悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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名残雪。

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ナルトは、殺されなかった。
セルビアは弟のお泊まりを聞いた途端、悲鳴を上げて気を失ったからだ。
だが、その後は三人の令嬢達に 必要以上に責め立てられていた。
(くそぉ、セルビィの奴。自分だけ、良い思いをしゃがって。)
ナルトは、心の底から怨むのであった。



「帰って来ない。今日も、帰って来ない。」
休日の二日、セルビィは屋敷に帰って来なかった。そして、三日目の朝 やはりセルビィは帰って来なかった。
玄関ホールの近い、応接室でセルビアは毛布に包まって待っていた。春が近いが、まだ寒い 名残雪が降る二月上旬。
「私の天使、セルビィ。」
セルビアは、心身共に疲れ果てていた。セルビィが帰ってくるのを、寝る事も出来ずに待っていた。
「私達の可愛い弟を。」
「許せませんわ。」
「あの、臭女!! 」
令嬢三人も、寝ずに待っていた。既にぼろぼろである。
「セルビィは、白い羽根を もがれてしまったの? 」
はらはら と、涙を流すセルビア。
「私達の可愛い弟を。」
「許せませんわ。」
「あの、胸だけ女!! 」
やるせない思いを、令嬢達は感じていた。
「しっかりなさって、下さいませ お嬢様方!! 」
メイドのアリスが、令嬢達にもの申す。
「このままだと、セルビィ様を取られてしまいますよ。」
祈る様に、令嬢達に問い掛ける。
「その、女狐に 奪われてしまってもいいのですか!? 」

「いやよ!! 」
セルビアが、声を上げる。
「「「「絶対に、いや!! 」」」」
四人の令嬢達の声が、揃った。
「では、こんな処で腐抜けている場合ではありません。」

「そうよ、そうだわ。」
セルビアは、いきり立つ。
「「「「セルビィを、魔の手から救い出さないと。 」」」」
令嬢四人の声が、揃った。
「直ぐに、乗り込みましょう。」
「でも、セルビィ様は今 何処に? 」
「ナルトを、締め上げていれば!! 」
令嬢達は、考える。
「学園では? 」
アリスが、応えた。
「「「「それだわ。」」」」
四人の令嬢達は、アリスを指差した。
「直ぐに、学園へ行くわ。」
「馬車の用意を。」
「セルビィ君を、護らなくては。」
「許すまじ、胸女!! 」
リリアナは、ちょっとズレていた。
「お待ち下さい、お嬢様方。」
急ぎ、部屋を出ようとする令嬢達をアリスは止めた。

「止めないで、アリス。」
「いいえ、お嬢様。」
アリスは、立ち塞がった。
「お嬢様は、これから女の闘いに参ります。その姿では、侮られます。」
セルビア達は、各々の姿を見る。目の下に隈がはり、髪もぼろぼろであった。
「闘いに勝つには、美しく且つ 凛々しく無くては成りません。」
背筋を伸ばし、苦言を呈するアリスは美しかった。

「そうね、そうだわ。」
セルビアは、頷いた。
「私達は、常に気高く美しく無ければ成らないわ。」
「私達は、豪の顔として。侮られる訳には、行きませんわ。」
「ふふっ、豪の者の意気込みをお見せしなくては。」
「胸だけ女には、負けないわ。」
リリアナだけは、ちょっとズレていた。だか、セルビィを思う気持ちは三人と同じだ。

「アリス。私達を、磨き上げて下さる。」
「「「「お任せ下さい、お嬢様。」」」」
アリス以外のメイド達も、声を合わせて一礼をした。
彼女達も、可愛い天使を女狐に取られたくはなかった。



馬車に揺られながら、セルビィは機嫌が良かった。
何かを思い出しては くすくす と、笑っていた。
「機嫌が良いな、セルビィ。」
ナルトが、声を掛ける。
「勿論です。まるで、夢の様な日々でした。」
セルビィは、目を閉じて休日の日々を思い出す。
宰相のトーマン公爵家に、休日は世話になっていた。
つまり、お泊まり。
アラン シモン レイモンドの三人とフローネ。彼等も、トーマン公爵家に、泊まっていた。今は、学園に向かって馬車を走らせている。
セルビィは、用事が有ると言って 先に屋敷を出た。屋敷の前に待たせていた、自分家の馬車に乗り込んで今に至る。
「もう、女性はいりません。ビッチ様だけで、満足です。」
「そうか、満足なのか。」
「はい。素晴らし女性です。」
ナルトは、疲れていた。セルビアに報告を上げて、責められながら屋敷を後にしてトーマン公爵家に張り付く。
馬車の中で、寝泊まりしてセルビィからの連絡を待っていたが この休日の間、何も無かった。下女や下男で、潜っている者から 楽しそうだったと報告は承けていたが。
(中で、宜しくやっていたのか。くそぉ、羨ましい。)

セルビィは目を閉じて、思い出す。フローネの行動を。
(まさか、四人の方を手に収めるなんて。)
確かに、四人がときめく様 切っ掛けは与えた。でも、まさか四人に粉を掛けるとは思いもしなかった。
「なんて、素晴らし女性。」
勿論、セルビィは彼女の後押しをする事は欠かせなかった。御陰で、四人はフローネに夢中になりつつ有る。
(あと少し、味をつければ。)
セルビィは、微笑んだ。その微笑みは、妖しく美しい。

「もう、ビッチ様とは呼べませんね。」
「はぁ!? 」
セルビィの言葉に、外を見ていたナルトが振り向く。
「今度からは、尻軽さん とお呼びしましょう。」
セルビィは くすくす と、笑う。
「どっちも、同じだからな意味。」
ナルトは、頭を捻りながら応えた。
「響きが、違います。」
ナルトを見て、セルビィは微笑む。
「尻軽さんは、お猿さん。見たいで、可愛いです。」
「か、可愛いか? 」
「はい。可愛いです。」
微笑むセルビィに、ナルトは何も言えなく溜息を付いた。

そして、セルビィは馬車の窓に目を向ける。空から降る名残雪を見ながら、次の事を考えるのであった。



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