悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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『乙女の秘密』の世界。

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土曜日の朝、セルビィは用事があると屋敷を後にする。その時、令嬢達は次のように言った。

「セルビィ。明日は、夕方までには帰って来るのよ。」
「それまで、ゆっくりしていて。」
「ええ、決して帰って来ては駄目よ。」
「ぜったい、ぜっーたい、帰って来てはダメ!! 」
強い口調で、セルビア達はセルビィに念を押す。

「ナルト様も、お願い。」
「セルビィを頼みます。」
「セルビィ君を、護ってね。」
「明日の夕方まで、連れて帰っては駄目よ。」
セルビア達は、ナルトにも念を押す。馬車に乗って、セルビィとナルトは屋敷を後にした。


「姉様達は、僕の誕生日のサプライズをしたいようです。」
「まる分かりだろ!! 」
セルビィは、嬉しそうに微笑んだ。ナルトは、溜息をついた。
「どうして、こうも隠し事が出来ない民族なんだ 俺達は。」
「其所が、姉様達の可愛い処です。」

『豪の者』は、隠し事が下手だ。直ぐに顔に出てしまう。其れでも隠そうとすると、顔が強張り無口になる。なまじ顔が整っている者が多いい所為で、冷たい印象を与えてしまう。挙げ句、髪や目が黒に近い所為で恐い印象と成っている。死神と呼ばれるセラムや三伯爵も、秘密を知られない為に口をつぐむ。だが、つい口元か目尻のどちらかが緩む。その姿は、細笑んでいるようで周りから見れば恐かった。
(今思えば、おっさんず。頑張ったよな。)
秘密を悟られずに、今日まで来た。そして、先程の令嬢達の事を思い出して。
(うん。ぎりぎりまで教えなくて、正解だな。)
ナルトは、セルビィを見て感心していた。 

「この時期だから、無理しなくてもいいのに。」
そう言いながら、セルビィは嬉しそうだった。
「まあ お前の誕生日なんて、こっちでするのは初めてだからな。色々と、したいんだろう。」
(4年に、一回だし。(笑))

※毎年、プレゼントは届いてました。健康器具とか健康器具とか健康器具が。

セルビィは、体が弱いと言うことで 領地で養生をしている事に成っていた。風邪ひとつ、熱すら出したことは無かったが。

「どんなサプライズか、楽しみです。」
「いや、サプライズに成ってないから!! ばれてるから!! 」
にっこり と、笑うセルビィに。ナルトは、突っ込んだ。


此所は、アメリゴ帝国最前線の街ユーヨク。その最も大きい屋敷、リオル第二王子の住まうところ。

「来ちゃった。」
赤い情熱的なワンピースを着た、セルビィは執事見習いに扉を開けて貰って書斎に入る。
其所に、仲睦まじい四人の将軍騎士とリオル。一人の将軍騎士が、リオルに抱き付いているのを必死で剥がそうとしているロレンスが。

「「……お邪魔しました。」」
ナルトは、セルビィを引っ張って部屋を出る。静かに、執事見習いは扉を閉めた。

「「待て!! 誤解だ!! 」」
慌ててリオルとロレンスは、声を上げた。扉の向こう側から、声がする。セルビィは、首を傾げた。

「ナルト様? 」
「取り込み中だから、またの機会にしようか。」
「そうだな、其れが良い。」
ナルトの言葉に、明るい髪の青年 執事見習いは応えた。
「取り込み中? 」
セルビィは、可愛らしく首を傾げる。
「まさか、リオルが男色家だったとわな。」
「セルビィ。俺、此所 辞めて良いか? 」
執事見習いのが、言った。つい最近、秋口に執事見習いとして入ったばかりだ。
「駄目です。『良き日』までは、いて下さい。」
「俺の貞操の危機なのに。」
「大丈夫だ、ロビン。ゴリマッチョ系が、好みのようだし。」
ナルトは、執事見習いロビンの肩に手を置いて目を逸らしながら言った。
彼の名前は、ロビン。五年前スラム街の少年達のリーダーをしていた青年。秋口から(立食会)目を付けていたリオルの屋敷に、執事見習いとして侵入していた。
いわゆる、間者。明るい髪の色をしているので帝国の市民として、潜り込んでいた。

「お前、人の事だと思ってな。」
「他人事だも~ん。」
ナルトとロビンは、会話をしている。セルビィは、首を傾げて考えていた。
(男色? )
そして、はたと気が付く。

「『乙女の秘密』の本!! 」
姉様達が読んでいた、男性同士の不思議な本を思い出した。

「『乙女の秘密』の本とは?」
「聞くな。」
ロビンが聞き返したが、ナルトが其れを制した。

「つまり、姉様達の『乙女の秘密』の本の展開を リオル様達はやっていると。」
「うん、まあ そうだな。」
セルビィの問いに、ナルトは応える。
「『乙女の秘密』の本とは? 」
「聞くな。」
ロビンの問いには、ナルトは頑なに聞くなと唱える。

「男同士の生殖活動、不思議です。」
「また、身も蓋もない言い方を。」
「生殖活動、男同士の!? どう言う事だ、ナルト!! 」
「聞くな!! 」
頑なに言ようとしないナルトに、簡単に話すセルビィ。
「姉様達が読んでいる『乙女の秘密』の本には、何故か 男同士の生殖活動が。子供も出来ないのに。」
「「・・・・・・。」」
ナルトとロビンは、目線を合わせた。
「なんてもん読んでんだ、令嬢達は。」
「『女子会』と、言ってアリス様達も読んでましたよ。」
「なんてもん読んでんだ、アリス!! 」
ロビンは、叫んだ。ロビンには、分かってしまった。『乙女の秘密』の本が、女子の中で流行っている『BL本』だと、言うことに。つまり、男子で言うところの『HR本』だと、言うことに。 

「今 正に、姉様達が読んでいた小説の世界がこの部屋の中で繰り広げられているのです。興味が、あります。」
セルビィは そーっと、扉を開こうと近づいた。
「「見るな!! お前には、まだはやい!! 」」
二人は同時に、叫んだ。

だが、扉は開かれていた。その扉の隙間から此方を覗く目が。セルビィは、可愛らしく首を傾げる。
「仲が宜しいのですね、三人とも。」
ロレンスは、扉の隙間から言った。静かに扉を開く。
「どう言うことでしょう、ロビン。」
平凡な顔のロレンスは、微笑む。ロビンは、目を逸らした。
「セルビィ様、あなた達の仲は? 」
「こ、友達です。」
セルビィは、素直に応えた。

「「「今 駒って、言いかけたよな!! 」」」
セルビィは にっこり笑って、淑女の礼を取った。



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