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★第2次ノモンハン事件★
【試作機『隼』と、97式突撃砲の実戦投入】
しおりを挟む<4月17日AM6:00:ノモンハン要塞、石原中将>
午前6時、ノモンハン要塞に第7師団が到着。
第7師団は、直ぐに前線には投入せず、しばらくここで待機させた。
午前7時、西の空に敵の機影。
昨夕を上回る300機近い大編隊。
爆撃機の護衛に、今度は複葉機のI-15ではなく、単葉機で引き込み式の脚を持つI-16が付いていた。
稀に見る、不細工な機体。
すぐにアルクサン・イエルシにある飛行場からキ-27Ⅱ(97式戦闘機改)24機が飛来し、後方の基地からも16機のキ-27と試作戦闘機の『隼』22機が合流し合計62機態勢で迎撃に入る。
敵爆撃機の主力は、またしても足の遅いTB-3。
護衛戦闘機のI-16は、高性能のキ-27Ⅱと隼が対応し、エンジンを換装していない旧型のキ-27がTB-3の迎撃に専念した。
I-16は、そのズングリとした機体に似合わず複葉機のI-15より速度も優れ運動性能もよかったものの、発動機を新型のハ25(離昇990馬力)に換装したキ-27Ⅱや、更にそのハ25を改造したハ115(離昇1,150馬力)を搭載した隼の前では圧倒的に性能は劣り、日本軍機に後ろに付かれては急降下で逃げ惑うばかり。
特に未だ正式採用前の実戦テストに投入された隼は高速で、かつ運動性にも優れ、敵のI-16に全く付け入る隙を与えないまま面白いように次々に撃墜していた。
それは迎撃と言うより、まさに殺戮と形容した方があっているほどの一方的なものだった。
やがて遅れて来た味方機がやって来て数的に敵の航空戦力とほぼ同数になると、ソビエト軍航空機は見ていて哀れに思えるほど次々に炎を上げ地上に落ちていく。
我が方のパイロットたちも余裕があるのか、ワザワザ敵の航空機が味方の地上部隊が居るエリアに落ちないようにコントロールして撃墜しているものだから、敵の航空機はまるで我が軍の航空爆弾のように渡河作戦中の自軍の陣地付近に墜落して味方であるソビエト軍に損害を与えていた。
爆撃機を中心とする敵の航空部隊は、我が方に軽微な損害を与えたのみで、運良く我が軍の戦闘機から逃れることのできた僅かな数だけがモンゴルの大地に向けて消えていった。
<AM6:30:ノモンハン要塞、石原中将>
空からの攻撃が一旦終わった頃合いを見て、97式突撃砲を出動させることにした。
97式突撃砲はすぐに出発したが、第7師団は燃料と水などの補給を済ませてから出発させた。
慌ただしく補給が行われている中、柳生が航空機用の新兵器の調整をするために後方の航空基地へと向かった。
第7師団は第23師団の左手に展開して敵部隊の侵攻を止め、97式突撃砲部隊は23師団の右翼となる北側から土塁を回り込んで来る敵部隊の対応に当たらせた。
上空には我が方の偵察機3機が戦局を探るため、護衛の戦闘機に囲まれながらやって来た。
<AM9:00:97式突撃砲部隊>
第23師団の前面にある土塁を避け、北側から回り込んできた敵の戦車部隊と、それを待ち伏せていた我が軍の97式突撃砲部隊との間に戦闘が起きた。
待ち伏せていたため、最初はこちら側の一方的な砲撃で始まる。
同じ車体を使うチハの57㎜戦車砲では短砲身(18.4口径)のため、砲口初速は350m/sと非常に遅いため、距離や角度によっては敵BT-5戦車の装甲板を貫くことが難しい場合もある。
97式突撃砲に搭載している47㎜砲は速射砲として使用されている47㎜砲の砲身長を53.7口径から60口径に変更してあるので砲口初速は900m/sと早く、BT-5の平均的な15㎜~20㎜の装甲なら距離2000mからでも容易に射貫くことが出来る。
スペック通り、97式突撃砲は次々に敵戦車に砲弾を当て、平原には無数の黒い煙が立ち上がる。
しかも突撃砲は背が低いので中々見つけることが出来ずに戦場の真っただ中でウロウロしてしまう戦車もあり瞬く間に敵の戦車隊は大混乱に陥り、挙句の果てには対戦車砲による攻撃と思い込み徹甲弾から炸裂弾に切り替えて応戦するものだから命中弾を受けたとしても突撃砲はかすり傷も負うことはなかった。
もっともたとえ徹甲弾を使用してもBT-5戦車に搭載されている45mm戦車砲では、27度の傾斜角で張られている30㎜の鋼板を撃ち抜くことは叶わないだろう。
97式突撃砲はたった36輌しかなかったが、戦車と装甲車を合わせて300輌前後もある敵部隊の側面からその半数近くの戦力を削ぐことに成功し、こちらの損害は2輌が履帯に損傷を受けて行動不能になっただけ。
ある程度予想はしていたものの、その予想をはるかに超える大勝利!
だが97式突撃砲も万能ではない。
従来の戦車であれば、混乱した敵戦車に対して近接攻撃を試みて更に打撃を与える所だが、回転砲塔を持たない突撃砲は近接戦では逆に不利になるだけ。
敵の歩兵も追いついてきたところで、履帯を損傷した2輌も牽引して、97式突撃砲は砲弾の補充も兼ねてAM11:30に予定通り一旦退却した。
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