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糾弾の天使。
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其所は、何も無い処だった。有るのは、荒れ果てた大地。五人の男がゆっくりと、馬を走らせていた。どの男も、黒に近い髪色を持っている。先頭の男は漆黒の髪を靡かせた、美丈夫で有った。その男の前には、一人の黒髪の男の子が乗っている。
「ここが、ランドール公爵領? 」
五歳位の男の子は、後に居る父親を見上げた。
「そうだ、ここがお前が納める事となるランドール公爵領だ。」
父親は馬を、走らせる。
暫く行くと、低い石垣の様な物が見えてくる。
「あれが、ランドの町だ。」
町と言うには、余りにも小さい場所であった。むき出しの土の上に、石の家が建っている。人の姿は少なく、老人か子供が多かった。たまに見る、働き手の年の者は何処かしら躰の一部を無くしていた。
其れなのに、馬に乗った男セラム・ランドール公爵に頭を下げて挨拶をして来るのだった。男の子は、父親の胸に顔を埋めて泣いた。
「セルビィ、顔を上げて しっかり観るんだ。」
父親は、男の子に言った。男の子は、父親の胸に顔を擦り付けて首を振った。
公爵家に着いた、一行は荷物を降ろして掃除をしていた。公爵家と言っても、王都の屋敷と違い王都の人が観れば『小さな宿屋』にしか見えない。その公爵家の二階の窓から、男の子セルビィは外を見詰めていた。遙か彼方に、岩山が見える。その後で、父親のセラムはため息を付いた。
「少し、刺激が強かったか。まだ、早かったか。」
「仕方ない。セルビィは、王都育ち。この状況に、驚いているんだろう。」
セラムの右腕と言われる、幼馴染みの兵士のボルトは言った。
「だが、判って貰わねばならん。俺が名ばかりの公爵だと、言う事を。」
セラムは拳を、握った。
父親に気付いた、セルビィは ことこと と二人の前までやって来た。下から見上げるながら、聞いた。
「とお様。ねえ様は、この事を知ってるの? 」
黒い瞳を、うるうる させて首を傾げる。
余りの可愛らしさに、二人は抱き締めたくなった。
「ああ。セルビアは、知っている。」
「ては、あのあほの子との婚約は ここのため? 」
セラムは、息子の頭を撫でて、哀しそうに言った。
「ああ、そうだ。」
「ねえ様は、優しいから。」
そう呟いて、セルビィは下を向いた。
傍にいたボルトは、親に似ず『聡い子』だなと感心した。セルビア嬢と良い、セルビィ坊と良い 子供にしては、哀しいくらい『聡い子達』そう思い目を伏せた。
「ては、ここが 良くなれば ねえ様は あのあほの子と結婚しなくて 良いのですね。とお様。」
目を きらきら させて、聞いてくるセルビィに二人の大人は哀しそうに頷いた。
「ああ、そうだな。」
その答えを聞いた時、セルビィは満面の笑顔を輝かせた。その笑顔に、二人は心を貫かれた。
「はふっ、天使!! 」
「俺の子は、なんでこんなに可愛いんだ!! 」
「ああ、お前に似ず本当に良かったぜ。」
ボルトは、哀しそうな顔でセルビィを見る。
(面差しも、優しい性格も、聡い処も、二人共 総てセーラにそっくりだ。)
セーラ・ランドール。
セラムの妹で、皆を飢えから救う為にその身をオースト国に捧げた。優しい娘であった。ボルトとは幼馴染みであり、彼は彼女に恋心を抱いていた存在であった。今は亡き、美しい女性。
「それて、とお様。ぐたい的に、なにが足りないのてす。」
「えっ!? 」
『具体的』と言う難しい単語が出て来て、二人の大人は驚いた。
「とお様。なにが、足りないのてす。」
ぐいぐい と、セルビィは聞いて来る。
「なにが、足りないのてす。ぼると様。」
首を傾げて、聞いて来る。
「はふっ、天使!! 」
「とお様、ぼると様。」
セルビィは、応えない二人に頰を膨らました。其れもまた、愛らしい。
「なにが、足りないのてす。」
「ああ、水かな。」
「そうだな、水だな。」
ボルトが応えると、セラムも頷いた。
「みす、てすか。」
やっと答えを聴けて、セルビィは笑った。
「はふっ、天使!! 」
セルビィの笑顔に 二人の大人は、悶えた。
とととととっ と、セルビィは窓辺へ駆けていって外を指差した。その指の先には、黒い岩山が有る。
「とお様。あそこまて、連れていって下さい。」
窓辺で、ぴょんぴょん跳びながら急かす。
「はふっ、天使!! 」
大人の二人は、メロメロになりながらセルビィの傍に寄った。
「はやく、はやく。」
急かすセルビィに、微笑みながら抱き上げる。
「俺は、馬の用意をして来る。」
そう言って、ボルトは階段を降りていった。
「あそこら辺は、少し寒いから ちゃんと準備をして行こうな。」
「はい、とお様。」
セルビィは、父親の首に抱き付いた。
「はふっ、天使!! 」
セラムは、息子の可愛らしさに悶えた。
セルビィは、父親に抱き付着ながら窓の外の岩山を観ていた。
「ねえ様、待ってて下さい。あのあほの子と結婚なんて ぜったいさせないから。」
セルビィは、子供とは思えない妖しい顔で微笑んだ。
「ねえ様は、ぼくが たすけてみせます。」
セルビィ 五歳にして、姉セルビアをオースト国から救うべく画策を始める。
「ますは、この国を良くして。つきは、ねえ様を。」
父親を抱く手に、力がこもる。
