生さんが、私たちを急かすように言った。
この丘の外周道路をグルグル回って、司令部は頂上にあるのかと思っていたら、柳生さんが案内したのは小さな地下に通じるトンネルだった。
もちろんトンネルの入り口には番をする兵隊が居たが、私たちはフリーパス。
柳生さんがここで培った仕事を通して、皆の信頼を得ているのがよく分かる。
地下の通路にあった幾つかの警備室を抜けると、最後にエレベーターホールが現れ、私たちはソレに乗ることになった。
ここで初めてボディーチェックが行われ、私たちは拳銃や凶器になる刃物などを持っていないかチェックされた。
ボディーチェックに例外は無く、まず柳生さんがチェックを受け、次に私が受け、最後が薫さん。
“ヤバイ、薫さんの男装がバレるかもしれない”
見た目は男性に見えるが、触感は違う。
いくら痩せていても、女性には皮下脂肪が多いので、触った感じはどこも柔らかい。
薫さんも痩せてはいるが、胸とお尻、そして太ももの触感はもう蕩けるほど柔らかい。
そのことは私も昨夜知ったばかりだが……。
いよいよ薫さんの番が来た。
努めて気にしないようにするが、やはり気になって仕方ない。
ボディーチェックで男装がバレてしまうかもしれないことを危惧していたわけだが、いざボディーチェックのために担当の兵士に触られているのを見ていると、なんだか腹が立っている自分に気がついた。
“気安く薫さんに触るんじゃねえ!”
心の中で担当の兵士に向かって、そんな汚い言葉を浴びせている自分を情けなく思った。
担当の兵士は一旦胸の辺りで不審な顔をして手を止めたが、そこからは何の問題もなく徐々に下の方にチェックの手を移動させ、お尻も無事に通り過ぎたあと太ももの辺りで再び手を止めた。
“な、なに?……‼”
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ダミーを入れておくように言っておけばよかった。
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「はい、何か問題でも?」
「私は大学で医学を学んでいたのですが、」
“あー終わった” と、そう観念した。
「一見痩せているように見えますが、肥満体ですので聾唖者とは言え、支障のない程度で構いませんから運動をして皮下脂肪を落とすように言ってあげてください」
「あ、はい。わかりました……」
その後、無言でエレベーターに乗ったあと、私と柳生さんの2人が学生時代のように騒いでしまったのは言うまでもない。
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