「ぜったい、ぜったい。たすけてみせます。まっててね、ねえ様。」
その笑顔は、糾弾の天使の様に可愛らしく恐ろしかった。其れは、オースト国の崩壊の始まりでも、あった。
「ここが、ランドール公爵領? 」
五歳位の男の子は、後に居る父親を見上げた。
「そうだ、ここがお前が納める事となるランドール公爵領だ。」
父親は馬を、走らせる。
暫く行くと、低い石垣の様な物が見えてくる。
「あれが、ランドの町だ。」
町と言うには、余りにも小さい場所であった。むき出しの土の上に、石の家が建っている。人の姿は少なく、老人か子供が多かった。たまに見る、働き手の年の者は何処かしら躰の一部を無くしていた。
其れなのに、馬に乗った男セラム・ランドール公爵に頭を下げて挨拶をして来るのだった。男の子は、父親の胸に顔を埋めて泣いた。
「セルビィ、顔を上げて しっかり観るんだ。」
父親は、男の子に言った。男の子は、父親の胸に顔を擦り付けて首を振った。
公爵家に着いた、一行は荷物を降ろして掃除をしていた。公爵家と言っても、王都の屋敷と違い王都の人が観れば『小さな宿屋』にしか見えない。その公爵家の二階の窓から、男の子セルビィは外を見詰めていた。遙か彼方に、岩山が見える。その後で、父親のセラムはため息を付いた。
「少し、刺激が強かったか。まだ、早かったか。」
「仕方ない。セルビィは、王都育ち。この状況に、驚いているんだろう。」
セラムの右腕と言われる、幼馴染みの兵士のボルトは言った。
「だが、判って貰わねばならん。俺が名ばかりの公爵だと、言う事を。」
セラムは拳を、握った。
父親に気付いた、セルビィは ことこと と二人の前までやって来た。下から見上げるながら、聞いた。
「とお様。ねえ様は、この事を知ってるの? 」
黒い瞳を、うるうる させて首を傾げる。
余りの可愛らしさに、二人は抱き締めたくなった。
「ああ。セルビアは、知っている。」
「ては、あのあほの子との婚約は ここのため? 」
セラムは、息子の頭を撫でて、哀しそうに言った。
「ああ、そうだ。」
「ねえ様は、優しいから。」
そう呟いて、セルビィは下を向いた。
傍にいたボルトは、親に似ず『聡い子』だなと感心した。セルビア嬢と良い、セルビィ坊と良い 子供にしては、哀しいくらい『聡い子達』そう思い目を伏せた。
「ては、ここが 良くなれば ねえ様は あのあほの子と結婚しなくて 良いのですね。とお様。」
目を きらきら させて、聞いてくるセルビィに二人の大人は哀しそうに頷いた。
「ああ、そうだな。」
その答えを聞いた時、セルビィは満面の笑顔を輝かせた。その笑顔に、二人は心を貫かれた。
「はふっ、天使!! 」
「俺の子は、なんでこんなに可愛いんだ!! 」
「ああ、お前に似ず本当に良かったぜ。」
ボルトは、哀しそうな顔でセルビィを見る。
(面差しも、優しい性格も、聡い処も、二人共 総てセーラにそっくりだ。)
セーラ・ランドール。
セラムの妹で、皆を飢えから救う為にその身をオースト国に捧げた。優しい娘であった。ボルトとは幼馴染みであり、彼は彼女に恋心を抱いていた存在であった。今は亡き、美しい女性。
「それて、とお様。ぐたい的に、なにが足りないのてす。」
「えっ!? 」
『具体的』と言う難しい単語が出て来て、二人の大人は驚いた。
「とお様。なにが、足りないのてす。」
ぐいぐい と、セルビィは聞いて来る。
「なにが、足りないのてす。ぼると様。」
首を傾げて、聞いて来る。
「はふっ、天使!! 」
「とお様、ぼると様。」
セルビィは、応えない二人に頰を膨らました。其れもまた、愛らしい。
「なにが、足りないのてす。」
「ああ、水かな。」
「そうだな、水だな。」
ボルトが応えると、セラムも頷いた。
「みす、てすか。」
やっと答えを聴けて、セルビィは笑った。
「はふっ、天使!! 」
セルビィの笑顔に 二人の大人は、悶えた。
とととととっ と、セルビィは窓辺へ駆けていって外を指差した。その指の先には、黒い岩山が有る。
「とお様。あそこまて、連れていって下さい。」
窓辺で、ぴょんぴょん跳びながら急かす。
「はふっ、天使!! 」
大人の二人は、メロメロになりながらセルビィの傍に寄った。
「はやく、はやく。」
急かすセルビィに、微笑みながら抱き上げる。
「俺は、馬の用意をして来る。」
そう言って、ボルトは階段を降りていった。
「あそこら辺は、少し寒いから ちゃんと準備をして行こうな。」
「はい、とお様。」
セルビィは、父親の首に抱き付いた。
「はふっ、天使!! 」
セラムは、息子の可愛らしさに悶えた。
セルビィは、父親に抱き付着ながら窓の外の岩山を観ていた。
「ねえ様、待ってて下さい。あのあほの子と結婚なんて ぜったいさせないから。」
セルビィは、子供とは思えない妖しい顔で微笑んだ。
「ねえ様は、ぼくが たすけてみせます。」
セルビィ 五歳にして、姉セルビアをオースト国から救うべく画策を始める。
「ますは、この国を良くして。つきは、ねえ様を。」
父親を抱く手に、力がこもる。
「ぜったい、ぜったい。たすけてみせます。まっててね、ねえ様。」
その笑顔は、糾弾の天使の様に可愛らしく恐ろしかった。其れは、オースト国の崩壊の始まりでも、あった。
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